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サイクル ロードレース コラム 2022年9月21日

12年ぶりのオーストラリア開催。UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレースの優勝国を栗村修が大胆予想!

サイクルロードレースレポート by J SPORTS 編集部
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Cycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース 注目選手

Cycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース 注目選手

いよいよ9月25日に迫ったCycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース。昨年に続き、今年も7カ国+注目選手を絞って栗村修さんが優勝国を大胆予想!世界王者に最も近いのはワウト・ファンアールト&レムコ・エヴェネプール擁するベルギーか。3連覇を目論むジュリアン・アラフィリップのフランスか。はたまたマチュー・ファンデルプール擁するオランダか。テクニカルなコースで展開される白熱の戦いを制し、“マイヨ・アルカンシェル”を手にするのは……

南半球の地で繰り広げられる熱戦必死のレースは9月25日午前9時05分から生中継&オンデマンドLIVE配信でお届け!お見逃しなく。(※勝利予想の星の数はあくまでも7カ国間での比較になります)

J SPORTS オンデマンド番組情報

レース詳細ページ

コースの特徴:テクニカルでパンチャー向き

コースプロフィル

コースプロフィル

以前から「コースがどうなんだ問題」が囁かれていた今回の世界選手権。当初は地元のカレブ・ユアンが狙うと宣言していたことからスプリンター向けになると思われていましたが、実際に蓋を開けるとピュアスプリンターには難しいという論調が増えています。そこで、優勝国予想を発表していく前に、まずはそのコースがどうなったのか、ポイントを見ていきましょう。

距離は266.9km。獲得標高は3945mとかなり厳しいものになりました。しかも同じ場所をぐるぐる回るのではなく、変則的な周回コースです。最初のポイントは平均勾配5%、最大15%、約8.7kmのキエラ山。ここで、各国がどういうふうに仕掛けるのか。スピードを上げて厳しいレースにしてくるチームがあるのかどうか。注目したいところです(ただし、山頂からフィニッシュまでは225kmもあります……)。

そして、メインの周回コースになるのが、ウロンゴン市内のシティサーキット。コーナーが多く、ストップアンドゴーでインターバルがかかってくるテクニカルなコースです。途中には、平均勾配7.7%、最大勾配14%となる約1.1kmの登坂も待っています。この上りはクライマーには短かすぎるけど、スプリンターには結構ハードなので、パンチャー向き。ここを12周していくのですが、コーナーが多くて、短い上りがあるという意味ではアムステルゴールドレースに近いイメージを持っています。このコースを支配するのはどの国か。早速、優勝国予想をしていきましょう!

ベルギー:今年も強い。優勝候補筆頭はリベンジなるか

ワウト・ファンアールト/レムコ・エヴェネプール

ワウト・ファンアールト/レムコ・エヴェネプール

勝利予想:★★★★★(5点/5点中)
注目選手:ワウト・ファンアールト、レムコ・エヴェネプール

ベルギーは優勝候補最有力。今年も強い。2人の優勝候補を抱える形ですが、ワウト・ファンアールトが、エースを務めるとみられています。今回、彼はTTに出場せず、ロードレースのみということを見ても、このレースにかけている印象です。前哨戦とも言えるカナダでのワンデーレース×2では、GPケベックで4位。GPモンレアルでは2位でした。絶好調ではないけれど決して悪くはなく、本人も「徐々にコンディションを上げていくので大丈夫だろう」というコメントを残しています。コース的にもワウト・ファンアールトならばこなせるものなので期待できそう。

そしてもう一人は、ブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を果たしたレムコ・エヴェネプール。彼からすると上りがやや物足りないかもしれないですけど、十分に狙えるコースではないかと思います。ブエルタ・ア・エスパーニャでは一回り大人になったスマートな走りを披露。チーム内で協調しながらも、レムコ・エヴェネプールらしい独走アタックを繰り出すのか。注目です。

今回はエースにワウト・ファンアールト。ジョーカー的な存在としても非常に重要な存在になるレムコ・エヴェネプールを擁するベルギー。昨年、期待がとても高かったベルギー開催で表彰台を逃す残念な結果になってしまった悔しさを晴らせるかどうか。オーストラリアでの世界選手権がリベンジマッチの舞台となるかも、必見です。

オランダ:マチュー向きのコースでトップを狙う

マチュー・ファンデルプール

マチュー・ファンデルプール

勝利予想:★★★★☆(4点/5点中)
注目選手:マチュー・ファンデルプール

今年のパリ・ルーベで優勝し、ジョーカー的な存在のディラン・ファンバーレやベテランのバウケ・モレマといった実力者が揃っているオランダの注目は、やはりマチュー・ファンデルプール。今回のコースは彼向き。過去の走りを見ていても、周回コースの登坂は難なくこなせちゃいそう。コーナーも非常に多いですが、インターバルにも強く、何より最後、小集団のスプリントなった場合でも十分にトップを狙える選手なので、必然と期待が高まります。

残念ながらリタイアとなったツール・ド・フランス以降、コンディションはどうかなと思っていましたが、ケルメス2勝で脚慣らしをしたあとに、9月14日のグランプリ・ド・ワロニーに勝利し、調子も上向きの様子。本人もインタビューで「勝てなければ行かない。コンディションが良くなければ、(世界選手権に)行っても意味がない」という発言をしていたようなので、手応えを持っていると思います。

そして、忘れてはならないのが、今年も“ワウトvsマチュー”の図式が生きていること。火花を散らす二人にも注目です。

スロベニア:ポガチャル一択。センターの座は譲らない!

タデイ・ポガチャル

タデイ・ポガチャル

勝利予想:★★★★☆(4点/5点中)
注目選手:タデイ・ポガチャル

昨今、非常に強い選手が多くて自転車強豪国に一気にのし上がったスロベニア。3本柱のイメージを持っていましたが、そのうちの2人(プリモシュ・ログリッチ、マテイ・モホリッチ)が出場しないのは残念なところ。

それでも、スロベニアにはタデイ・ポガチャルがいます。直前のGPモンレアルでワウト・ファンアールトを下して勝利。期待も非常に大きい中でチームとしても、単独エースとなって、わかりやすい布陣になります。その反面、チーム全体の選手構成を見るとやや弱いかなと感じる部分が否めないのは気がかりなところ。レース全体の主導権を握るのではなく、強豪国の動きを使いながら仕掛けていかないといけないのですが、それでも、タデイ・ポガチャルは強い。上りでの力勝負、長めの独走勝利、スプリント……自在に動けていろいろな勝ち方ができるのはやっぱり魅力です。

加えて個人的に感じていることですが、今回のタデイ・ポガチャルは相当スイッチが入っているのでは。ツール・ド・フランスでヨナス・ヴィンゲゴーに敗れ、ブエルタ・ア・エスパーニャでは年下のレムコ・エヴェネプールが総合優勝……普段の笑顔やヘルメットから“ちょろ”っと出ちゃう髪の毛の感じから“ゆるキャラ”っぽいところがあるんですけど、ライバルたちの活躍を横目にしながらも心の奥底では「いやいや、スターは絶対に俺だろ!」って秘めているんじゃないかなと。ジャニーズのように先輩を「君呼び」しながらも“センターの座は譲らない”ではないですが、今年はアルカンシェル獲得に燃えていると思います。

フランス:ドーンっと行ってバーンっと独走。3連覇なるか!?

ジュリアン・アラフィリップ/ヴァランタン・マドゥアス

ジュリアン・アラフィリップ/ヴァランタン・マドゥアス

勝利予想:★★★☆☆(3点/5点中)
注目選手:ジュリアン・アラフィリップ、ヴァランタン・マドゥアス(クリストフ・ラポルト)

フランスはパンチャー系の選手が揃っていて面白い存在です。注目の筆頭は、もちろん3連覇を狙うジュリアン・アラフィリップ。ブエルタ・ア・エスパーニャでのケガの影響が心配なところですが、出場が発表されました。本調子であれば彼向きのコースで、最終ラップのシティサーキットで山頂からフィニッシュまでの約8km。ジュリアン・アラフィリップが上りで“ドーン”と行って、ラスト8kmを“バーン”と独走するイメージがすごくある。ドーンバーンが出るか。注目です。

さらにフランスは、ジュリアン・アラフィリップ以外の選手も良い。2番手に挙げたいのはヴァランタン・マドゥアス。直近で行われたツール・ド・ルクセンブルク第1ステージに勝っていたり、春先のクラシックでもいい走りを見せていたりするので、期待が高い選手の一人です。それからクリストフ・ラポルト。最後のスプリントで残っていれば面白い存在になる。何よりフランスナショナルチームはトマ・ヴォクレール監督の手腕が高評価されているので、采配も見逃せません。

オーストラリア:相性の良い地元の利を生かせるか

マイケル・マシューズ

マイケル・マシューズ

勝利予想:★★★☆☆(3点/5点中)
注目選手:マイケル・マシューズ

地元開催となるオーストラリア。アルカンシェルを狙う第一候補はマイケル・マシューズ。GPケベックで2位。ツール・ド・フランスでは第14ステージ(通称:ジャラベール山)を制しているので今年は上りもいける。何より2010年にオーストラリアで開催された世界選手権では、U23カテゴリーで優勝しており、地元開催の世界選手権には強いという実績もあるので面白い存在になりそう。ほかにもジャイ・ヒンドレーをはじめ、良い選手が揃っているので注目です。

オーストラリアは地元開催の利を生かせるか。長距離移動、時差や気候の違いといったヨーロッパとは異なる環境での戦いですが、今回の代表選手たちは、だいたいヨーロッパからの移動になるので、条件は、あまり関係ないのかもしれません。ただ、やはり地元での世界選手権だけに、個々としても、チームとしても気合が入っているのは間違いありません。

イギリス:平地系の選手を揃えながらも面白い存在になるか!

イーサン・ヘイター

イーサン・ヘイター

勝利予想:★★★☆☆(3点/5点中)
注目選手:イーサン・ヘイター

イギリスの注目はイーサン・ヘイター。スプリントやTTが強いイメージですが、上りもそれなりにこなします。イギリスの現TTチャンピオンで、今年は、クリテリウム・デュ・ドーフィネで総合15位に入るなど、総合力も増しています。ただ、ブエルタ・ア・エスパーニャではコロナ陽性でレースを去っているため、コンディションに関しては気がかりも残っています。1週間前に行われる個人TTにも出場する予定なので、彼の状態はそこでチェックしておきたいですね。

またイギリスの今回のメンバーは、平地系の選手が多い印象。そのため星は3つにしたのですが、イーサン・ヘイター以外にもシクロクロス上がりの21歳、ベン・トゥレットはパンチャー系の脚質で面白そう。初出場のジロ・デ・イタリアではTTで5位になっていますし、注目したい一人です。

エリトリア:ハマれば勝つ可能性が十分にある

ビニヤム・ギルマイ

ビニヤム・ギルマイ

注目選手:ビニヤム・ギルマイ
勝利予想:★★★☆☆(3点/5点中)

今回、7枚目を非常に悩みました。北欧のデンマーク、ノルウェー、伝統国のイタリア、スペイン、南米勢……。その中でエリトリアをピックアップしたのは、ビニヤム・ギルマイの存在です。彼は今、非常に気になる選手の一人。今年、北のクラシックの一つであるヘント~ウェヴェルヘムで、アフリカ系ライダーとして初優勝を成し遂げました。

ブルターニュクラシック6位、GPケベック3位、GPワロニー2位など、直近のレースでもシングルフィニッシュを連発して安定感もすごくありますし、世界選手権も、昨年はU23で2位に入っているんです。国別の戦いもしっかりと対応できる。ハマれば十分に勝つ可能性があります。またエリトリアは、ビニヤム・ギルマイだけではなく、ナトナエル・テスファツィオンなど強い選手が続々出てきているので、非常に楽しみです。

そのほか:小国がスキをついて勝つか!日の丸を背負う新城選手にも期待大

ペーター・サガン/新城幸也

ペーター・サガン/新城幸也

注目選手:ペーター・サガン、新城幸也

まず一人目は、ペーター・サガンを挙げました。カナダの2レースはどちらも体調を崩したようでリタイアをしており、心配ですがやっぱり元気を出してほしいという願いを込めて選出しています。

世界選手権は、単にチーム力だけじゃない。昨年も同様で、フランスは確かに強いのですが、最後はジュリアン・アラフィリップの独走で勝ったところがあります。国のランキングによって出場できる選手数が異なるレースなので、一見、強いチームが明らかに有利な感じがするけれど、でも過去の優勝者を見てみると、意外と小国も結果を残しているんです。ペーター・サガンの3連覇もそう。そこが面白いところなのですが、強豪国がレースを作りにいって、スキをついて勝つ。そのイメージもあるのでスキをつく選手を、ぜひチェックしてみてください!

それから今回、いくつかの強豪国をピックアップしなかったわけですが、彼らはアウトサイダー的な存在になってしまっています。そうした風潮や流れを感じながら、強豪国、小国、アウトサイダーでもダークホースになりそうな国。各国の状況に思いを馳せながらレースを見ると面白さも増すかなと思います。

そして最後に、欠かせない選手を紹介して締めくくりたいと思います。日本から単騎で出場する新城幸也選手。チームメイトがいないので難しさもすごくある中ですが、ここまでのキャリアで世界選手権も毎回いろいろな戦い方をしてきています。

何より2010年の世界選手権では9位。本人も「オーストラリア開催は相性が良い」と言っていました。調子も良さそうですし、コース的にも新城幸也選手向き。普段はチームのために走っている彼が、自分のために走れる数少ないレースです。上位フィニッシュの可能性も秘めていますし、37歳にして、本当にまだまだ強くなり続けています。日の丸を背負った力走に期待しましょう!

解説:栗村修
文:J SPORTS編集部

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世界選手権男子エリートロードレース展望|第6回 別府史之のetape par etape

J SPORTS編集部

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