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サイクル ロードレース コラム 2022年10月6日

【Cycle*2022 イル・ロンバルディア:プレビュー】グランツールエース級クライマーが集結!今シーズン最後のモニュメントで雌雄を決する

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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激坂をよじ登る前回大会王者のポガチャル

激坂をよじ登る前回大会王者のポガチャル

色づいた木々の葉が、北イタリアの道に舞い散り、ヨーロッパの自転車ロードレースシーズンが冬眠の支度を始める頃……。2022年ワールドツアー最終戦にして、今シーズン最後のモニュメントで、グランツールエース級クライマーが火花を散らす!

ベルガモから、コモへ。2014年以来、北イタリアの2都市が、交互にイル・ロンバルディアのスタートとフィニッシュを受け入れてきた。つまり1年前とは進行方向を入れ替えて、2022年大会はベルガモから、長く激しい登坂バトルの幕が開ける。

全長253kmのコースは、過去8年間では最長で、累計獲得標高4800mも、この10年で随一。なにより例年であれば、コース後半に向けて難度がクレシェンドしていったものだけれど、今年は前半から起伏がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。

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スタートからほんの20kmほど走った先で、早くも最初の起伏に取り掛かる。さらには休む間もなく、パッソ・ディ・ガンダの全長9.2kmの山道へと挑む。平均勾配7.3%の本格的な山は、2021年大会では、フィニッシュ約32km地点にそびえ立っていた。しかも山頂手前3kmに渡って続く約10%の難勾配ゾーンこそ、タデイ・ポガチャルが勝利へ続くアタックを打ち込んだ場所である!

今年も、たとえ山頂からフィニッシュまでいまだ200km以上も残っているとはいえ、早くもプロトンは小さく絞り込まれてしまうかもしれない。直後に、畳み掛けるように、短い上りも待っている。

激しい前半戦はいまだ終わらない。さらに上りを2つこなさねばならない。そしてスタートから120.6km、この日5つ目の山岳コッレ・ディ・ベルベンノ(4.5km、6.2%)を上り終えたら、ようやく選手たちに息つく暇がもたらされる。

50km近い平地を走り、体制を立て直した選手たちは、いよいよコモ湖畔へと戦いの舞台を移す。登坂距離8.6km・平均勾配6.2%・最大14%の山道を越えて、真っ先にたどり着くのは、「サイクリストたちの聖地」マドンナ・デル・ギザッロ教会。自転車乗りたちの安全と幸福を祈る鐘の音が、秋の空に美しく鳴り響き、同時にこれが本格的なバトルの勃発を告げる。

ところで、近年は、ギザッロ直後にムーロ・ディ・ソルマノをよじ登るのが恒例だった。ただし最大勾配27%の壁を、いや、むしろ、毎回のように恐ろしい落車を引き起こしてきためまいがするような下りを、プロトンは2年連続で迂回する。

ソルマノの壁がない代わりに、フィニッシュ直前の難度はぐっと増した。例年であればチヴィリオ(距離4.2km、平均9.8%、最大14%)→サン・フェルモ・デッラ・バッターリア(2.7km、7.2%)と、2つの勝負地を経てコモ湖畔へと到着した。しかし、今大会では、サン・フェルモが1回追加された。すなわち走行距離もすでに220kmを超え、しかも長い長いシーズンの終わりの疲れた脚に、残り27.3kmサン・フェルモ→16.7kmチヴィリオ→5.2kmサン・フェルモと立て続けに3つの起伏が襲いかかるのだ。

合計9つの上りが組み込まれた秋の山岳大戦の、優勝候補筆頭に上げられるのは、やっぱりタデイ・ポガチャルだろう。ディフェンディングチャンピオンにして、10月1日ジロ・デッレミーリャ2位、4日トレ・ヴァッリ・ヴァレズィーヌ優勝と、ただいま絶好調。なによりツール総合2勝&モニュメント2勝の絶対的エースを擁する所属UAEチーム・エミレーツ自体が、アルメイダ、フォルモロ、ヒルシ、マイカ、ウリッシ、ポランチと、いわゆる最強メンバーで大会に乗り込んでくる。

そのポガチャルをツールで打ち負かしたヨナス・ヴィンゲゴーも、ツール後の復帰戦クロ・レースで区間2勝&総合2位とすこぶる調子が良い。またブエルタ総合2位エンリク・マスは、ポガチャルを突き放してジロ・デッレミーリャ制覇を果たし、凄まじく勢いに乗っている。

上記3人だけではない。3つのグランツールをいっぺんに始められそうなほどの、豪華メンバーが集結する。5月のジロ・デ・イタリアで初戴冠ジャイ・ヒンドレーに、今ジロ総合3位ミケル・ランダ。昨ジロ総合2位ダミアーノ・カルーゾ、元ジロ覇者テイオ・ゲイガンハート、さらには表彰台経験を豊かなミゲルアンヘル・ロペス、リゴベルト・ウラン、ロマン・バルデ。近年の総合争いに欠かせないアダム・イェーツやダニエル・マルティネス、アレクサンドル・ウラソフ、セルジオ・イギータ、ジュリオ・チッコーネ、ギヨーム・マルタンもやって来る。

もちろん、ヤコブ・フルサンとバウケ・モレマも、かつてのイル・ロンバルディア覇者ーーいすれもベルガモ発コモ着ーーとして、2度目の栄光に向かってスタートを切る。

そして、21世紀序盤を彩った偉大なる2人のチャンピオンにとっては、正真正銘、人生最後のモニュメントになる。3大ツール全制覇&モニュメント3勝ヴィンチェンツォ・ニバリと、ブエルタ総合1勝&リエージュ4勝アレハンドロ・バルベルデが、さいたまクリテリウムで有終の美を飾る前に……ヨーロッパのファンの前で、その長く素晴らしいプロキャリアを閉じる。

自らもブエルタ区間3勝、ジロ山岳賞と誇るべき成績を残し、なによりキャリア終盤は山岳アシストとしてエースたちに尽くしてきたミケレ・ニエベも、この日がラストランとのこと。

そうそう、トレックのチッコーネ、フアン・ロペス、イスラエルのフルサン、マイケル・ウッズ、コフィディスのマルタン、ヴィクトル・ラフェ、EFのウラン、ニールソン・ポーレス、ロットのマシュー・ホームズ、マキシム・ファンヒルス等々は、1週間後の宇都宮ジャパンカップに意気揚々と乗り込んでくる。古賀志林道での勝負の行方を占う上でも、北イタリアでの熱戦から、絶対に目を離してはならない。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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