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サイクル ロードレース コラム 2022年9月24日

各国ジャージの色とチーム事情を予習しよう | Cycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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世界選手権 男子エリート ロードレース

世界選手権 男子エリート ロードレース

普段はスポンサー名を冠したトレードチームの一員として走るプロ選手たちも、世界選手権の機会には、祖国の名の下に集結する。ナショナルジャージを身にまとい、故郷に栄光をもたらすために全力を尽くす。

なにより勝者には、「マイヨ・アルカシェル」、いわゆるレインボージャージだが与えられる。翌年の世界選手権前日まで、同年代別カテゴリーの同種目レースで1年を通して着用を許される虹色のジャージは、自転車界においては、五輪の金メダル以上に重要視される勲章だ。

《2022年世界選手権の出場枠》

●8月16日のUCI国際自転車競技連合の国別ワールドランキングで決定された。
●男子エリートのロードレース出場枠は1位〜10位の国に8名、11位〜20位6名、21位〜30位4名、31位〜50位1名。
●女子エリートのロードレース出場枠は1位〜5位の国に7名、6位〜15位6名、16位〜20位5名、21位以下は3名。
●世界チャンピオンと各大陸チャンピオン(女子はU23チャンピオンも)には、上記枠の他に本人に出場権が与えられた。

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レース詳細ページ

■フランス

出場枠:8+昨世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ
ジャージ:紺、胸・袖口・裾に青白赤の横ライン、襟と両脇に白
リーダー:「決まっているが公表しない」by代表監督トマ・ヴォクレール

策士ヴォクレールによる翻弄作戦は、レース前から始まっている。2連覇中のアラフィリップが、ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージで落車、肩を脱臼したせいでもある。本人も「僕はリーダーのひとりだが、唯一絶対のリーダーではない」と意味深な発言を繰り返す。

ブノワ・コスヌフロワの緊急招集は、「できる限り長く極秘」とチーム内に緘口令が敷かれたそうだ。GPケベックを制した元U23世界チャンプは、そもそも6月末の時点で世界選行きを辞退済み……。しかしケベック直後に、ヴォクレールの再説得で招集を受け入れたというのに、その後1週間以上も内緒にされた。

ちなみに男女アンダー以下と女子エリート選手はエコノミークラスでの旅行だったが、男子エリート選手には、空の旅を快適にすごすため、全員ビジネスクラスが用意されたとのこと。理由は「世界チャンピオンの座を争う可能性がより高いから」。ベルギーのワウト・ファンアールトさえ自費でビジネスにアップグレードしたそうだから……フランス自転車連盟が、とてつもなく高い野望を抱いていることだけは間違いない。

■ベルギー

出場枠:8
ジャージ:水色、胸に黒黄赤の横ライン/黒
リーダー::ワウトとレムコが50:50

超がつくほどの大本命を2人がタッグを組む。1人目は、ツール・ド・フランスで素晴らしく上れる脚を発揮しつつ、チームメートのマイヨ・ジョーヌ獲得に貢献し、自らもマイヨ・ヴェールに輝いたワウト・ファンアールト。そして2人目は、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでモニュメントタイトルを、ブエルタ・ア・エスパーニャでグランツール総合優勝を手に入れたレムコ・エヴェネプール。こんな最強の2人が共闘すれば、間違いなく、ベルギーに敵などいないはずなのだ。

しかし誰もが1年前の醜聞を忘れてはいない。地元ベルギー大会で、史上最強の自転車選手エディ・メルクスを巻き込んで、「ワウトvsレムコ」の壮絶なお家騒動を繰り広げた。挙げ句の果てにレムコは早い段階で疲弊させられ、ワウトは不調で勝負にさえ絡めず、終わってみればメダルなし。いまだ両者の間にはしこりが残っているとかいないとか。

もちろん28歳と大人のワウトは、「去年のミスから学んだ」と、今年はレムコとのダブルリーダー制を粛々と受け入れる。監督のスヴェン・ヴァントーレンハウトは「互いを補い合えるパーフェクトなデュオ」と前向きに語るし、昨大会の一番の犠牲者ーー最後に勝負役を押し付けられ、故郷で4位に泣いた――のヤスパー・ストゥイヴェンは「僕らには2人の強力なリーダーがついている」と、あくまで「2人」を支えていくと宣言。すべてはレムコ次第……なのかもしれない。

■スロベニア

出場枠:8
ジャージ:黄緑/紺、裾に黄緑
リーダー:タデイ・ポガチャル

出場枠決定の段階で国別ランキングは世界3位。タデイ・ポガチャルとプリモシュ・ログリッチとマテイ・モホリッチの3人でポイントを大量収集した成果であり、そもそもポガチャル1人だけで、国別ランキング14位に食い込めるほど!

ただしログリッチはブエルタ時の怪我で、モホリッチはエプスタイン・バール・ウイルス罹患で、いずれも世界選の欠場を発表。スロベニアにはそもそも、「プロ」選手は8人しか存在しない。つまりチーム力の面では明らかに劣る。代わりにすべての戦力はただ最強エースのために捧げられるし、どこかの国と違って、内部分裂など絶対に起こりえない。

幸いにポガチャル本人は、GPモントリオールでファンアールトにスプリントで競り勝ったほど調子が良い。ほぼ同じ周回が使われた1週間前の個人タイムトライアルでは、全力疾走で6位にも食い込んだ。春先にストラーデ・ビアンケを50kmの独走で勝ったポガチャルにとっては、大きなアタックをかますための良き下見となったかもしれない。

■オランダ

出場枠:8
ジャージ:オレンジに白の細かい格子、襟は濃いオレンジ/グレー
リーダー:マチュー・ファンデルプール

代表監督コース・ムレンハウトの分析によれば、今回のコースは「ツール・デ・フランドルとアムステル・ゴールドレースとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュのミックス」とのこと。

今年のルーベ覇者(ディラン・ファンバーレ)と3年前のイル・ロンバルディア王者(バウケ・モレマ)を要するオレンジ軍団には、もちろんフランドル2勝とアムステル1勝のマチュー・ファンデルプールがいる。

心配されていた体調も、どうやら完全体に戻った。ジロ・デ・イタリアであまりに大暴れしすぎて、ツール・ド・フランスは疲れ切って早退した。しかし休息明けの8月末から国内ケルメスを立て続けに2つ制し、9月半ばのツール・ド・ワロニーではスプリント勝利。「勝てると思わなきゃオーストラリアになんか行かないよ」とマチュー本人も語る通り、勝てると思うからこそ、オーストラリアに乗り込むのだ。ちなみにリエージュには1度しか参加したことないけれど、6位入賞で、勝てる脚は証明済み。

■オーストラリア

出場枠:8
ジャージ:白、胸と袖に緑黄緑の横ライン/グレー&黒、裾にも緑黄緑ライン
リーダー:マイケル・マシューズ

コースを徹底的に研究し尽くしたであろう地元オーストラリア代表は、「上れるスプリンター」マイケル・マシューズをエースに指名した。ピュアなスプリント力で上回るカレブ・ユアンは、選ばなかった。

しかもジャイ・ヒンドレー、ベン・オコーナー、サイモン・クラークといった本格派クライマーを多くチョイス。大周回のケイラ山(8.7km、平均5%、最大勾配15%)を、戦略の重要拠点と考えているのかもしれない。小周回で繰り返し上るパンチの効いた坂道を、完璧に制御するためかもしれない。

オーストラリアで史上初めて世界選手権が開催された2010年大会では、当時20歳のマシューズが、46人によるスプリント勝負を制した。あれから12年。32歳の誕生日前日に、再び母国で、今度はエリートのアルカンシェルをまとうことを夢見ている。

■イギリス

出場枠:8
ジャージ:白、前は胸に紺赤紺の横ライン、後ろ下部は紺赤紺の縦ライン/紺
リーダー:フレッド・ライト

ジュニア個人タイムトライアルを男女ともに英国選手が勝ち取ったように、イギリスからどんどん強い若者が出てきている。男子エリートにも若い波が押し寄せた。ベン・スウィフト34歳とルーク・ロウ32歳というベテランが支えるのは、23歳フレッド・ライトという若きエースだ。逃げれて、上れて、スプリントに速いことは、先のブエルタで証明済み。

周りを固めるのは24歳になって1週間目のイーサン・ヘイターに、23歳ベン・ターナー、22歳ジェイク・スチュワート、21歳ベン・トゥレット……と、やはりとてつもなくフレッシュな顔ぶれが揃った。ちなみに昨大会のエースで(6位)、やはり23歳のトーマス・ピドコックは自ら欠場を決意。8月後半にマウンテンバイクで欧州選手権(優勝)と世界選手権(4位)を立て続けに戦って、少し疲れてしまったのだとか。現役シクロクロス世界チャンピオンは、来たるべき冬に備える。

■デンマーク

出場枠:8
ジャージ:赤、胸に白赤白の横ライン/黒
リーダー:ヤコブ・フルサン、マグナス・コルト、ミッケルフレーリク・ホノレ

ツール総合王者ヨナス・ヴィンゲゴーも、ブエルタ区間3勝&ポイント賞のマッズ・ピーダスンも出場しない。自ずとリエージュ&ロンバルディア覇者の37歳がエースに相応しいのかもしれない。あれほどグランツールのステージには強いコルトだが、プロ入り後、ワンデーでの表彰台乗りは2度しかないのだ……。

■イタリア

出場枠:8
ジャージ:青/黒
リーダー:アルベルト・ベッティオル、アンドレア・バジオーリ、マッテオ・トレンティン

かつての名スプリンター、ダニエレ・ベンナーティが監督として迎えた初めての世界選手権。「我々は本命ではない」と認めるものの、自転車大国の誇りは決して忘れない。エドアルド・アッフィニに序盤200kmの牽引役を命じ、自分たちの手でレースを制御し、展開を作り上げていくつもりだ。

■スペイン

出場枠:8
ジャージ:白、胸に赤黄赤の横ライン/黒、裾に黄ライン
リーダー:イバン・ガルシア、マルク・ソレル

来季のワールドツアー残留をかけるモビスターとコフィディスが、大部分の選手のオーストラリア派遣を拒否。つまりエース候補になり得るアレハンドロ・バルベルデもエンリク・マスもアレックス・アランブルもヘスス・エラダもイオン・イザギレも呼べなかった。カルロス・ロドリゲスはブエルタの落車を理由に辞退し、フアン・アユソも初めてのグランツール完走・総合3位の疲労がたたり、一度は受けた招集を辞退した。かろうじて最後の最後にモビスターからイバン・ガルシアが派遣を認められたが、とにかくソレルに頑張ってもらうしかない。

■コロンビア

出場枠:8
ジャージ:青、胴に黄青赤の横ライン、/黒、裾に黄青赤ライン
リーダー:ナイロ・キンタナ??

コロンビアメディアを見ると、いずれも「キンタナ出場!」「キンタナがチームを牽引」と大々的に報道している。元ジロ&ブエルタ総合覇者にとっては起伏が易しすぎるし、なにより今年初めてのワンデーレース出場だが、やはり大チャンピオンに敬意を表してのことだろう。おそらく実質は今リエージュ5位セルジオ・イギータで行くはず。

■エリトリア

出場枠:6+アフリカ大陸チャンピオン
ジャージ 水色、肩から腰にかけて赤ライン、袖の下に黄、腰に緑/水色&赤、裾に黄
リーダー:ビニアム・ギルマイ

走るたびに強くなり、勝つたびに歴史的快挙を打ち立ててきた。

→2021年世界選手権U23ロード:ブラックアフリカンとして史上初めて世界選メダル獲得
→2022年ヘント〜ウェヴェルヘム:アフリカ人として史上初めてクラシック優勝
→2022年ジロ・デ・イタリア:東アフリカ人+ブラックアフリカンとして史上初のグランツール区間勝利

いまだ22歳の若きギルマイが、オーストラリアでは、どんなとてつもない衝撃をもたらしてくれるだろうか。

■スイス

出場枠:6
ジャージ:赤、袖は白、中央に白い十字/黒
リーダー:シュテファン・キュンク

個人タイムトライアルでは金メダルを獲れずに悔しがったが、ロードレースでは「2位や3位は大成功」とのこと。すでに2019年世界選でロード3位の経験を持つキュンクは、今後……つまり2024年パリ五輪と2024年世界選チューリッヒ大会に向けてロードもさらに磨き上げていくつもりだそう。

■スロバキア

出場枠:4
ジャージ:白、胸に青赤黒の横ライン/グレー
リーダー:ペーター・サガン

2015年から3年連続でアルカンシェルを持ち帰ったサガンだが、果たしていまだロードレースにモチベーションを保っているだろうか。今季はグラベルレースやマウンテンバイク世界選手権Eバイク部門に参戦し、しかも10月上旬には、記念すべき第1回グラベル世界選手権に出場する。

■日本

出場枠:1
ジャージ:赤、右上から左下へ白の斜め切り替え、袖口は白/赤
リーダー:新城幸也

2022年世界選手権男子エリートに出場する全選手の中で、13回出場は間違いなく最多!完走7回も3位タイの大記録。2010年オーストラリア大会で9位に飛び込み、我ら日本のファンにもたらしてくれた興奮と熱狂は、いまだ胸の奥に残る。

■ノルウェー
出場枠:6
ジャージ 赤、胸に白紺白の横ライン/黒、裾に赤

■ドイツ
出場枠:6
ジャージ:白、中央に黒赤黄の縦ライン、袖に黒赤×2ライン、両脇に黒/黒、もしくは白

■アメリカ
出場枠:6
ジャージ:紺、中央に白赤白の縦ライン、両脇に白い星5つ/黒

■ポーランド
出場枠:6
ジャージ:白、中央に赤い縦ライン、パンツは赤

■ポルトガル
出場枠:6
ジャージ:白、袖と両脇が赤、袖口に緑/黒、裾に赤

■チェコ
出場枠:6?
ジャージ:水色、中央に白赤青の縦ライン、袖にも同色ライン、両脇は白/水色と青

■カザフスタン
出場枠:4+アジアチャンピオン
ジャージ:水色、肩と袖は色、袖は水色/黒に黄のライン

■南アフリカ
出場枠:4
ジャージ:緑、肩口から脇にかけて黄ライン/下は黒&緑

■カナダ
出場枠:4
ジャージ:水色・白・黒に三等分、白に赤いメープルリーフ、両脇は赤/黒

■オーストリア
出場枠:4
ジャージ:赤、胸に白赤白の横ライン、腹部から下は黒/黒、裾に赤

■ルクセンブルク
出場枠:4
ジャージ:濃紺、パンツの裾に水色

■エストニア
出場枠:4
ジャージ:水色、中央に青黒白の縦ライン、袖口と両脇は紺/紺

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世界選手権男子エリートロードレース展望|第6回 別府史之のetape par etape

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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