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【ジロ・デ・イタリア2023 第19ステージ結果速報】クイーンステージの古典峠を制したのはサンティアゴ・ブイトラゴ、ジーは今大会4度目の2位、ログリッチが3秒稼ぐ
サイクルNEWS by J SPORTS 編集部サンティアゴ・ブイトラゴが区間通算2勝目!
2023年ジロのタッポーネ(クイーンステージ)、獲得標高5400mにも及ぶコースプロフィールの最終峠は標高2304mと今大会の最高標高地点に設定された(第13ステージのコース変更後)。アクチュアルスタートが切られるとプロトンの速度が上がりタフな1日になることが予想される。
タイムギャップをつけることに成功したローレンス・ワーバス(AG2Rシトロエン)、ヴェリコ・ストイニッチ(チーム コラテック)の2人にデレク・ジー(イスラエル・プレミアテック)、アレックス・ボーダン(AG2Rシトロエン)が追いつき、続いて単独でマグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)が、さらに3人の追走と単独でサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)が合流、最終的に15人の先頭グループが形成された。中間スプリントポイントはストイニッチが先頭通過。
最初の峠、2級カンポロンゴまで続く上りで先頭グループとメイン集団とのタイム差は5分半まで開いた残り距離113km地点で、山岳賞2位につけるベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が単独アタック、ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ)が追い、ピノをチェックしている総合勢を含むメイン集団も合わせてペースアップ、集団があっという間に縮小された。
ヒーリーの危険な逃避行は3kmほどかけてピノが追いつき、2人は握手を交わし集団へと戻っていった、今大会の山岳賞争いの幕が閉じたかのように見えた。このアタックで先頭グループとのタイム差は4分にまで縮まった。山頂先頭通過はダヴィデ・ガッブロ(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)、ダウンヒルでちぎれていた選手たちが戻り落ち着きを取り戻し、先頭グループのジーが立て続けに山頂を先頭通過し、この日だけで134ポイントを積み重ねピノと28ポイント差の2位に浮上。明日の個人TTでも最高で40ポイント獲得できるので山岳賞のゆくえはまだわからない。
数々の名勝負が生まれたドロミテのシンボル、名峰トレ・チーメ・ディ・ラヴァレドに入った残り距離6.8kmでジーがアタック、独走で山頂を目指す。ブイトラゴ、マイケル・ヘップバーン(チーム ジェイコ・アルウラー)、コルトだけしか追うことができない。メイン集団はイネオス・グレナディアーズの牽引で15人程度のまで人数を減らしている。
残り距離1.5kmでブイトラゴはジーを追い抜き、山頂までペダルを踏み続けガッツポーズでフィニッシュ、ジロ区間通算2勝目を挙げた。ジーは今大会4度目の区間2位、区間優勝こそなかったものの中間スプリント賞首位、スプリント賞現時点で2位、山岳賞現時点で2位、フーガ賞現時点で2位などの結果を残している。
総合勢はジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)がペースを上げ、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)がアタック、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)がチェックし、アルメイダは少し離れている。ログリッチはさらにペースを上げ先頭グループの選手たちを追い抜きながら急勾配区間を上り、アルメイダが追いつきトーマスがロングスプリント、さらにログリッチが抜き返しトーマスに3秒のタイム差をつけフィニッシュ。アルメイダはトーマスから20秒後にフィニッシュ、総合タイムはトーマスから+26秒でログリッチ、+59秒アルメイダと全ての決着は個人タイムトライアルへと持ち越された。
「とてもうれしい、逃げに乗るために懸命に走った、この観衆の前で勝利できたことは別格、完璧な1日の特別な勝利」ブイトラゴ勝利後インタビュー
J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTube
【ハイライト】ジロ・デ・イタリア 第19ステージ|Cycle*2023
ステージ順位
1 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア/バーレーン・ヴィクトリアス)in 05h 28' 07''
2 デレク・ジー(カナダ/イスラエル・プレミアテック)+ 00' 51''
3 マグナス・コルト(デンマーク/EFエデュケーション・イージーポスト)+ 01' 46''
4 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィスマ),,
5 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)+ 01' 49''
6 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル/UAEチームエミレーツ)+ 02' 09''
7 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス),,
8 テイメン・アレンスマン(オランダ/イネオス・グレナディアーズ),,
9 ティボー・ピノ(フランス/グルパマ・エフデジ)+ 02' 16''
10 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア/モビスター チーム)+ 02' 26''
・・・
116 ジョナサン・ミラン(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 43' 20''
118 新城幸也(日本/バーレーン・ヴィクトリアス),,
個人総合順位
1 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)in 09h 55' 47''
2 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィスマ)+ 00' 26''
3 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル/UAEチームエミレーツ)+ 00' 59''
4 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 04' 11''
5 エディ・ダンバー(アイルランド/チーム ジェイコ・アルウラー)+ 04' 53''
6 ティボー・ピノ(フランス/グルパマ・エフデジ)+ 05' 10''
7 テイメン・アレンスマン(オランダ/イネオス・グレナディアーズ)+ 05' 13''
8 レナード・ケムナ(ドイツ/ボーラ・ハンスグローエ)+ 05' 54''
9 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー/チームDSM)+ 06' 08''
10 ローレンス・デプルス(ベルギー/イネオス・グレナディアーズ)+ 07' 30''
・・・
122 新城幸也(日本/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 05h 08' 37''
ポイント賞
1 ジョナサン・ミラン(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)215 Pts
2 デレク・ジー(カナダ/イスラエル・プレミアテック)160 Pts
3 パスカル・アッカーマン(ドイツ/UAEチームエミレーツ)95 Pts
山岳賞
1 ティボー・ピノ(フランス/グルパマ・エフデジ)228 Pts
2 デレク・ジー(カナダ/イスラエル・プレミアテック))200 Pts
3 ベン・ヒーリー(アイルランド/EFエデュケーション・イージーポスト)164 Pts
ヤングライダー賞
1 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル/UAEチームエミレーツ)in 81h 56' 46''
2 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー/チームDSM)+ 04' 14''
3 テイメン・アレンスマン(オランダ/イネオス・グレナディアーズ)+ 05' 09''
チーム総合順位
1 バーレーン・ヴィクトリアス(バーレーン)in 245h 35' 12''
2 イネオス・グレナディアーズ(イギリス)+ 19' 59''
3 ユンボ・ヴィスマ(オランダ)+ 33' 47''
リタイア
73 ヒュー・カーシー(イギリス/EFエデュケーション・イージーポスト)
第20ステージコースマップ
5月27日(土)第20ステージ
タルヴィーズィオ > モンテ・ルッサリ
18.6 km(個人タイムトライアル ★★★★★)
3週間にわたるマリア・ローザ争いに、ついに審判が下る。山頂フィニッシュ3連戦の締めくくりの、今大会3回目の個人タイムトライアル。ライバルたちとの直接対決はすでに前夜で終了し、後はひたすら自分とストップウォッチと山と向き合うだけ。ローマでの戴冠式は、24時間後に迫っている。
全長18.6kmのコースは、2つの正反対の道が組み合わさって出来ている。スロヴェニアとオーストリアとの国境線からほんの数キロの町、タルヴィーズィオから走り出すと、まず序盤10.8kmはほぼ平坦路を行く。道幅も広く、カーブも少なく、いわゆるスペシャリスト向けのコースと錯覚しそうになる。
ちなみに自転車専用路「アルプ・アドリア・サイクル・パス」が、前半6kmのコースを沿うように走る。これは古い線路跡を利用したもので、できる限り高い山を避けながら、オーストリアのサルツブルグからアドリア海岸までを横断できるルートなのだとか。ただし、この日のジロは高い山を避けるどころか、積極的に立ち向かう。10.8km地点(残り7.8km)で第1計測を終えた直後に、1級モンテ・ルッサーリへの登坂へと取り掛かる。
全長7.3kmの山道は、地図アプリで「道」と認識されないほど鬱蒼とした森の中。狭く、ヘアピンカーブの連続で、平均勾配は12.1%。完全にピュアクライマー向けのコースだ。しかも序盤約5kmにわたって平均15.3%で、最大22%ゾーンもあり。一旦勾配は緩むものの、フィニッシュ手前1.5kmから再び勾配は11.9%に跳ね上がるし、またしても22%の波がやってくる。まるで拷問!
山道の14.3km地点(残り4.3km)と最終盤17.8km地点(残り0.8km)にも、それぞれタイム計測が予定されている。また開催委員会の計算によれば、優勝タイムは37分前後の予定。前日の最下位から降順スタートは変わりなく、ただ全選手を3グループに分け、各組の間にはそれぞれ45分の休憩が挟まれる。気になる自転車交換は、メカトラ理由であればいつなんどきでも許可されるが、平地用から山岳用への切り替えは決められたゾーン(第1計測地点の直前)で行う必要がある。
ところでグランツール最終日前日の山岳TTと言えば、最後に行われた2020年ツールの教訓を決して忘れてはならない。57秒リードで総合首位に立っていながら、ステージの終わりには59秒遅れの総合2位に後退していた……そんな悪夢が、イタリアの激坂でも繰り返されない理由はない。
高低差図
ステージ詳細テキスト:宮本あさか
J SPORTS 編集部
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