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【Cycle* J:COM presents 2022 ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム:レビュー】ヤスパー・フィリプセンがシャンゼリゼに続きさいたまクリテ初勝利「日本人のメンタリティはいいなと思った」
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸ヤスパー・フィリプセン
「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」が11月6日、さいたま新都心駅周辺で開催され、2022ツール・ド・フランスで最終日のパリ・シャンゼリゼを含む区間2勝を挙げたベルギーのスプリンター、ヤスパー・フィリプセン(ツール・ド・フランス クリテリウムレジェンズチーム)がクリテリウムメインレースで初優勝した。
アルペシン・ドゥクーニンクに所属するフィリプセンは今回のレースで、ツール・ド・フランス史上最多タイ記録となるステージ通算34勝を挙げたマーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファビニル)と、前大会となる2019年のさいたま優勝者、新城幸也(バーレーン・ビクトリアス)の3人でツール・ド・フランス クリテリウムレジェンズチームとして参加した。
ゴールは3選手によるスプリント勝負になり、タイム差なしの2位が2022ツール・ド・フランス総合優勝者ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)、同じく3位が2018ツール・ド・フランス総合優勝者ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)。
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配信期間 : 2022年11月20日午後5:30 ~ 2022年11月20日午後8:30
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配信期間 : 2022年12月17日午後7:00 ~ 2022年12月17日午後11:00
強い日差しが照りつける絶好のレース観戦日和。3年ぶり8回目のレースとなったことで、待ちに待ったサイクルロードレース好きが続々と集まった。併催イベントのサイクルフェスタやグルメのさいたマルシェは会場入口に行列ができるほどの盛況ぶり。沿道も大勢のファンで埋まった。
注目のクリテリウムメインレースは一周約3.5kmのコースを17周して着順を競うもの。序盤から日本勢が積極的な走りを見せてハイペース化。2000ツール・ド・フランス新人王、2005ツール・ド・フランス総合4位の記録を持ち、現在はマトリックスパワータグに所属するスペインのフランシスコ・マンセボらも単独で飛び出した。
レースは残り4周になってになって2013ツール・ド・フランス総合優勝のヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナカザクスタン)と元世界チャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)の2選手がアタック。2人とも今シーズンを最後に引退する英雄で、沿道のファンから大声援を受けながら激走。残り2周で後続集団に追いつかれると、さり気なく握手をかわしてお互いの健闘をたたえた。
ここから4度のツール・ド・フランス総合優勝を誇るクリストファー・フルーム(イスラエル・プレミアテック)、フィリプセン、ヴィンゲゴー、トーマスの追走集団が先頭に。最後はフィリプセン、ヴィンゲゴー、トーマスの3選手によるゴールスプリント勝負となり、フィリプセンがシャンゼリゼに続いて優勝した。
「シャンゼリゼとは異なるコースレイアウトで、トンネルのアップダウンがあるのでそこで脱落しないように気を使った。スプリントには自信があって、そこが強みなのでそれを生かすことができてよかった」とフィリプセン。
イベントで浴衣姿を披露した選手たち
フィリプセンは初来日にもかかわらず、事前に交通系アプリのPASMOをインストールするなどで、中野ブロードウェイや渋谷のスクランブル交差点、寿司屋の大トロなどを楽しんだという。
「日本は親切な人が多く、とても楽しかった。さまざまなことがベルギーとは異なって興味深かった。お互いをリスペクトする気持ちがある日本人のメンタリティはいいなと思った」
コロナ禍による2年の中断もあったが、フィリプセン自身は世界のトップクラスに位置するクールな選手と戦うことができてとても貴重な経験ができたと感慨深い面持ち。
「今年のツール・ド・フランスで2勝できたことでいいシーズンだったと思う。ボクは少しずつ成長している。最終的なゴールはツール・ド・フランスで勝つこと」とフィリプセンは記者会見で語った。
クリテリウムメインレースのポイント賞はカヴェンディッシュ、山岳賞はシモン・ゲシュケ(コフィディス)、敢闘賞は新城、新人賞はフィリプセン。最優秀チーム賞はバルベルデ、エンリク・マス、ホセ・ロハス、イマノル・エルビティのモビスターチーム。最優秀日本人チーム賞は岡本隼、當原隼人、渡邉歩、鈴木譲の愛三工業レーシングチーム。
大会の華となるクリテリウムメインレースの他、タイムトライアルも開催された。海外招聘選手・国内参加選手が参加したチームタイムトライアルでは、フルーム、ユーゴ・ウル、ギヨーム・ボワヴァン、サイモン・クラークがその名を連ねるイスラエル・プレミアテックが最速タイムで優勝した。
また個人タイムトライアルには女子4人、男子ジュニア3人、パラサイクリング7組8人が参加。全日本選手権2冠の樫木祥子をはじめ、ロサンゼルス五輪での活躍が期待される垣田真穂、池田瑞紀の高校生も出場。東京パラリンピックの個人タイムトライアル(ロード)と個人ロードで2つの金メダルを獲得して話題になった杉浦佳子が元気な姿を見せた。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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