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【J:COM presents 2023 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム:プレビュー】過去最高レベルの選手団が来日!世界最大の自転車レースの興奮が日本で体験できる特別な1日になる
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸さいたま新都心で開催されるクリテリウム大会
「J:COM presents 2023ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」が11月5日、さいたま新都心駅周辺で開催される。ツール・ド・フランスで4年連続ヤング・ライダー賞を獲得しているタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝のセップ・クス(米国、ユンボ・ヴィスマ)など、過去最高レベルの選手団が来日する。世界最大の自転車レースの興奮が日本で体験できる特別な1日だ。
マルセル・キッテルさん(右)が2023年も大会アンバサダーとして来日する
7月のフランスで大活躍した選手たちが来日し、駅至近に特設された1周約3.5kmのサーキットを17周走って着順を競う「クリテリウム」をメインに疾駆するのがツール・ド・フランスさいたまクリテリウムだ。ツール・ド・フランスの名称を冠した世界初の大会として2013年に誕生し、コロナ禍の2年を除いて今回で9回目の開催となる。
個人総合1位のマイヨ・ジョーヌを着用する選手がこれまでは必ず来日していたが、今回はヨナス・ヴィンゲゴーが都合により不参加。それでもアシスト役として獅子奮迅の走りを見せたクスの来日に期待が集まる。
クスは2022年も来日していたが、マイヨ・ジョーヌの影に隠れて一般的には騒がれない存在だった。もちろんJ SPORTS視聴者ならグランツールのアシスト役としてはなくてはならない存在であるのはほぼ常識。ただしグランツール全参戦を果たした2023年は、その認識をも覆すほどの躍進ぶりだった。
クスは5月のジロ・デ・イタリアでプリモシュ・ログリッチを、ツール・ド・フランスでヴィンゲゴーを総合優勝に導いた。そして秋のブエルタ・ア・エスパーニャでは序盤ではからずも首位に。チームメートであるログリッチとヴィンゲゴーと終盤にガチ勝負を展開して、だれもが予期しなかった総合優勝を獲得した。
それだけにクスの成長ぶりを確認したいと日本のファンは心待ちにしている。チームは来季ログリッチの放出を決定したことで、クスがグランツールでエースに起用される可能性があると報じられる。2019年にブエルタ・ア・エスパーニャを制したログリッチが来日したときは、赤いリーダージャージ、マイヨ・ロホを着用してさいたまを走ったので、クスのマイヨ・ロホ姿も期待される。
前日イベントで子どもたちと遊ぶカヴェンディッシュ
過去のツール・ド・フランス総合優勝者は3人で、その合計勝利数は7だ。2020、2021年覇者のポガチャルをはじめ、2013、2015、2016、2017年のクリストファー・フルーム(英国、イスラエル・プレミアテック)、2019年のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)。
フルームは今回、ツール・ド・フランスクリテリウムレジェンドチームとして参加。史上最多タイ記録となるステージ34勝のマーク・カヴェンディッシュ(英国、アスタナ・カザクスタン チーム)、ポイント賞7回獲得のペーター・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)とチームを組む。かつて世界選手権を3連覇したサガンはロード選手としてはラストイヤーなので、ロードレースを走るシーンは見納めとなるはずだ。
レースでは特別のジャージを着る選手たちに注目したい。ポガチャルが着るのは純白の新人賞ジャージ、ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)は白地に赤い豆をあしらった山岳賞ジャージで走る。市販されているレプリカジャージではなく、これは本物だ。ヨーロッパ選手権でタイムトライアルを制した19歳のジュシュア・ターリング(英国、イネオス・グレナディアーズ)もチームタイムトライアルでは水色を基調としたヨーロッパチャンピオンジャージを着用することが期待されている。
9月の大会記者発表で意気込みを語る新城幸也(右上)と杉浦佳子(左上)
2023ツール・ド・フランスで区間勝利した選手は、第2ステージのヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)、第6、20ステージのポガチャル、第10ステージのペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)の3選手。
日本勢では新城幸也が、特別編成チームではなくバーレーン・ヴィクトリアスチームの一員として走る。9大会連続で9回目の出場。2019年はクリテリウムメインレースで優勝している。
「日本のみなさんの前で走れるのが楽しみ。今年も待ちきれないです。今回の出場選手は日本でのファンも多いサガンなど注目選手が多すぎて、走る方としては大変です(笑)」
2022年はマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーを制してヤスペル・フィリプセンが優勝
大会そのものはお祭り気分。新都心の沿道には本場フランスから持ち込まれた本場の施工物が掲出される。クリテリウムメインレースは17周して、最後のフィニッシュラインをトップで通過した選手が優勝者となる。また、レース展開をよりエキサイティングなものにするため、さまざまな賞が設定されている。ツール・ド・フランスと同様に、ポイント賞、山岳賞、新人賞、チーム賞、敢闘賞などがある。
ラップタイムは5分弱。本場ツール・ド・フランスの沿道に朝イチから陣取って選手たちを待ち構えるのもいいが、トップ選手らの凝縮された戦いを目の当たりにすることができるのがツール・ド・フランスさいたまの魅力だ。
2023年大会はクリテリウムメインレースの他にタイムトライアルが行われる。
距離約3.1kmのタイムトライアルコースで、国内外プロチームは4人編成のチームタイムトライアルを、女子・男子ジュニア・パラサイクリング選手は個人タイムトライアルを行い、その所要タイムを競う。
個人タイムトライアルではタイムトライアル専用バイクの使用が認められている。パラサイクリング・トラック種目の3km個人パーシュートと500mタイムトライアルで世界タイトルを持つ杉浦佳子に注目。
「私は障害者。落ち込んでいる人がいたら私たちの走りを見て希望を感じていただけたらとてもうれしい」
2020東京パラリンピックでは金メダル2個を獲得。障害というハンデを持ちながら並外れたスピードで走る姿を目撃したい。
2013年の第1回も参加したサガンは相撲部に入門。現大関貴景勝の高校時代の姿も
大会前日の11月4日には、さいたまスーパーアリーナのコミュニティアリーナ内メインステージで、出場選手が登場する大会前日イベントを開催。「さいたま市内交流会」では、埼玉県立与野高書道部の部員と一緒に、選手が書道体験を行う。弱虫ペダルの作者・渡辺航先生とともにイラストゲームにも挑戦する。イベントは無料で一般公開される。ただし観覧席は数に限りがあるため、観覧者が多数となった場合は入場制限する。
悪魔おじさんは2023年も会場で暴れまくるようだ
文:山口 和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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