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【Cycle*2022 エシュボルン・フランクフルト:プレビュー】ドイツ自転車界が一番盛り上がる1日!メーデー開催も復活!
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介前回大会王者のヤスパー・フィリプセン
5月1日に開催と相場が決まっていたエシュボルン・フランクフルトだが、ここ2年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でその伝統が崩れていた。一昨年は開催を信じて主催者が粘ったものの、やむなく中止。昨年は何とかレース実施にこぎつけたが、秋開催だった。それはそれで、直後に控えていたロード世界選手権への脚試しとして活用されたわけだが、やっぱり5月1日、メーデーに行わなければ本来の趣きを感じられない。
そんなわけで、3年ぶりのメーデー開催。ドイツ自転車界の威信をかけて開かれるワンデーレースは、今回で61回目を迎える。
その名の通り、エシュボルンを出発してフランクフルトを目指す。とはいっても、両都市の距離は15km足らず。車を使えば15分ほどで移動できてしまう。もちろん、よーいドン!からすぐにフィニッシュ…とはいかないので、周辺地域の地形なんかも生かしながら183.9kmのコースを設定する。
越えるべき丘は8カ所。スタートして約30kmでじわじわと上り始めるフェルトベルク(登坂距離11km、平均勾配4.8%)から始まり、レース中盤にはマンモルシャイン(2.3km、8.2%)、ビルタルホーヘ(2.6km、6.2%)、ルッペルシャイナー(1.3km、8.6%)の連続登坂が待ち受ける。その後も周回コースでマンモルシャインを2回走ることになり、これらをきっちりこなさないことには勝負には絡めない。
ただ、この大会の過去をさかのぼっていくと、その多くでスプリンターが勝ち名乗りを上げている。これらの登坂がスプリンターでも対応できるレベルにあることもそうだが、何より最後のマンモルシャインからフィニッシュまで40kmと十分な距離がある点が大きな要因。多少上りで苦しんでも、リカバリーは可能だ。
その意味で、本当の勝負はフランクフルトの市街地サーキットに入ってから。人数をかけてスプリントトレインを編成できれば、自然とエーススプリンターを優位に立たせることができる。
ドイツの美しい街中を走り抜ける
メーデー開催を華やかにするべく集結するのは20チーム(UCIワールドチーム11、同プロチーム8、ドイツナショナルチーム1)。
とりわけ注目度が高いのは、アフリカ大陸出身選手として初めてヘント~ウェヴェルヘムを勝った22歳のビニヤム・ギルマイ擁するアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオだ。2014年から4連覇(2015年は大会中止)している“マイスター”アレクサンダー・クリストフ、パリ~ルーベで逃げから4位に食い込んだトム・デヴリーントと強力メンバーをそろえる。このレースを知り尽くすクリストフが、自らエーススプリンターを務めるか、次代を担うアフリカンスピードスターに勝負を託すのかは大いに見もの。
フィニッシュ前でのスピードと勝負強さなら、前回覇者のヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)が今度もナンバーワンだろう。スプリント系レースをお家芸とするチームは、レースの早い段階から主導権を取りに動き出す可能性は高い。
このレースの5日後から始まるジロ・デ・イタリアに焦点を当てるジャコモ・ニッツォーロ(イスラエル・プレミアテック)は、最終調整の場にドイツを選択。3月のミラノ~サンレモ以降はレース数を減らして調整に専念しており、先ごろは山岳レースを走って3週間の戦いに備えている。そして今回は本職であるスプリントの総仕上げ。発射台は、2017年に2位を経験しているリック・ツァベルが務める。
サム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ)は、膝の故障が癒えたことをアピールする絶好のチャンス。今季は上位フィニッシュこそあれど、まだ勝利は挙げられていない。そろそろ完全復活といきたいところだ。今回はニールス・ポリッツが牽引役、ダニー・ファンポッペルが発射台と、強力なリードアウトマンをそろえて挑む。
ツァベルやポリッツの名を先に挙げたが、もちろん地元ドイツ勢だって黙ってはいない。昨年は2位フィニッシュに悔し涙を流したジョン・デゲンコルプが、実に11年ぶりの優勝をかけて再チャレンジ。チーム ディーエスエムは複数のドイツ人ライダーをメンバー入りさせたほか、いざという時の切り札としてセース・ボルを招集。どのチームよりも本気度は高い。
1日を通して自転車一色に染まるレース当日のフランクフルト。アンダー23・ジュニア・ユースの年代別レースも行われるほか、選手たちが走るコースを体験できるミニツアーも開催。メインイベントとなるのが、スター選手が集うプロレースなのだ。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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