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5.6 ジロ・デ・イタリア2023開幕!栗村さんとサッシャさんがその魅力を語り尽くす
サイクルロードレースレポート by J SPORTS 編集部サッシャさん(左)と栗村さん(右)
ジロ・デ・イタリアについて
サッシャ:サイクルロードレースファンの皆さん、おはようございます。こんにちは。こんばんは。どうも!
栗村:これ我らワールド?
サッシャ:違います。
栗村:違うよね。
サッシャ:ということで栗村さん、ジロ・デ・イタリアって何ですか。
栗村:なんと自転車でイタリアを一周しちゃいます。
サッシャ:何日間で?
栗村:3週間かけて。
サッシャ:21ステージ+休息日。
栗村:23日間の流れですね。走行距離がだいたい3500km前後。3000kmから3500kmくらい。とてつもない数字ですね。
サッシャ:それだけじゃないんですよね?
栗村:ジロ・デ・イタリアを一周する中で、特にイタリアは北部にアルプス山脈があったり、ただ3500kmを走るだけではなくて、過酷な山をたくさん越えたりとか。時期が5月の大会なので、山に雪が残っていたり。
サッシャ:標高が高いですもんね。
栗村:寒さとの戦いもある。ということで、とにかく厳しいレース。それがジロ・デ・イタリア。
サッシャ:世界3大ツールの一つですよね。
栗村:そうですね。イタリア1周、フランス1周、スペイン1周。この3大ステージレースで通称グランツール。
サッシャ:フランス語でグランプリのグランですね。
栗村:そうですね。
サッシャ:大きいとか偉大な、という意味で。
栗村:ジロ・デ・イタリアはグランツールのシーズン1発目になります。
サッシャ:毎年コースが変わるんですよね。今年はどんなコースですか?
栗村:ここ数年というか、国外スタートが流行っていたんです。
サッシャ:基本的には海外スタートってよくありますね。
ジロ・デ・イタリア2023コースMAP
栗村:2022シーズンはグランツール全てが国外からスタートでした。
サッシャ:コロナからの復活みたいなところも印象つけたところもあったと思うんですけどね。
栗村:ジロ・デ・イタリアはイタリア一周レースなのに、国外からスタートするの?って思うじゃないですか。なんでかと言うと、これです(とお金のマークを出す)。
サッシャ:生々しいな。その理由なの?
栗村:背に腹は変えられない。
サッシャ:そんな赤字経営なんですか。
栗村:そういうトレンドがあったんですけども2023年のジロ・デ・イタリアはなんと、これをしなかったんです。ほぼ国内でのレース。
サッシャ:じゃあ、もう健全経営。
栗村:ただ大変は大変。スタートはイタリアの中心部ですね。
サッシャ:長靴のちょうど真ん中ぐらいですね。
栗村:そこからスタートするということで、中部から南部に一回降りて、また中部を通って北西部に行く。スイスのアルプスを通ってイタリアのアルプスを通ってドロミテに行って、また中部。ローマに飛行機移動するのかな。中部でフィニッシュです。
サッシャ:最後ローマですよね。
栗村:イタリアを本当に何往復もする感じ。
サッシャ:下に行って、上に行って。また下に行って。
栗村:僕はこのグランツールにはキャッチフレーズをつけているんです。韻を踏んで。ジロ・デ・イタリア2023、キャッチフレーズは「やりす・ぎ・イタリア」でお願いします。
サッシャ:そんなに韻を踏んでないな。ゴロもよくないな。それで言うなら「やりすぎ・デ・イタリア」じゃん。
栗村:それ!「やりすぎ・デ・イタリア」でしょ。
今年のコースは5000m超えの山岳コースが3つ
サッシャ:どの辺でやりすぎなんですか。
栗村:もともとジロ・デ・イタリアって山岳コースが厳しすぎるんですよ。世界最大の自転車レースはツール・ド・フランスって言われてるんですけど、そこに対抗したいが故に。
サッシャ:こっちこそ世界一だって感じですもんね。
栗村:それが毎年、毎年、麻痺してどんどんやりすぎちゃった結果が今年の「やりすぎ」。
サッシャ:ついに行くところまで行ってしまった。
栗村:まず専門的な話になるんですけど、コースの厳しさを表現するときに獲得標高が出てくるんですね。
サッシャ:要するに、何mを一日に上るかですね。
栗村:コースの中で上り坂の標高差を全部足していくんです。それは獲得標高って言うんですけど、大体 3000m台ぐらいからかなりの難コースって言われてるんですよ。
サッシャ:一日に全部で 3000m以上を登る。富士山のほぼ頂上に近いところまで一日で上っちゃうぐらいだと大変。
栗村:ただ今年のジロ・デ・イタリアは、まず第7ステージ。まだ始まって1週間。獲得標高なんと4183m。
サッシャ:富士山を越えた。
栗村:なかなか見ませんからね。そのまた1週間後の第13ステージ。クラン・モンタナ。そのステージの獲得標高5267m。
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ジロ・デ・イタリア 2023はやりすぎ・で・イタリア!?栗村修さんとサッシャさんによる、ジロの魅力と楽しみ方
サッシャ:ええ!3000mいったらすごいって言って5000m。
栗村:5000m台って、ほぼ聞かないですからね。1週間走って5000mを上らされる。今度は第16ステージ、モンテ・ボンドーネ。なんと獲得標高5646m。
サッシャ:5646m!
栗村:2回目です。5000m超えが。
サッシャ:とんでもないですね。
栗村:さらに第19ステージ。
サッシャ:まだあるの?
栗村:4000、5000、5000m。でも実はクイーンステージが来てない。
サッシャ:ええ?これでクイーンステージ来てないの?
栗村:そうなんです。全21ステージ中、終盤の終盤です。第19ステージ。
サッシャ:終わりの2日前。
栗村:これがクイーンステージで獲得標高は5469m。
サッシャ:ええ!3回目の5000m超え。
栗村:本当にやりすぎでしょ。
サッシャ:やりすぎですね。
栗村:さらにもう一つやりすぎ要素がある。なんと近年のグランツールで、これもまたほぼ見たことない。個人タイムトライアルがなんと3回もあります。
サッシャ:え?2回目までは見たことあるんですよ。
栗村:第1ステージ、その次が第9ステージで33km。最後は第20ステージで、なんと山岳TT。
サッシャ:うわぁ。
栗村:さっきの第19ステージのクイーンステージの次の日。距離は18.6kmですけど、7km上る。
サッシャ:うわあ……。
栗村:やりすぎでしょ。
サッシャ:やりすぎですね。どこまでも優勝が読めない。
栗村:読めないし、完走が……。
サッシャ:ローマに来たら25人くらいとかだったら……。
栗村:5人くらいじゃない?
サッシャ:180人くらい出ますからね。数字的には半分以上は完走するんですよ、普通は。120〜130人って言うとめちゃめちゃ少ないイメージですよね。
栗村:そうですね。何かあったかな的な。
サッシャ:180人ではじまってね。それが5人。
栗村:それくらいやりすぎですね。
サッシャ:確かに、これタイムアウトにもなりそうですね。
栗村:そうですね。スプリンターと言われる平坦の選手はね。
サッシャ:何分以内にゴールしなきゃいけないって決まってるから。大変なんですけど、じゃあ今年は誰が注目なんですか?
注目選手はエヴェネプールvsログリッチ
昨年ブエルタ・ア・エスパーニャを制したレムコ・エヴェネプール
栗村:僕はリチャル・カラパスのファンなんで、去年のジロ・デ・イタリアは面白かったけど、もう一歩物足りなかった。あえて本音を言ってます。放送では言わないですけど。
サッシャ:YouTube専用の本音。
栗村:でも、ですよ。今年はツール・ド・フランスみたいな戦いが見られるんです。
サッシャ:つまり豪華ってことですか?
栗村:超一流選手が優勝を争います。自転車ロードレース界で世界チャンピオンって特別な存在なんですよね。マイヨ・アルカンシェルという虹色の世界チャンピオンの証の特別ジャージを1年間着られるんですよね。そのアルカンシェルを着た選手が、若きベルギーの至宝レムコ・エヴェネプール。名前がいいでしょ。
サッシャ:いいですね、レムコ。
栗村:そのレムコが昨年スペイン一周レース(ブエルタ・ア・エスパーニャ)と世界選手権とモニュメントのリエージュ~バストーニュ~リエージュで勝った。モニュメント、グランツール、世界選手権を同年で勝った選手は過去4人しかいない。
サッシャ:4人しかいない。
栗村:4人目がエヴェネプール。ものすごく久々だったので、それくらいの選手が今年はジロ・デ・イタリアを狙うと言っています。
サッシャ:もう正直、ツール・ド・フランスよりすごいじゃないですか。
栗村:ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアが並んだくらいかな。やっぱり選手数が多いので、レースを見ると西軍の大将と、東軍の大将みたいな2つの軸が大事なんです。
サッシャ:急に関ヶ原の戦いになったね。
栗村:例えばツール・ド・フランスだと去年と一緒。
サッシャ:タディ・ポガチャルvsヨナス・ヴィンゲゴー。お馴染みの戦いになる。
栗村:でも、今年のジロ・デ・イタリアはエヴェネプール対、あの悲運のチャンピオン、プリモシュ・ログリッチ!
サッシャ:ツール・ド・フランスで衝撃的な逆転負けをした......。
栗村:サッシャさんどっちが見たい?ログリッチvsエヴェネプール。ポガチャルvsヴィンゲゴー。
サッシャ:そりゃもうエヴェネプールvsログリッチでしょ。
栗村:ポガチャルvsヴィンゲゴーはこの先ずっと続きそうだし、自転車ロードレースの定番アイテムみたいな感じじゃないですか。でもエヴェネプールvsレムコ……。
サッシャ:同じになっちゃった。エヴェネプールvsログリッチでしょ。
栗村:そうそうそう。これはレアアイテム。それが今年、見られる。
サッシャ:もしかしたら、ここでの決戦はゆくゆくのツール・ド・フランスの決戦になるかもしれない。
栗村:特にエヴェネプールは昨年スペイン一周を制して、今年のジロ・デ・イタリアに挑戦します。いつかツール・ド・フランスにも行きますからね。
サッシャ:ステップを踏むわけですね。未来のツールチャンピオンかもしれない。
ジロ・デ・イタリアの楽しみ方はお城や景色
栗村:戦いという部分は、今の選手を軸に見ていただきたいんですけども、自転車レースの楽しみ方は景色ですよ。
サッシャ:ジロ・デ・イタリアは世界遺産とか観光名所みたいなところが文字でちゃんと(映像に)説明が入るんですよ。
栗村:しかも英語だからね。
サッシャ:英語で説明が入るのでパパッとご紹介できるので、非常に濃密にお伝えできるかなと思ってます。ただ一個難点があって、テロップが消えるのが速い。
栗村:読み取れない?
サッシャ:読み取れないですよ。5行ぐらいのやつ、5秒で消えるからね。たまに追いつかないときあるので、イタリア国営放送はいい加減にもうちょっと長く出してくれってクレームをお願いしてもいいですか?
栗村:わかりました。
サッシャ:さすが世界の栗村修。
栗村:ペロペロっとやっておきます。イタリアペロペロ・ペペロンチーノです。
ジロ・デ・イタリア期間は街がピンクに染まる
街中がピンクに染まる
サッシャ:知っていると自慢できるようなジロ・デ・イタリアの小ネタがあれば教えてください。
栗村:教えたくないな。
サッシャ:そこをなんとか。
栗村:びっくりですよ。ジロ・デ・イタリアの知っていると自慢できることは、街にある噴水がピンク!
サッシャ:そうね。
栗村:結構、渾身のボケだったんだけど。
サッシャ:いや、だからそんなのボケさせませんよ。
栗村:考えてきたんだけどな。ピンクの噴水っていうか、街がピンクになるんですよ。
サッシャ:そうなんですよ。全部がね。
栗村:ツール・ド・フランスは黄色なんですよね。チャンピオンが着るジャージが黄色=マイヨ・ジョーヌっていうんですけど、ジロ・デ・イタリアはマリア・ローザでチャンピオンジャージがピンク。それを街々で表現するんですけ。お城をピンクでライトアップしたり、噴水をピンクにしたり。
サッシャ:水に色を付けてますよ。
栗村:あのあとはどうなるのかな。
サッシャ:環境に悪いものは使ってないと思いますよ。
栗村:でも、すっごいピンクですよ。
サッシャ:すっごいピンク。
栗村:そういうのを楽しんでいただければ。
サッシャ:そうですね。僕はその流れでいうと、紙吹雪多すぎ問題。ピンクの紙吹雪が出るんだけど、最後、ローマのフィニッシュや優勝者が出てくる時。
栗村:表彰台だよね。
サッシャ:表彰台で選手が見えない。普通、選手が隠れるくらい紙吹雪が出たらクレームじゃないですか。だって、感動の瞬間で「優勝した」っていう時の、その表情を撮りたいじゃないですか。「やったー!」っていうね。
栗村:確かにあの紙吹雪を見るとジロ・デ・イタリアだなって感じ。大体、ちょっと多めだな、派手だなって。
サッシャ:だいぶ多いですね。そして、このジロ・デ・イタリアといえば、今年はまだわかりませんけど、日本人選手に出てもらいたい。
栗村:そうですね。
日本人選手の活躍も期待したい
サッシャ:やっぱり日本人選手にもっともっと海外で活躍してほしいなと。今、新城幸也選手も頑張ってくれてます。今日の段階ではまだ出場選手が発表になっておりませんので、新城選手が出る可能性も全然ゼロではないんですけど、もっともっと日本人選手が、この世界のトップの大会に出るためには栗村先生、どうしたらいいか教えてください。
栗村:まず前提として新城選手は、日本のエース選手なんです。
サッシャ:石垣島出身。
栗村:彼はもう本当に10年以上、その世界のトップレースに君臨しているんです。
サッシャ:38歳。
栗村:逆に言うと、新城選手を超える選手が出てきてないんです。日本人で。日本のレース界の一つの問題は、第二の新城というか新城選手を超える選手の発掘、育成が大事だと。
サッシャ:連続性が起きてないってことですね。
栗村:はい。これがまずベースにあります。じゃあ、どうしたら海外の強豪国のように発掘・育成が効果的に効率的に行えるかっていうのが我々の課題です。正直、これはまだ正解は見つけられてないんですけど、諸外国の例を考えると、いくつか要素があって。当たり前なんですけどもスポーツの世界なので、まず才能を見つける。他の競技との人材の奪い合いみたいなのはスポーツの世界にある。もちろんサッカーがうまい子が全員、自転車が速いわけじゃないので、競技特性はあるんですけど、全体的にやはり運動能力の高い人材が日本の自転車界に入ってくる仕組みをつくる。自転車レースをやることのメリットをしっかりと提示していく。あとは発掘した才能を効率的に育てることです。海外のレースを走らないと最終的にはダメなんですけど、今、その前の段階としてロードレースの選手なんだけど、トラック競技、例えば競技場でやる競技だったり、最近はシクロクロスなどオフロード系の種目があるんですよね。意外とロードレースじゃない種目を若い時にやっていた子が世界のトップランカーになって、ロードに転向すると伸びる。
サッシャ:これが今、トレンドなんです。僭越ながら私も一つ挙げさせていただきます。
栗村:お願いします。
サッシャ:若いうちからトップ競技を見るといい。いいレースを見ると子どもたちにいいイメージを与えるし、僕もこれやりたい、これならできる、私もやりたいってなる。日本のサッカーもいろいろなトップの試合が見られるようになったから強くなりました。自転車はJ SPORTSが頑張ってますから、観る人が増えればということで。
栗村:サッシャさんのスポーツ実況は、どのチャンネルにするといるの?
サッシャ:J SPORTS。
栗村:え?サッシャさん見れるだ。
サッシャ:栗村さんはどこで解説しているの?
栗村:僕はね、J SPORTS。
サッシャ:あのボケを考えようと思って、思いつかなくて笑うのはやめてもらっていいですか。ということで、J SPORTSぜひご覧いただいて、ジロ・デ・イタリアを見て、そしてあなたも、あなたのご家族も、ひょっとしたら、未来のジロ・デ・イタリアチャンピオンになるかもしれない。その一歩は今日始まるということで、今すぐ加入してください。オンデマンドもありますよね。スマホでもよろしくお願いします。ということで、ジロ・デ・イタリアの魅力をお届けしました。ありがとうございます。ではまた中継でお会いしましょう。さよなら!
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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