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ドロッパーシートポストが装着されたモホリッチのバイク(サドルの下に注目)。ハンドルバーのドロップ部分にスイッチが装着されている
未だかつてシートポストを指差してフィニッシュした選手は他にいただろうか(いや、きっといない)。
レースを制するのは、いつも選手の圧倒的な走りと革新的な技術。2022年モニュメント第一戦ミラノ〜サンレモで、新兵器を投入したバーレーン・ヴィクトリアスのマテイ・モホリッチが衝撃的なダウンヒルテクニックを披露し、独走勝利を飾りました。
その新兵器の名前はドロッパーシートポスト。ロードレースファンには馴染みのない言葉であり、実際にこのテキストを書いている際もスムーズにカタカナに変換してくれません。マウンテンバイクでは市民権を得ているどころかすでに欠かせない存在になっている機材ではあるものの、ロードレースではこれまで採用されてきませんでした。
マテイ・モホリッチ(TBV)の下りが速い!
— J SPORTSサイクルロードレース【公式】 (@jspocycle) March 19, 2022
溝落としご安全に
Cycle*2022 ミラノ〜サンレモ
【Milano 〜 Sanremo】293.0km
〜J SPORTSオンデマンドでLIVE配信〜#MilanoSanremo #jspocycle pic.twitter.com/CXRG3gugI6
その名の通りシートポストをドロップさせる(下げる)もので、ハンドルバーに装着したスイッチひとつでスッとサドルが下がる仕組み(ガスシリンダーによる昇降式オフィスチェアに似ている)。通常のペダリング時は高い状態(通常のサドル高)に設定し、下りや荒地を走る際にスッとサドルの高さを50〜100ミリほど下げることができます。たったそれだけ?と思うなかれその効果は絶大で、ライダーの重心を下げ、ペダルに立った状態で身体を動かしやすくなるので重心移動が楽になり、つまり下りの走りが安定。そして身体が低くなるのでエアロ性能も向上します。
問題は重量で、どうしてもドロッパーシートポストとスイッチのセットで400グラムほどになり、通常のシートポストの重さを差し引いても概ね250グラムほどの重量増。登りでの走りが勝敗を分つロードレースにおいては誰も採用してきませんでしたが、バーレーン・ヴィクトリアスのメカニックたちはミラノ〜サンレモに向けてドロッパーシートポストを軽量バイクに取り付けることを思いついたようです。モホリッチがミラノ〜サンレモで乗ったのは、シートポストがエアロ形状のエアロバイクではなくラウンド形状の軽量バイク。すでにUCI規定の6.8kgを下回ってしまうため重りを入れないといけない軽量バイクがプロトン内に散見される現在、250グラムの重量増は問題なかったと想像できます。モホリッチはトレーニングライドでドロッパーシートポストをテストした際に、その大きな利点を感じて実戦に投入したとコメントしています。
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