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サイクル ロードレース コラム 2022年2月7日

【Cycle*2022 サウジ・ツアー:レビュー】マキシム・ファンヒルス、プロ初勝利!「この経験はとにかく特別」

サイクルロードレースレポート by 辻 啓
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マキシム・ファンヒルス

各チーム自慢のスプリントトレインも、歴史が浅いレース運営も、まだ手探り感が否めなかった。多くの選手にとってシーズン初戦となった第2回サウジツアーが、サウジアラビアの首都リャドから歴史都市アルウラーに場所を移して5日間の日程で開催された。

ツール・ド・フランスと同じA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)が手がけるステージレースとしては、カタールとオマーンに続く開催。ドバイツアーとアブダビツアーが合体する形でUCIワールドツアーレースとして開催されているUAEツアー(2月20日開幕!)はジロ・デ・イタリアと同じRCSスポルト主催。なお、A.S.O.主催のオフロード自動車レースであるダカールラリーも、セネガルのダカールの名前を冠しながら、2020年からはサウジアラビアで開催されている。

中東レースの中で最も若く、最も早いタイミングのサウジツアーにも中東らしさがつまっていた。朝晩はひどく冷え込み、日中は気温が20度程度まで上昇する乾燥した荒地を舞台にした、平坦あり、激坂あり、そして横風ありの5ステージ。ここでライバルチームを圧倒したのがロット・スーダルだった。

サウジ・ツアー

ベルギーチームの中で、どうしてもクイックステップ・アルファヴィニルの影に隠れがちだったロット・スーダルが、グラベル区間も登場した大会初日にまずはカレブ・ユアンをスプリント勝利に導くことに成功。それに対してクイックステップはグラベル区間での落車によりエースのアンドレア・バジオーリの総合制覇の野望を断たれてしまう。

そして迎えた最終日前日のクイーンステージ(大会最難関ステージ)。ハラット・ウワイリド展望台に至る最大勾配22%の激坂勝負でグリーンジャージ(総合リーダージャージ)の持ち主が決まると思われたが、決定的な動きはその手前の平坦区間で発生する。既に総合成績を諦めざるを得ず、なんとしてもクイーンステージ制覇を願っていたクイックステップが横風平坦区間で攻撃を開始。第2ステージで勝利して総合首位の座についていたバーレーン・ヴィクトリアスのサンティアゴ・ブイトラゴがここで後方集団に取り残された。

この集団分裂が事実上総合争いを決めた。青いクイックステップジャージに紛れて先頭集団に残ったのが赤いロットジャージの総合5位マキシム・ファンヒルス。後続に1分差をつけて到着した激坂は「中東のアングリル」の触れ込みも納得の難易度で、トップ選手でさえも蛇行してしまうほどの急勾配。走ってきた道が真下に見える立体的な登りで、バジオーリを振り切ったファンヒルスがフィニッシュまで独走した。

オランダ国境に近いベルギー・フランドル地方ブラッスガート(つまり周囲は完全なる平地)出身の新鋭ベルジャンクライマーがプロ初勝利とグリーンジャージを獲得した。最終ステージこそパンクによりユアンの2勝目を逃したものの、それでもロット・スーダルは大会ステージ2勝と総合優勝を達成。UCIワールドランキングで下位を低迷していたチームが既にシーズン5勝を飾り、勝利数で断トツ首位を突っ走る。

表彰式

「ユアンと約束していたんだ。自分が総合表彰台に登ることができたらスニーカーを買ってもらうってね。この経験はとにかく特別。これからも成長して、アルデンヌクラシック(フレッシュやリエージュ)でいい走りをしたい」と、同じく今大会でブレイクした同年齢22歳ブイトラゴと一緒に総合表彰台に登ったファンヒルスは語っている。

そしてサウジでのもう一人の主役は、カムバックを遂げたディラン・フルーネウェーヘンだった。2020年ツール・ド・ポローニュ第1ステージのスプリント中にファビオ・ヤコブセンを落車させて重傷を負わせ、9ヶ月の出場停止処分を受けたピュアスプリンターが、ユンボ・ヴィスマから心機一転バイクエクスチェンジ・ジェイコに移籍してシーズンデビュー。初日に機能しなかったリードアウトトレインを修正し、第3ステージと第5ステージで2勝を飾った。

「スプリント3戦2勝は悪くない。新しいチームで、新しいチームメイトたちと掴んだ勝利。ホッとしているし、次のレースも楽しみだ」。そう語るフルーネウェーヘンが表彰台で指差したチームジャージの袖にはアルウラの文字。今大会の開催地アルウラの観光地アピールを担う『アルウラ王位委員会』をスポンサーに迎えたオーストラリアチームも良いシーズンスタートを切っている。

文:辻 啓

代替画像

辻 啓

海外レースの撮影を行なうフォトグラファー

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