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第8ステージ、ティーニュ山頂へゴールしたモローへ、いっせいにフランスメディアが襲い掛かった!三重四重の輪の中でも、特に競争が厳しいのが TV。生中継のフランステレヴィジョンは別格として、他のTVカメラは正面からのインタビュー画像を撮ろうと、激しい小競り合い(いや、胸や肩を押し合うどつきあい)まで繰り広げた。その点、書きメディアの人たちは、後ろ頭を拝もうが顔が見えなかろうが無問題なので、静かに輪に滑り込むのだった。
★「モロー威風堂々」「モローがカードを配った。戦いはオープンゲームだ」
(7月16日付、Aujourd'hui紙より)
一般紙ながら、あいかわらずツールの扱いは大きく一面トップはモローの大きな写真。中ではモローのコメントとライバルたちの動きに2面を裂いている。「モローが(ライバルたちに)今ツール最初のKOを言い渡した」と誇らしそうだが、ヴィノクロフに関しては「まだKOではないが、苦境に立った」と慎重な様子。もちろんシュレクの「アタックはもうちょっと待ったほうが良かったんじゃないのかな」なんていうセリフも一応引用して気を引き締める。
★「なんという打ち上げ花火!」
(7月16日付、L'equipe紙より)
一面トップ見出しは上記の通り浮かれたタイトルだが、紙面をめくるといきなり「勝負はまだまだ先」という見出しに変わる。しかも「最低でもモローは、ティーニュへの登りでアタックをかけ、最初のイニシアチヴをとった最初のリーダーとなった。ただし単独で抜け出すには、斜度が2%ほど足りなかった」、「もしかしたらフランスチャンピオンが今ツール最強なのかもしれないが、彼は十分にこの機会を利用することが出来なかった」と少々批判のような後悔が続く。
★「モローの戦術ミス byジャラベール」
(France2 TV放送局)
フランスを代表するTV放送局HPはどんなコメントを載せているのかというと……正反対である。ちなみにツールを生放送しているのはFrance2。
「イニシアチヴをとったモローを称えたいけれど、少しアタックが早すぎたと思う。あんなに早くアタックして、戦術ミスを犯した。体力を温存して、登りのもう少し上の部分でライバルを引き離しにかかるべきだった」と、ツールではマイヨ・ヴェールにマイヨ・ア・ポア・ルージュを獲得し、ブエルタでは総合優勝も上げているジャラベールの忠告をモローはどう受け止めるのだろう。
手放しで喜べないメディアたちの反応をよそに、休日を家族と過ごしたモローの口からは「次はガリビエでアタックするよ」と強気の宣言が飛び出した。ガリビエ峠が登場するのは休日明けの7月17日、第9ステージだ。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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