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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 レースレポート:第8ステージ】ログリッチがアンダルシアの激坂を制し区間2勝目!「最後にチャンスが来た」
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸今大会2勝目となるプリモシュ・ログリッチ
イベリア半島最南部での熱き真夏の戦いが続く。第79回ブエルタ・ア・エスパーニャは8月24日、ウベダからカソルラまでの159kmで第8ステージが行われ、大会最多記録に並ぶ4度目の総合優勝を目指すレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が最後の峠でトップに躍り出て、今大会2勝目、大会通算14勝目(2022年のチームタイムトライアルを含めると15勝目)を挙げた。
平坦ステージが1つしかない2024ブエルタ・ア・エスパーニャは、この日も山岳の要素が強いコースレイアウトだった。105.1km地点をピークとしたカテゴリー2級の峠があり、フィニッシュのカソルラも3級の山岳ポイントとなる。距離は159kmと短めだったこともあり、序盤からステージ1勝を狙った伏兵たちが積極的に前に飛び出した。
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一方、23日間の総合成績で栄冠を目指すオールラウンダータイプの強豪選手たちは別の視点で戦いを並行させた。第6ステージで大差の独走勝利を収めたデカトロン・AG2Rラモンディアルのベン・オコーナー (オーストラリア)が首位のマイヨ・ロホを着用している。総合2位ログリッチとのタイム差は第6ステージ終了後では4分51秒だったが、第7ステージでログリッチが山岳ポイントにかけられたボーナスタイム6秒を獲得。この日のスタート時点でのタイム差は4分45秒となっていた。
序盤は飛び出しと吸収が繰り返される展開となった
オコーナーは2021ツール・ド・フランス総合4位の有力選手だ。個人タイムトライアルでわずかに弱点を見せるが、第6ステージで6分31秒に逃がしてはいけない相手だった。大差をつけてマイヨ・ロホを着ている限り、今回の総合優勝争いではいきなりの最有力となる存在だ。マイヨ・ロホを奪われたログリッチがボーナスタイムを狙ってその差を縮めていこうとする焦りを見せても不思議ではない。
この日のレースはアンダルシアと呼ばれるハエン県が舞台。翌日には大会第1週の締めくくりとなる山岳ステージが控えていて、それを見据えての戦いとなった。有力選手が最初の峠では動かないと見た選手たちが攻撃を仕掛けていく。
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【ハイライト】ブエルタ・ア・エスパーニャ 第8ステージ|Cycle*2024
ジェイコ・アルウラーのマウロ・シュミット(スイス)、dsmフィルメニッヒ・ポストNLのハイス・レイムライゼ(オランダ)、アスタナカザクスタンのアロルド・テハダ(コロンビア)がメイン集団から抜け出した。最初の1時間の平均時速は51kmだ。
中盤はルーカ・ヴェルガリートらが先頭グループで区間勝利を競う
さらにリドル・トレックのサム・オーメン(オランダ)、アルペシン・ドゥクーニンクのルーカ・ヴェルガリート(イタリア)、モビスターのオイエル・ラスカノ(スペイン)、アルケア・B&Bホテルズのマティス・ルベール(フランス)、コフィディスのヨン・イサギレ(スペイン)の5選手が追いついて、先頭は8人になった。84km地点でメイン集団との差は5分12秒だった。
メイン集団ではマイヨ・ロホを手にしているデカトロン・AG2Rラモンディアルに代わって、イスラエル・プレミアテックが主導権を握り、カテゴリー2級の峠でその差を3分20秒まで縮めた。先頭集団からはレイムライゼが脱落して7選手に。それまで力を合わせていた逃げグループではステージ勝利を目指したアタック合戦が見られるようになり、残り15kmでその差は1分35秒まで縮まった。
そしてフィニッシュまでの上り坂に突入する。距離4.8kmで勾配値7.1%、最大勾配は20%だ。上りを得意とするテハダとラスカノがふるい落としにチャレンジし、ヴェルガリートがこれになんとか食らいつく。最終的に逃げ続けたのはテハダで、単独となってフィニッシュを目指す。
メイン集団では、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエがペースを上げ、ログリッチが何度もアタックしてオコーナーをふるい落とした。モビスターのエンリク・マス(スペイン)だけが最後までログリッチに抵抗。ログリッチとマスは残り1kmを切ってから区間優勝を目指したテハダを逆転。最後はログリッチがステージ1着でフィニッシュし、それに加えてボーナスタイム10秒を獲得した。
「実のところ、今日は暑くてかなり苦しかった。でも最後にチャンスが来たので、それを狙った。とにかく狙った。今日はそれをものにするだけの脚力があったのでラッキーだった」とログリッチ。
「いずれにしてもオコーナーにギャップをつけたことは間違いなくよかった。でも明日はまたタイムを落とすかもしれない。ベストを尽くすようにしている。毎日過酷なレースに明け暮れていて、怪我で苦しい時期を過ごした後、身体にかかるこうした負担にどう応えていくかがある意味で楽しみだ。どうなるか見てみたいと自分自身でも思う」
坂が厳しいコースで勝利を果たしたプリモシュ・ログリッチ
オコーナーはティーレックス・クイックステップのミケル・ランダ(スペイン)、バーレーン・ヴィクトリアスのアントニオ・ティベーリ(イタリア)、リドル・トレックのマティアス・スケルモース(デンマーク)らにもついていくことができず、46秒遅れの区間17位でフィニッシュ。マイヨ・ロホは前日までの貯金で難なく守ったが、総合2位ログリッチとの差は3分49秒に縮まった。
オコーナーは「レース前半から本当に厳しかった。その後イスラエル・プレミアテックがメイン集団をペースアップしてくれたけど、さらに厳しい展開になった。最後の展開には少し意気消沈している」とコメント。
「チームはすべてをコントロールしていたが、プリモシュ(ログリッチ)、ジョアン・アルメイダらの有力選手たちがステージ序盤に先頭から脱落した。私は常に先頭を走っていた。今日の45秒のロスは想定よりも悪い結果だった。今日は間違いなくベストの日ではなかったけど、今後はいい日が来ることを願っている。明日はまったく違う戦いになると思う。最後のシエラネバダの上りを気にすることなく、いい日を過ごして、このマイヨ・ロホをキープできればと思う」
前日まで総合3位につけていたUAEエミレーツのジョアン・アルメイダ(ポルトガル)は4分53秒遅れの60位でゴール。総合成績で9分06秒遅れの26位に陥落した。
連覇を狙うヴィスマ・リースアバイクのセップ・クス(アメリカ)も総合成績で6分22秒遅れの14位と低迷する。チームメートのワウト・ファンアールト(ベルギー)は「前方のいい位置にいたが、コーナーでチェーンが外れ、走行中にチェーンを戻すことができなかったので、停止を余儀なくされた。たくさんの選手が脱落し始めた瞬間に集団の最後尾にいたため、状況が悪かった。結局、エネルギーを失いすぎてチームを助けることができなかったので、無駄な動きになってしまった」とコメント。
8月25日の第9ステージはモトリル〜グラナダ間の178km。カテゴリー1級の山岳が3つあり、今大会のクイーンステージの一つである。オコーナーがマイヨ・ロホを守るのか? ログリッチがどこまでタイム差を詰めていくのか? マスやランダらの地元スペイン勢が攻撃に出るか? 第1週の締めくくりとなる重要な1日だ。
文・山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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