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【Cycle*2024 パリ〜ルーベ:プレビュー】あまりにも厳しくあまりに特殊な北の地獄から、先頭で生還する豪傑は誰だ!?
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世界チャンピオンの凱旋だ。2021年9月にベルギーで開催された世界選手権で2年連続のアルカンシェル獲得を果たしたジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル)が、2月10日、母国フランスでシーズンインを迎える。第7回ツール・ド・ラ・プロヴァンスに、今年もアルカンシェルがやってくる。
アルカンシェルのジュリアン・アラフィリップがシーズンイン
地中海に面し、イタリア国境に近く、比較的温暖で、レンガ作りの街並みを抜けるとオリーブ畑やラベンダー畑が広がるイメージの南仏プロヴァンス。2016年に地方紙のラ・プロヴァンス紙が初開催したプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏のステージレースは、パリ〜ニースに向けて重要な準備レースとして年々そのプレステージを上げている。レースカテゴリーはUCIワールドツアーの一つ下のUCIプロシリーズ。2020年から一気に参加トップチームが増加した(2022年はUCIワールドチームが11チーム)。
2022年のコースレイアウトは単純明快。4ステージ、4種類。初日がプロローグ(個人タイムトライアル)、2日目が平坦ステージ、3日目が丘陵ステージ、そして4日目が山岳ステージ。それぞれ活躍する選手が異なり、やはり最終日の1級山岳モンターニュ・ド・リュール(全長13.4km/平均勾配6.74%)で総合争いは決する。決して知名度の高い登りではないが、10%超が何度も登場する標高1,570mの難関峠で、パリ〜ニースに登場した際には2009年にアルベルト・コンタドールが、2013年にリッチー・ポートが制している。
2020年大会でイネオス・グレナディアーズのイバン・ソーサとエガン・ベルナルに単騎で立ち向かって総合2位に入ったアラフィリップは、「北のクラシック」には出場せずに「アルデンヌ・クラシック」に照準を合わす。つまりフィジカル的に例年より軽量に仕上げてくるはず。アラフィリップは総合優勝者の証である黒い総合リーダージャージの有力候補だが、大会初日から目立つのは昨年ステージ2勝を飾ったスプリンターのダヴィデ・バッレリーニかもしれない。
大会連覇がかかったイバン・ソーサはモビスタージャージでの参戦。ソーサとともにダブルエースを担うのはアスタナから移籍した2019年大会の覇者ゴルカ・イサギレで、間違いなくこのタッグは後半ステージで他チームの脅威になる。
舞台は地中海に面する温暖な地域、南仏プロヴァンス
ソーサのいないイネオス・グレナディアーズはリチャル・カラパスをエースに立てる予定だったが、直前のエトワール・ド・べセージュで落車負傷した影響が心配される。カラパス不調の場合は次世代GCライダーの23歳イーサン・ヘイターが全てのステージで勝利を狙ってくるだろう。
新型コロナウイルス感染の影響で調整が遅れているという2020年大会覇者ナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック)もここでシーズンイン。ピエール・ラトゥール(トタルエネルジー)やジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)らも大会最終日のラスト30分間に全てをぶつける。
出場選手の中で最年長の39歳フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル)はここでキャリア最後のシーズンイン。『モニュメント』の中で唯一欠けているミラノ〜サンレモのタイトル挑戦まで残り1ヶ月半を切っており、ラストシーズンに向けたモチベーションは人一倍高いはずだ。
文:辻 啓
辻 啓
海外レースの撮影を行なうフォトグラファー
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