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サイクル ロードレース コラム 2022年9月17日

【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート 個人タイムトライアル:プレビュー】世界最速を決める争い!レムコらライバルとのバトルを制して「トップガンナ」3連覇達成なるか

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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アルカンシェルを着て表彰台で手を振るガンナ

アルカンシェルを着て表彰台で手を振るガンナ

2022年度の世界最速を決める争い。フィリッポ・ガンナ(イタリア)が、史上2人目の、世界選手権男子エリート個人タイムトライアル3連覇を成し遂げるのか。それとも世界王者の証「レインボージャージ」は、新たな持ち主の手に渡るのか。ウロンゴンのテクニカルなコースで、スピードバトルが繰り広げられる。

今季の6勝はすべて個人TT(プロローグ含む)という「トップガンナ」は、必ずしもシーズンを通して最強なわけではなかった。ツール・ド・フランスでは2度の個人TTステージで勝利を逃したし、欧州選手権では3位に甘んじた。ただし約3週間後にアワーレコードの挑戦を控え、着実に調子を上げているはずだ。トラック個人追抜ではすでに4枚のレインボージャージを持ち帰っているガンナが、もしも3連覇を成功させた場合、2011〜2013年のトニー・マルティン以来の快挙となる。

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幸か不幸か、ワウト・ファンアールト(ベルギー)が3年連続の銀メダルに泣くことはない。過去2年のツールで最終個人TTを制したオールラウンダーは、今年はロードレース一本に絞ることを宣言済み。自ずとガンナにとっての最大のライバルは、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)となる。

2019年大会2位で「史上最年少世界選メダリスト」となり、1年前はワウトに次ぐ3位で終えた22歳レムコにとって、「史上最年少男子エリート個人タイムトライアル世界王者」に君臨するチャンスは今年を含め残り2回。ちょうど1週間前に閉幕したばかりのブエルタ・ア・エスパーニャで、生まれて初めてのグランツール総合優勝を果たしたばかりだけに、唯一の不安材料は心身の疲労具合かもしれない。

母国ベルギーに44年ぶりのグランツール優勝をもたらしたレムコが、もしも個人TTで世界タイトルを手にした場合、1994年創設の世界選男子エリート個人タイムトライアル史上初めてのベルギー人王者となる。もちろん世界選ロードレースに関しては、自転車大国ベルギーは、世界最多の26勝を誇る。

ガンナvsレムコの一騎打ちに割り込もうと、スイスの2人組……欧州選手権2回優勝シュテファン・キュングとこの夏の欧州王者シュテファン・ビッセガーも奮闘すること間違いなし。なにしろ偉大なる母国の先輩ファビアン・カンチェッラーラが、人生4度目にして最後の世界タイトルを勝ち取ったのは、2010の年オーストラリア大会だった。

タデイ・ポガチャルやイーサン・ヘイター、マッテオ・ソブレロ、レミ・カヴァニャにも初めての表彰台乗りが期待されるが、残念ながら春の南半球には、必ずしも最高の選手たちが集結するわけではない。東京五輪個人TT金メダリストのプリモシュ・ログリッチは、ブエルタの落車事故の影響で、豪州行きを諦めた。元世界王者で五輪2位のトム・デュムランは、オーストラリアで有終の美を飾るつもりだったが、予定より早い8月半ばに選手活動を終えた。

ガンナの前に世界選で2連覇したローハン・デニス(オーストラリア)は、母国の大会を自らの意思で欠場する。なんと家族の結婚式を優先したとのこと。ただし最終的な結論を導いた理由は、距離が「短すぎる」こと。優勝した2大会はいずれも50km超のロングコースだったが、女子エリート(&女子アンダー23)と同じコースが使用される2022年大会は、デニスに言わせればたったの34.2kmでしかない。

ウーロンゴンの市街地に描かれた約17kmの周回は、高い巡航速度で飛ばせるコースでもなさそうだ。タイムテーブルにびっしり書き込まれた指示によると、1周回あたりカーブ28回、ロータリー2回、シケイン3回、スピードハンプ10回、中央分離帯5回、細道注意11回!つまり休みなくハンドリングとブレーキングを要する、とてつもなく難解なコースに出来上がっている。

しかもロードレースで使用される周回を、ほんの少しアレンジした個人TTサーキットの前半には、マウント・アウスリー(全長700m、平均勾配6.7%)も立ちはだかる。最終盤は比較的直線路が続くものの、海岸に近く、海風の影響も懸念される。決して一筋縄では行かないのだ。

開催委員会の試算によれば、41分前後の全力疾走。そして虹色の栄光は、この先1年間続くのだ。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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