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サイクル ロードレース コラム 2024年9月6日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 レースレポート:第18ステージ】ベラーデがケルンファルマに3勝目をもたらす…ランダが総合優勝争いから脱落

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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エキポケルンファルマのウルコ・ベラーデが今大会初のステージ優勝

エキポケルンファルマのウルコ・ベラーデが今大会初のステージ優勝

第79回ブエルタ・ア・エスパーニャは9月5日、ビトリア=ガステイスからマエストゥ イスキ自然公園までの179.3kmで第18ステージが行われ、エキポケルンファルマのウルコ・ベラーデ(スペイン)が逃げ集団の中から最後に抜け出して初優勝。格下のカテゴリーから主催者推薦で参戦している同チームは、パブロ・カストリーリョの2勝を合わせて3勝目。地元スペイン選手のステージ優勝は4となり、2019年以降の同大会での最多記録となった。

総合優勝争いは第19ステージと第20ステージという2日連続の山岳決戦を前にしても、白熱した展開を見せた。1分46秒遅れの総合4位リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)が残り50kmで猛烈なスパートを見せると、総合5位ミケル・ランダ(ティーレックス・クイックステップ)がたまらず脱落。ランダは最終的に3分以上遅れて総合10位に陥落した。

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この日のスタート地点、ビトリア=ガステイスはスペイン・バスク地方の主要都市で、2023年はツール・ド・フランス第2ステージのスタート地点にもなっている。町の名前はカスティーリャ語でビトリア、バスク語でガステイスと呼ばれ、両者を尊重して併記されている。ツール・ド・フランス第2ステージではコフィディスのヴィクトル・ラフェ(今大会はデカトロン・AG2Rラモンディアル)が優勝している。

バスク地方を舞台としたこの日のステージ。ここまで勝ち星のないエウスカルテル・エウスカディにとってはホームグラウンドでのレースとなる。起伏に富んだ距離179.3kmで、獲得標高は2780m。この後の2日間は超難関山岳で、最終日は個人タイムトライアルだ。ステージ優勝を狙っていけるラストチャンスとなる選手らが積極的に動いてきた。

序盤から逃げ集団をめぐる激しい戦いが始まった。50km以上の戦いの末、42選手が飛び出して第1集団を形成した。60km地点でメイン集団に3分12秒差をつけてゴールを目指す。しかし、ホームステージであるエウスカルテル・エウスカディは第1集団に選手を送り込むことができなかったため、激しい追走が繰り広げられる。その差は最初の上り坂、カテゴリー2級のアルト・デ・リバス・デ・テレソ(81.5km地点)で1分35秒まで縮まる。エウスカルテル・エウスカディのミケル・ビスカラとゴツォン・マルティンが数人のカウンターアタッカーとともに追走を開始したが、先に攻撃を仕掛けた選手たちとの差を埋めるには遅すぎた。エウスカルテル・エウスカディ勢はホームゲームを落とすことになってしまった。

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【ハイライト】ブエルタ・ア・エスパーニャ 第18ステージ|Cycle*2024

逃げる第1集団ではマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)が頂上で先頭に立ち、シュテファン・キュング(グルパマ・FDJ)が下り坂でアタック。マティアス・ヴァチェク(リドル・トレック)とマウロ・シュミット(ジェイコ・アルウラー)もこれに追随し、先頭はキュング、ヴァチェク、シュミットの3人に。

この日の2番目の山岳であるカテゴリー1級のプエルト・エレラに向かう途中で、キュングらは追走者との差を1分に広げた。さらにメイン集団との差は10分以上に広がった。この上り坂で10選手が先頭の3選手に追いついてきた。 ステフェン・クライスヴァイク(ヴィスマ・リースアバイク)、山岳賞2位のソレル、マティア・カッタネオ(ティーレックス・クイックステップ)、アレクサンドル・ウラソフ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、オイエル・ラスカノ(モビスター)、マックス・プール(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)、ヨン・イサギレ(コフィディス)、ベラーデ、カストリーリョ、パウ・ミケル(エキポケルンファルマ)だ。

この2つ目の峠では大きく遅れたメイン集団で別の戦いが展開していた。カラパスが頂上(134.3km地点)を目指してアタック。首位ベン・オコーナー (デカトロン・AG2Rラモンディアル)は一瞬遅れるが、すぐに差を埋める。しかしランダがここで遅れ始めた。

過酷な残り3レースを前にラストチャンスに賭ける選手も

過酷な残り3レースを前にラストチャンスに賭ける選手も

ステージ勝利を目指す先頭集団はクライスバイクの動きを受けて、残り5.5km でベラーデがカウンターアタックを見せた。シュミットとプールに4秒差をつけてゴールまでたどり着いた。ベラーデは26歳、バスク地方随一の都市パンプローナ出身だ。

「自宅に近いステージで、家族や友人全員が見守る中、ブエルタ・ア・エスパーニャの最後の瞬間を迎えるなんて間違いなく夢のようだ。チャンスがほとんど残っていない中、結果を残すのは困難に思えた。ここまで悔しい思いをしたステージばかりだったが、今は信じられない気持ちだ」とベラーデ。

この日一番の難関の峠をクリアして、エキポケルンファルマは数的に優位になっていて、逃げグループをコントロールした。ミケルがチャンスをつかめるように、ベラーデはエースナンバーをつけていたがカストリーリョとともに動いていた。最後の上りでエキポケルンファルマ勢は調子が上がって、「みんなチャンスがある。トライしよう」と指示された。

「そこからほとんど振り返らずにトライした。みんながゴールまで、ゴールまでいけ!と言ってくれた。ゴールラインを越えるまで、自分が勝者だとは思っていなかった」とベラーデ。

ベラーデは「みんながゴールまでいけ!と言ってくれた」と振り返る

ベラーデは「みんながゴールまでいけ!と言ってくれた」と振り返る

「間違いなく、私たちがこれまでにやってきた素晴らしい仕事の集大成だ。シーズンの初めからブエルタ・ア・エスパーニャを念頭に置いていた。いい準備をしてきたので、この勝利は偶然の結果ではない。開幕前にチームマネージャーが私にこう言った。有名にならなきゃいけないと。これまで活躍が報じられることはなかったので名を挙げるのは難しいことだと思ったが、この勝利でチャンスがあるかもしれないと感じている」

総合成績の上位勢は7分32秒遅れでフィニッシュ地点に到着した。ランダが3分20秒遅れでゴールして、総合成績で10位に後退した。オコーナーと総合2位プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)との差は変わらず5秒。

「カラパスがアタックするとは思っていなかった。総合成績を争う全員にとって少しは有利だったが、簡単ではなかった。僕たちがどれだけ速く走っていたかは見ての通り。正直言って全然楽なステージではなかった。今年のブエルタ・ア・エスパーニャには楽な日なんてないよ」とオコーナー。

「この日のダメージはあるけれどおそらくこの後の3日間には影響しない。毎日レースをしていて、みんな疲れているからだ。どういうわけか、僕はまだかなりいいパワー数値を出せているので、現時点では走りに影響はないと思っている。そして、僕はまだ総合トップだ。さらに1日、トップにいることになってうれしい。マイヨ・ロホを獲得してすでに13日間か14日間か、もうわかわなくなったけど長いね。僕はこのレースが大好きで、とても楽しめている」

僅差ながらベン・オコーナーは総合首位のまま

僅差ながらベン・オコーナーは総合首位のまま

リーダージャージは、ポイント賞がアルペシン・ドゥクーニンクのカーデン・グローブス、ヤングライダー賞がイネオス・グレナディアーズのカルロス・ロドリゲスと変わらなかったが、山岳賞がUAEチームエミレーツのジェイ・ヴァインからソレルに移った。

「逃げ集団に追いつくのは少し混乱した。最終的にチームの中でここに加われたのは私だけだった。ジェイ(ヴァイン)が山岳賞リーダーだったけど、逃げ集団には入っていない。山岳賞3位のカストリーリョに得点を奪われないように私は最大限のポイントを獲得し、チームに安心感を与えるために戦った」とソレル。

レースはいよいよ最後の3日間へ。開幕前から総合優勝の行方が大きく変わる3日間だと指摘されていた。第19ステージはログローニョからアルト・デ・モンカルビリョまでの173.2km。タイム差のつきやすい1級山岳モンカルビリョへの山頂フィニッシュだ。

この日に備えて派手な動きを見せなかったログリッチがオコーナーに対して攻撃を仕掛けてくるのは必至。どこで逆転してくるのか? それともオコーナーがさらなるスーパーパワーで防衛するのか? 1分25秒遅れのエンリク・マス(モビスター)がログリッチと共闘するのか、あるいは一気の逆転を画策するのか? 注目の3日間が始まる。

文・山口和幸

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山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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