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サイクル ロードレース コラム 2024年7月5日

【ツール・ド・フランス2024 レースレポート:第6ステージ】オランダチャンピオンのフルーネウェーヘンがスプリント勝利 「赤・白・青のジャージでツールを勝てるのは最高の気分!」 前日劇的勝利のカヴェンディッシュは20位で終える

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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大混戦の第6ステージはディラン・フルーネウェーヘン(ジェイコ・アルウラー)が制した

大混戦の第6ステージはディラン・フルーネウェーヘン(ジェイコ・アルウラー)が制した

調子が良すぎるあまり、ついつい空回りしてしまっていた。あれこれ考えずにシンプルに。強力トレインを擁するライバルチームに対しても、今のコンディションなら勝てる自信があった。

2日連続となったスプリント決戦。ツール・ド・フランス第6ステージは、ディラン・フルーネウェーヘン(ジェイコ・アルウラー)が混戦を抜け出して一番にフィニッシュラインを通過。7回目のツール出場で通算6勝目となるステージ優勝を挙げた。

「本当にうれしい。最高の気分だよ! 赤・白・青のジャージ(オランダチャンピオンジャージ)を着て走るだけでも画になっていると思うけど、勝てばなお美しいんじゃないかな。僅差だったからウイニングセレブレーションができなかったけど、1位なのは確かだからね。すごく誇らしいよ」(ディラン・フルーネウェーヘン)

前日は、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナカザクスタン)のステージ優勝記録35勝の達成に沸いた。一夜明けてもその余韻はどこか感じられる。カヴェンディッシュ擁するアスタナカザクスタンのチーム車両がスタート地点に着くだけでファンは熱くなり、レース前のステージ登壇で彼の名が呼ばれるや、地鳴りのような歓声がスタート地・マコンに響き渡った。第5ステージを勝った後、取材陣に「もっと勝ちたい」と口にした“マン島超特急”。36勝目への期待が膨らむ。

勢いよくスタートした第6ステージ

勢いよくスタートした第6ステージ

連日の平坦ステージ。ゆったりと進んだ前日とは打って変わって、リアルスタート直後から時速50kmを超えようかというハイスピードで進行する。10km地点に設定された4級山岳は、マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュを着るヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ)がポイント加算をかなえ、後からやってきたアクセル・ジングレ(コフィディス)と少しばかりの逃げ。ただ、そう時間は置かずに中間スプリントポイントに向けてスピードが上がる集団に引き戻され、プロトンは再び一団のまま進行することとなる。

J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTubeチャンネル

【ハイライト】ツール・ド・フランス 第6ステージ|Cycle*2024

31.1km地点に置かれた中間スプリントは、ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が1位通過。今大会は未勝利だが、2年連続のマイヨ・ヴェールに向けてはしっかりポイントを稼ぎ続けたい。第3ステージでエリトリア人ライダーとして初めてツールの勝利を挙げたビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)が2位で続き、首位を行くポイント賞争いにおいて好況を整える。何より、この日はUCIワールドサイクリングセンターで鍛錬する8人のヤングアフリカンライダーがツールを訪問。3日前に「私が道を切り拓く」と宣言した“アフリカ大陸の星”が、その走りで若い選手に希望をもたらす。

集団に緊張が走ったのはフィニッシュまで100kmを切ったところ。ヴィクトル・カンペナールツアルノー・ドゥリーのロット・デスティニー勢が突如ペースを上げて、集団の分断を図った。

第5ステージで優勝を果たしたマーク・カヴェンディッシュは苦戦

第5ステージで優勝を果たしたマーク・カヴェンディッシュは苦戦

タイミングを同じくして、カヴェンディッシュがバイクトラブルで止まっていた。少しして走り出したが、ペースの上がる集団へ戻るのに時間を要してしまう。また、分断を機にUAEチームエミレーツ勢が散り散りに。ヴィスマ・リースアバイクが集団のペースアップに加勢する一方で、マイヨ・ジョーヌのタデイ・ポガチャルはあらぬことか単騎で最前線を走っていた。

「風はそれほど強く感じなかったけど、集団内での走行はとてもストレスになるものだった。分断している間は、“いつになったらこの状態が落ち着くんだ?”と思いながら走っていたよ」(タデイ・ポガチャル)

一時は60人まで絞られた集団だったが、25kmほど進んだところで再びひとまとまりに。チームカーの隊列を使いながら位置を上げていたカヴェンディッシュも再合流。その後タイミングを計ってバイクを交換。スプリントに向けて準備を進める。

残り30kmを切った頃から各チームがトレインを組んで、集団内のポジションを固め始める。スプリントに向けて主導権争いが本格化したのは最後の10kmで、アスタナカザクスタンやイスラエル・プレミアテックが先頭へ。残り5kmからはアルペシン・ドゥクーニンクやジェイコ・アルウラー、ウノエックスモビリティも加わって、最終局面へと向かっていく。

ウノエックスモビリティのトレインを先頭に最後の1kmへ。フィニッシュ前500mは道幅の広い一直線。ここでマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)がフィリプセンを引き上げて先頭に立つ。そして残り200m、フィリプセンが腰を上げたのを合図にスプリントが始まった。

進行方向右サイドを進むフィリプセンに対し、逆サイドから伸びてきたのはフルーネウェーヘン。その間からギルマイも上がってきた。3人は横一線でフィニッシュラインへ。本人たちも確信がないまま、写真判定を待つことに。数分とかからず結果が出て、フルーネウェーヘンのステージ優勝が確定した。

「とても調子が良くて、昨日はかなり自信があった。それなのに失敗してしまってかなり落ち込んだよ。でも、気持ちを切り替えて今日に臨んだんだ。今度は勝つことができたよ。勝因? 誰か分かる人、僕に教えて(笑)」(フルーネウェーヘン)

今季はシーズンインから好調で、ツールまでに4勝を挙げていた。直近ではオランダ選手権を勝っていて、チャンピオンジャージでツールに乗り込んだ。狙っていたという、このジャージでのウイニングセレブレーションは本人が述べる通りうまくはいかなかったけど、好調そのままに今大会3回目のスプリントステージの勝者となった。

前日のレースに反省しながらも今日のレースで気持ちが楽になったというフルーネウェーヘン

前日のレースに反省しながらも今日のレースで気持ちが楽になったというフルーネウェーヘン

「最高のスプリントメンバーの中で勝つことほど難しいものはない。ツールとなればなおのこと。かなり強いスプリントトレインを持つチームがいくつもある中で、僕たちが勝てたことは誇って良いだろうね」(フルーネウェーヘン)

最終的に、フルーネウェーヘンの後ろはギルマイが2位、フェルナンド・ガビリア(モビスター)が3位で決まり。2着だったフィリプセンは、ワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク)のスプリントラインを侵害したとしてメイン集団最後尾の107位に降着となった。

このステージでは各賞ジャージに変動はなく、ポガチャルはマイヨ・ジョーヌをキープ。マイヨ・ヴェール初日だったギルマイもしっかりまとめたことで、ポイント賞ランキングの首位を走る。アブラハムセンのマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)のマイヨ・ブランも継続する。

次に控えるのが、今大会1つ目の個人タイムトライアルステージ。TT巧者向きのコースとの評判だが、マイヨ・ジョーヌ争いにおいても重要度を高める。ここでのタイムロストは後々にまで響いてくるはずだ。現在の総合上位陣の多くがタイムトライアルを得意としていることも、予想を難しくさせる。首位のポガチャルがさらにリードを広げるのか、2位以下からジャンプアップする選手が現れるのか。ポガチャルと2位レムコまでが45秒、さらに5秒差でヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク)が続いている。

第7ステージを終えたとき、状勢はどのように変化しているだろうか。

●ステージ優勝:ディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー)コメント

「昨日のステージでの失敗はすべて僕の責任。みんなの自信まで奪うのはとても辛かったから、今朝仲間たちに“今日は絶対に戦える”と伝えたんだ。僕たちはすべてを完璧にやり遂げられた。

グランツールの3週間で、スプリントするチャンスはだいたい5~6回。この数少ないチャンスのために僕たちは全力を尽くしている。世界で一番美しいレースであるツールとなれば特にね。今日の勝利でプレッシャーから解放されるだろうし、もっと楽な気持ちでスプリントに臨めるんじゃないかな。

今大会のスプリントは今までにないくらいレベルが高いと感じている。強いスプリントトレインを持っているチームが多いし、ヤスペル・フィリプセンやアルノー・ドゥリーといった能力の高い選手もいる。今日のフィニッシュ前は彼らをマークする形になって、結果として勝利に結びついた。僕にはスプリントだけでなく、クライマーをアシストする役目もある。仲間と助け合って3週間を走り抜きたいね」

●マイヨ・ジョーヌ:タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)コメント

「平坦ステージにしてはストレスの多い1日だったね。何とか耐えられたから良かったものの、これが長距離ステージだったら大変だったよ。チームメートと離れてしまっている間は慌てず、彼らが戻ってくるのを待っていた。レースをしていればこういうシチュエーションも起こりうることだから、動揺することはなかったよ。

途中単騎で奮闘していたポガチャルはマイヨ・ジョーヌをキープ

途中単騎で奮闘していたポガチャルはマイヨ・ジョーヌをキープ

明日のタイムトライアルは総合系ライダーにとって大事な1日だね。自分の脚の状態を知る良い機会になると思っている。コースも気に入っているよ。優勝候補? レムコ(エヴェネプール)じゃないかな。この種目の世界チャンピオンだし、大舞台になるほど彼は強いからね。もちろん僕も良い結果を出せると思う。やってみるよ!」

●マイヨ・ブラン:レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)コメント

「明日のタイムトライアルコースは昨年のクリスマスの時期に試走していて、ツール前にも2回目のチェックに行ったんだ。僕にとってピッタリのコースに思えるけど、実際はどうだろうね。レースですべてが分かるよ」

「目標はステージ優勝。前回大会のタイムトライアルステージでは、ヨナス(ヴィンゲゴー)とタデイ(ポガチャル)が群を抜いていた。彼らに勝てれば、おのずと総合でもよいポジションに行けると思う。とにかく今は集中できている。まずはステージ優勝という夢を実現できるよう全力を尽くすよ」

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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