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サイクル ロードレース コラム 2022年11月4日

ファンの皆さんへメッセージ | 別府史之のetape par etape

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ファンの皆さんへメッセージ | 別府史之のetape par etape

ファンの皆さんへメッセージ | 別府史之のetape par etape

本場ヨーロッパの自転車ロードレース界で、長年トッププロとして活躍してこられた別府史之さんにお話を聞く、「別府史之のetape par etape(エタップ・パー・エタップ)」。

最終回となる今回は、ジャパンカップでの引退セレモニーを終えた別府さんに、あらためてファンの皆さんにメッセージを届けてもらいました。セカンドキャリアの展望についても詳細に語っていただきました。

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ジャパンカップでの引退セレモニーについて

去年、すでに選手としての現役は退きましたが、本当はジャパンカップを現役最後のレースにしたいとずっと願ってたんです。だけどコロナ禍で中止になってしまって、自分としても、諦めざるを得ない状況でした。このままもう日本で最後に走ることはかなわないんだな……という思いの中で引退の決断をしました。

でも、やっぱり心の中では、プロ生活17年の締めくくりとしてみなさんにお礼を言いたかった。そして今回、ジャパンカップの主催者さんの粋な計らいで、引退セレモニーという形で走る機会をいただけました。

ジャパンカップクリテリウムのパレードランを1周走っている間に、3年ぶりに懐かしいファンのみなさんの顔を見ることができました。プラカードやうちわを持ってきてくれた方もいましたし、選手を辞めた身ではあるんですけれど、心からねぎらいの言葉とかもいただけました。「今までありがとう!」っていう声に、涙が止まらなくなるような状況も多々ありました。本当にやってよかった。選手生活の一区切りを終えることがちゃんとできたな、と自分自身も嬉しかったですね。

ただ、最後に、トレックのヤロスラフ・ポポヴィッチさんが大きな花束を持ってきてくれた。トレックジャパンの野口さんも一緒に来てくれて、サプライズな演出で、それを見た瞬間に涙がぶわーーーって止まらなくなって。ちょっと感極まってしまいました。

長い長い間一緒に戦ってきた戦友でもあるし、自分の中でポポヴィッチ選手は尊敬する大先輩でもあるので、本当に嬉しかったです。ずるいですよ、あの演出は(笑)。ただ、なんというか、改めて、ああ、これで終わりなんだなと……。

引退セレモニーでは「次の挑戦」について語っていました

「セカンドキャリアでは日本の蒸留酒、焼酎をフランスで作りたい」と言ったので、多分、すごくみなさん驚かれたんじゃないでしょうか。突然のことだったので。

でも、実は、かれこれ10年くらい前から構想はありました。日本の文化ってすごく素晴らしいなっていう思いがずっとあって、いつか現役をやめた時には日本の文化をヨーロッパの人に正しく伝えていきたい、「こんなに素晴らしいものがあるんだよ」っていう活動をやっていきたいって考えていたんです。その中でも、僕が選んだのは、欧州ではいまだあまり知られていない日本の焼酎でした。

昨年、全日本選手権のために帰国した時に、九州でトレーニングキャンプを行ったんですけど、大分県とか宮崎県とか鹿児島県とか熊本県、長崎県、とか九州をいろいろ回って、実は焼酎の蔵も一緒にまわりました。そこでいろいろ勉強させてもらいました。麦焼酎、芋焼酎、米焼酎。そして話を聞きながら、これはもしかしたら自分にもできそうかなって。それにフランスでは酒造りは許可制なので、ちゃんとした申請が通れば誰でも作ることが可能です。イメージとしてはクラフトビールとかクラフトジンとか、そんな感覚で作れたらなあと思ってます。

昨年も蔵マスターという、フランスの国内のソムリエさんが選ぶお酒の品評会に招待していただいたのですが、そこには昨年から焼酎部門・泡盛部門というこものができたんですよ。改めて日本の蒸留所、麹を使った蒸留酒というのが評価されている。タイミング的にもちょうど今だったのかな?と。

もちろんサイクリングプロモーターとして、今後も事業を続けていくために、フランスで法人も起ち上げました。J SPORTSでの解説だったり、フランスの企業を日本の自転車界に紹介してあげたり、今お世話になっているエコイさんやズイフトさんのようにアンバサダー的な形をとったりしつつ、今後も日本に自転車の素晴らしさを伝えていきたいという気持ちは変わっていません。

この先は「フミの自転車事業」と「別府の焼酎事業」をやっていきますので、今後ともよろしくお願いします!

フランスで焼酎造りとは大きなチャレンジでは

もちろん日本に美味しい焼酎はたくさんあるんですけど、まずは「自分で作ってみたい」っていう気持ちがあった。というのは、僕は、自転車のプロ選手として長年ヨーロッパで走ってきました。何もなかったところから築き上げていって、プロになって、昨年選手を退いた。

焼酎だってまだ土壌ができてないところで、すごい難しいトライだとは分かっているんですけども、同じ気持ちなんですよ。自転車選手としてやってきた日々と、今後やっていく蒸留酒のプロジェクトは、同じ気持ちでできるかもしれない。そこが大きいところですね。

選手をやめた後にどんな生活が待っているんだろう……って不安になったところもありました。でも新しいことにトライして、誰もやったことのない、今までやったことのないことをやりたかった。それなら今までと変わらぬパッションで頑張れるはずだから、って。だから、このセカンドキャリアのプロジェクトも、なんとしても成功させたいという思いが強いです。

でも焼酎は今すぐにできるわけじゃないですからね。2023年にできたら嬉しいですが、もしかしたら2024年になるかもしれないし。ただ、本当に、自分にとってはドリームプロジェクトです。時間をかけてゆっくり育てていきたいと思ってます。

あ、ひとつ言っておきたいのが、最近ちょっと髪の毛を伸ばしているんですけど、これは焼酎のくだりで、「職人さん」を目指しているという。これで頭にタオルをしばったら職人ぽいじゃないですか。つまり形から入るっていう。あ、これ言うとダサいな(笑)。

ただ自分としては、自転車選手じゃなくなったので、コンセプトは「今までできなかったことをやる」。選手時代はこんな長髪にするってことはなかったので、似合ってる似合ってないは関係なくて、自分の中で「新鮮だな」という気持ちが強いです。

さいたまクリテリウムってどんなイベントでしょうか

2019年大会で優勝した新城幸也

2019年大会で優勝した新城幸也選手

さいたま新都心を走る華やかなレースイベントですね。今回はヨナス・ヴィンゲゴー選手にゲラント・トーマス選手にクリス・フルーム選手……。だってすごいじゃないですか!?2022年のツール・ド・フランス覇者に過去のツール・ド・フランス優勝経験者たち。そうそうたるメンツです。

各チームのエースクラスも来ます。クラウスヴァイク選手も、クス選手も来ます。で、また、ツール・ド・フランスのレジェンド的な。ツール・ド・フランスのステージ優勝回数では歴代トップタイのマーク・カヴェンディッシュ選手も来ますし、さらにはヴィンチェンツォ・ニバリ選手とアレハンドロ・バルベルデ選手の実質的な引退レースになるんじゃないでしょうか。ものすごくたくさんのトピックがありますね。もちろん日本チャンピオンの新城幸也選手も参加するので、いまだジャパンカップの興奮が覚めやらないですけども、さいたまクリテは今からどういうレースになるんだろうってわくわくします。

レース詳細ページ

それに今回の選手たちのメンツを見てもらえれば分かる通り、みんな「また来たいな」って思ってる選手たちばかりですよね。日本のファンのために来てくれる、という選手たちが多いという印象です。ここまで豪華な選手たちが集まるってことは、おそらくなかなかないですよ。それだけたくさんの選手たちが日本を好きでいてくれて、またここで走りたいと思ってくれているんです。

さいたまクリテリウムは、ジャパンカップとはまた違った雰囲気の大会です。僕自身もさいたまのクリテリウム本戦で2位に2回入ったり、敢闘賞をもらったりと、良い走りをさせてもらいました。さいたまは本当にたくさんのお客さんの前で走ることができるので、アドレナリンがすごいんです。

お勧めの観戦ポイントは、大きなコーナーを曲がるところです。みんな綺麗に並んで入るのですが、その光景はツール・ド・フランスのシャンゼリゼの、オベリスクの裏をさーーーっとまわるイメージと重なりますね。うん、みんなが隊列を組んでコーナーを曲がっていく風景は好きです。あと観戦ポイントは、山岳賞のスプリント争いかな。ほんの少しのポイントで山岳賞の持ち主が変わってくるので、そういうところもチェックすると面白いかもしれません。

改めてファンに対してのメッセージをお願いします!

引退セレモニーのときにあまりにも感極まってしまって、上手くしゃべれていなかったな……と後で動画を見てちょっと思ったんですよね。だから改めて言わせてください。

今まで17年間、プラス、このコロナ禍での1年間を繋ぎ合わせて、ずっとみなさんから応援してもらいました。心の底から自分が愛したこの自転車競技で、みなさんから応援してもらえたことには本当に感謝しかありません。今まで応援ありがとうございました。セカンドキャリアのドリームプロジェクトも引き続き応援してもらえると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。

みなさんにまたお会いできる日を楽しみにしてます。これからは日本に住むわけじゃなくて、フランスに拠点を置いているので、日本とフランスで距離があるかもしれません。ただ変わらずSNSで自転車の現地情報等々を発信して行きますので、チェックしてもらえると嬉しいです!

◎Twitter/Instagram @fumybeppu

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ファンへのメッセージ|第7回 別府史之のetape par etape

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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