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【Cycle*2023 パリ〜トゥール:プレビュー】デマールの3連覇なるか! 新・欧州王者のラポルト、絶好調ドゥリーらも虎視眈々 ぶどう畑のグラベルと丘陵が真の猛者を決める
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介高低差図
そんな“パリ〜トゥール メートル”(巨匠)に対抗するのは、9月下旬に新たなヨーロッパ王者に就いたクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ)。春には北のクラシックで主軸を務めるくらいだから、グラベルも当然お手のもの。独走でも、小集団でも、そしてスプリントでも勝てる器用さがあるから、デマールと同様にあらゆる展開に対応が可能だ。
彼らと同様に、このところは“本職”のスプリントだけでなく丘陵コースにも強さを見せているアルノー・ドゥリー(ロット・デスティニー)も楽しみ。その他スプリンター系では、ツール・ド・フランスのシャンゼリゼステージを制したヨルディ・メーウス(ボーラ・ハンスグローエ)や、ブエルタ・ア・エスパーニャでポイント賞を獲ったカーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)、コンスタントに上位を押さえてくるビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)らの名が挙がる。エドワルト・トゥーンス(リドル・トレック)は、この大会でジャパンカップ前の総仕上げ。
「シュマン」と呼ばれるぶどう畑を縫うグラベル区間 マップ拡大
グラベル区間 概要
かたや、オールラウンドに力を発揮するタイプでは、マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)、トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・プロサイクリング チーム)、マッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ)、ロジャー・アドリア(エキポ・ケルンファルマ)あたり。本格的にシュマンが導入された初年度の2018年に勝っているセーアン・クラーウアナスン(アルペシン・ドゥクーニンク)も調子を上げているし、ツールやブエルタでの働きぶりが光ったディラン・ファンバーレ(ユンボ・ヴィスマ)は独走に持ち込むと一気に勝機が膨らむ。
そして、やはり今年もエモーショナルなレースになりそうだ。昨年はフィリップ・ジルベールが引退レースにパリ〜トゥールを選んだが、今回はグレッグ・ファンアーヴェルマート(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム)が“ラストダンス”の舞台にチョイス。その理由は、「キャリア初のビッグクラシック勝利がこのレースだったから」。2011年大会での優勝は、2016年リオ五輪の金メダルや、翌年のパリ〜ルーベ制覇などにつながる大きな一歩だったとの思いは強く、「勝ってキャリアを終えたい」と意欲的。「他の選手にプレゼントをするつもりはないし、もちろんプレゼントしてもらうつもりもない。最後まで本気で走る」との宣言も飛び出した。チームからはブノワ・コスヌフロワもメンバー入りしており、双頭体制でシーズン末のタイトルを目指す。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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