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レース後半にカテゴリー1級峠が3つもそびえ立つ第8ステージは、その全てを1位で通過したラスムッセン(ラボバンク)が、クライマーとしての強さを見せつけ圧倒的な勝利を飾った。リーダーだったゲルデマン(T-モバイル)が5分5秒遅れたため、ラスムッセンは初めてマイヨ・ジョーヌに袖を通し、山岳賞マイヨ・ア・ポワ・ルージュも獲得した。総合順位にも変動があり、マヨ(サウニエルドゥバル)が2分39秒差で3位に、バルベルデ(ケースデパーニュ)が2分51秒差で4位につけるなど、スペイン勢が上位に浮上。第5ステージでの落車の影響なのか、この日不調だったヴィノクロフ(アスタナ)は、5分23秒遅れの22位となっている。
休息日を翌日に控え、ルグランボルナンをスタートした直後から活発な動きが生まれる。15.5km地点のカテゴリー4級峠は、5人の逃げの先頭を走るシューマッハー(ゲロルシュタイナー)がトップで通過した。その直後22km地点のカテゴリー3級峠までには、プロトンからヒンカピー(ディスカバリー)やヴォクレール(ブイグテレコム)らが合流し、総勢16人の逃げグループを形成。さらに36km地点の中間スプリントポイントまでにはロジャース(T-モバイル)ら4人が加わった。
46.5km地点カテゴリー2級峠はヴォクレールが制す。1分50秒差につけていたプロトンでは、ラボバンクがラスムッセンをアタックさせるべく着々と準備を始めていた。ゴールまで88kmの補給地点を過ぎると、この日最初のカテゴリー1級ロズラン峠の19.9kmの長い登りが始まる。ここでラスムッセンがアタックすると、ついて行けたのはアローヨ(ケースデパーニュ)、メルカド(アグリチュベル)、パウリーニョ(ディスカバリー)の3人だけ。ロジャースらに追いついたラスムッセンはロズラン峠を先頭で通過した。プロトンではラボバンクとT-モバイルがペースを上げさせず、約5分の差がついていた。
レース展開が大きく変わったのが残り54km地点でのこと。下りでカーブを曲がりきれなかったロジャースがガードレールに激突し、後ろを走っていたアローヨはガードレールを飛び越える激しい落車に見舞われた。マイヨ・ジョーヌも見えていたロジャースはその後も必死の走りを見せたが、最終的には負傷のためリタイアを余儀なくされてしまった。
2つ目のカテゴリー1級オートビル山頂にさしかかると、先頭集団からラスムッセンが再びアタック。アローヨとコロム(アスタナ)が反応し、3人は徐々に差を広げていった。ヒンカピーらのグループが後を追うが、オートビル山頂通過時点で5分5秒の差がつく。プロトンはさらに1分以上遅れていた。
最後のカテゴリー1級ティーニュ峠が始まりラスムッセンが一気にスピードを上げると、アローヨとコロムはどんどん離されていく。プロトンからはモロー(アージェードゥゼール)がアタックし、マヨ、バルベルデ、カシェチキン(アスタナ)、エヴァンス(プレディクトール・ロット)が続いた。ヴィノクロフやクレーデン(アスタナ)はここで遅れてしまう。モローは次々と仕掛けていくが、お互いに牽制し合いペースが上がることはなかった。その間にもラスムッセンはアドバンテージを広げ、残り10kmでアローヨに2分半、モローらに4分15秒、ヴィノクロフらには5分30秒の差をつける。ラスムッセンはこのままゴールまで逃げ切り、3年連続となるツールステージ優勝を果たした。
激しい動きがあったのは後続集団。モローやコンタドール(ディスカバリー)がアタックを繰り返す中、マヨが一気に抜け出しラスムッセンから2分47秒遅れで2位の座を獲得した。バルベルデは最後のスパートで他の選手を振り切り、3分12秒差の3位でゴール。ヴィノクロフとクレーデンは4分29秒遅れと、ライバルたちに差をつけられてしまった。
最初の休息日をはさんで迎える第9ステージは、カテゴリー超級が2つ、1級が1つの過酷な山岳ステージ。アルプス最後のステージとなるだけに山岳に強い選手が活躍を狙っているはず。もちろん総合を狙う選手らの動向にも注目だ。
ミカエル・ラスムッセン(ラボバンク)
ステージ優勝、マイヨ・ジョーヌ、マイヨ・ア・ポワ・ルージュ(山岳賞ジャージ)
(マイヨ・ジョーヌをパリまで持ち帰る可能性は)確かに今は可能性がある。今ステージの状況を見れば特にね。でもパリまであと2週間あるんだよ。まだタイムトライアルが残っている。それは僕の得意種目でないのは誰もが知っていることだから、今の時点では何も決まっていないんだ。
昨日は少し野心に燃えすぎていた。でも自分の思うようには物事が進まなかった。でも今朝のミーティングで全てが解決されたし、今日は全てがうまく行ったと思う。エスケープを走らせて、そして予定通り前方に追いついて、ステージ優勝と総合優勝のふたつを取ったんだからね。
タイムトライアル向けのスペシャルな練習はしていない。僕は「ピュア」なクライマーなんだ。僕に必要なのは、山で出来る限りのタイムを稼ぐこと。タイムトライアルで最低限のタイムしか失わないというのは、皆さんご存知のように、僕向けのやり方ではない。
2年前は確かに表彰台まで後一歩のところに迫ったね。将来的には、マイヨ・ジョーヌを狙って走る可能性も考えている。もしかしたら今年でも良かったのかもしれないね。でも繰り返して言うけれど、2回のタイムトライアルの存在を忘れてはならない。
クリストフ・モロー(アージェードゥーゼール・プレヴォワイヤンス)ステージ4位
最後の登りはそれほど難しくなかった。平坦で、体力を回復できるゾーンがあった。でも向かい風は吹いていたけどね。タイム差をつけるのには理想的な登りではなかったね。もっとタイム差をつけることが出来たはずだけど、それでも非常にポジティヴな結果になった。今夜は家族がやってくるんだ。妻と娘に会えることが、一番の喜びだよ。今日はこんなモチベーションを抱えて走った。彼らに会えるのが待ち遠しいよ。
ダビ・アローヨ(ケースデパーニュ)
ステージ17位
ロジャースがカーブを失敗したとき、僕は彼の真後ろにいた。彼の後輪に触れてしまって、そのままガードレールを飛び越えてしまった。木の間の草むらに落ちたんだ。手にとげが刺さったけれど、あまりたいしたことはなさそうだ。その後僕にはラスムッセンに追いつくチャンスがあった。体調は良かったんだ。でもラスムッセンは今までよりもさらに強かった。
J SPORTS 編集部
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