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サイクル ロードレース コラム 2023年1月16日

【Cycle*2023 ツアー・ダウンアンダー:プレビュー】真新しい時代の空気をまとうツアー・ダウンアンダーで自転車ロードレースシーズン、いざ開幕

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ツアー・ダウンアンダー

オーストラリアで自転車シーズン開幕

いつもと変わらない、開幕の時がやってきた。とうとう!待ちに待った!2年の空白を経て、真夏のオーストラリアに、地球全土からトッププロライダーが集結する。新型コロナウイルス禍を乗り越えて、2023年1月、ツアー・ダウンアンダーが来たるべき自転車ロードレースシーズンの始まりを告げる。

過去20大会プロトンを受け入れてきたウィランガ・ヒルへの上りも、その伝説の勝負地を史上最多6度制してきたリッチー・ポートも、ただし今年はもういない。寂しいけれど、決して後ろは振り向かない。2023年大会は、真新しい時代の空気をまとうのだ。いつもとは違う風景が、きっと、そこには広がっている。

新たに勢ぞろいした18のUCIワールドチームを含む全20チームは、いきなり初日から、新しい風を感じるに違いない。1999年に創設された今大会の、まさに南オーストラリア州の荒野を象徴する黄土色(オークル)のリーダージャージを最初にまとう権利は、伝統的にスプリンターたちが競り落としてきた。ところが2023年、6日間のステージレースは、大会史上初のタイムトライアルで走り出す!

アデレードのトレンズ川ほとりで繰り広げられるのは、わずか5.5kmの超短距離プロローグ。すでに開幕3日前の市街地クリテリウムで、ウォーミングアップを済ませた脚自慢たちが、全速力でシーズン初勝利を奪いに行く。

2日目の第1ステージは、世界有数のワイン名産地バロッサ・バレーを縦横無尽に駆け巡る、変則的な周回アップダウンコース。ブルーのスプリントジャージやグリーン玉の山岳ジャージを巡る戦いも、本格的に勃発する。つまり大集団スプリントフィニッシュは、もしかしたら3日目までお預けだ。海水浴客で賑わうビーチを横目に眺めながら、フルリオ半島を横断する第2ステージは、海沿いの直線道路で決する。

総合争いが大きく動くのが、自然保護公園に描かれた第3ステージ。アッシュトン頂への登坂距離9.6km、平均勾配4.8%・最大17.8%の上りから、ハードな1日は幕を開ける。その後も細かいアップダウンは果てしなく続く。しかもフィニッシュ手前34.6km地点のチェッカーズ・ヒル(1.1km、9.4%、18.9%)、さらには残り5.8km地点のコークスクリュー・ロード(2.3km、9.2%、24.4%)と、とてつもない2つの激坂が選手たちを待ち受ける!

ツアーダウンアンダー

オーストラリア人選手の活躍にも注目

ウィランガの街でフィニッシュするけれど、ウィランガ・ヒルには足を伸ばさない。そんな第4ステージには、むしろスプリンター向けの変則的周回コースが用意された。ただし勝ちを引き寄せたいなら、あくまで「登れる」スプリンターでなければならない。2度通過し、3度目には勝者を選び出すフィニッシュラインへと続く道は、全長2.4km、平均2.9%、最大5.6%の軽い上り坂だ。

最終日は伝統の大集団市街地スプリントステージでもなければ、見慣れた山が舞台でもない。2023年最初のワールドツアーステージレース総合覇者にして、新しい日常の新王者は、未知の山を上り詰めた先で誕生する。

2021年に大会委員長に就任した地元っ子であり、元選手のスチュアート・オグレイディが新しいフィナーレに選んだ地は、ずばりマウント・ロフティ。アドレードの市街地とセントビンセント湾とを一望できるこの地への坂道は、登坂距離事態は1.3kmと決して長くはない。しかし平均勾配は7.3%、最大勾配は13.3%の急坂を、選手たちは5度も駆け上がらねばならない。112.5kmの短距離走で、累計獲得勾配は実に3100mを超えるのだ!

こんな懐かしくて、それでいて新しいツアー・ダウンアンダーに凄まじい意欲を燃やすのは、やはり地元オーストラリアの強豪たち。2015年大会覇者のローハン・デニスは、得意の初日タイムトライアルで輝きを放つに違いなく、マイケル・マシューズやカレブ・ユアンの俊足勝負も注目される。昨ブエルタで山頂フィニッシュ2区間をさらいとり、数日前にはオーストラリアTTチャンピオンに輝いたばかりのジェイ・ヴァインは、新加入チームで意気込みも新た。昨ジロ総合覇者ジャイ・ヒンドレーや一昨年ツール総合4位ベン・オコーナーにとっては、シーズン最大目標「ツール・ド・フランス」への道がここから始まる。

ヒンドレーの他に、サイモン・イェーツ、ゲラント・トーマス、クリストファー・フルームのグランツール総合優勝経験者3名も、オーストラリアでシーズンスタート。また過去2度総合を制したダリル・インピーや、リーダージャージ着用経験のあるパトリック・ベヴィンら、南半球の強豪たちにも注目したい。

もちろんアルペシン・ドゥクーニンクとアルケア・サムシックといった新しいワールドチーム、ジェイコ・アルウラー(旧バイクエクスチェンジ)やらスーダル・クイックステップ(旧クイックステップ・アルファヴィニル)の新しいチーム名、さらには新しいジャージや新所属先、話題の新人たち……のチェックも、2023年初戦の機会にどうぞ抜かりありませぬように!!

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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