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翌日からのピレネー山脈突入を前に、アルビでの54kmの個人タイムトライアルで総合順位が大きく動いた。ステージ優勝を果たしたのは、時速48.7km、1時間6分34秒で走ったヴィノクロフ(アスタナ)。2位エヴァンス(プレディクトール・ロット)に1分14秒差をつけ、トップから5分10秒差の総合9位に浮上した。ラスムッセン(ラボバンク)はヴィノクロフから2分55秒遅れの11位でゴール。総合2位につけたエヴァンスに1分差まで迫られたが、マイヨ・ジョーヌを守っている。
前日までの暑さとは打って変わって、雨の降る涼しい中で始まった個人タイムトライアル。最初に目標となるタイムを出したのは、1時間8分48秒をマークしたウイギンズ(コフィディス)だった。タイムトライアル世界王者のカンチェッラーラ(チームCSC)がこのタイムを破ろうとするが、落車によりウイギンズから6分31秒遅れでのゴールとなってしまった。ロシアタイムトライアル王者のグセフ(ディスカバリー)も、3分前にスタートしたフォイクト(チームCSC)を追い抜く走りを見せたが、ゴールまで10kmで落車。濡れた路面に悩まされる選手が多かった。
ウイギンズのタイムが更新されないまま、スタートを待つのも上位20人だけとなる。まずポポヴィッチ(ディスカバリー)がウイギンスに2秒遅れの好タイムを出した。続くヴィノクロフは2つの中間計測ポイントで最速タイムを記録し、ウイギンズを2分14秒上回り暫定首位に躍り出る。チームメイトのクレーデン(アスタナ)は落車に見舞われるも、素早い再スタートでタイムロスを最小限に抑え、1分39秒遅れの暫定2位に立った。
ラストから5人目、新人賞ジャージのコンタドール(ディスカバリー)は2分18秒遅れでゴール。次にスタートしたエヴァンスは、序盤から快調な走りを見せクレーデンを上回るタイムを記録し、総合優勝の有力候補に名乗りをあげた。思うような走りができなかったのが、マヨ(サウニエルドゥバル)とバルベルデ(ケースデパーニュ)の2人。ヴィノクロフから約6分遅れ、総合順位でも後退してしまった。最後にスタートしたラスムッセンは、多くの予想を良い形で裏切る走りを見せ、今日もまたマイヨ・ジョーヌに袖を通した。
明日の第14ステージからプロトンはピレネーに。初日は終盤にカテゴリー超級パイエール、そしてプラトードベイユまで登り切ってのゴールとなる。今日動いた総合争いに、また大きな変化が起こりそうだ。
アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)
ステージ優勝
非常に厳しい1週間を過ごしてきた。かなり苦しんできた。でもツールは長いんだ。僕はただ、ヒザの傷口にばい菌が感染しないよう願っていたよ。病院では、ドクターが傷口を縫合してくれた。でもヒザに受けたショックのことも心配していたんだ。でも全ての関係者がいい仕事をしてくれた。整骨医やマッサーにお礼を言いたい。
今日重要だったのは、僕を総合争いから除外してしまうのはちょっと早いんじゃないのかな、と見せ付けられたこと。2日前から脚の調子を取り戻している。断言できるのは、大きなモチベーションを取り戻した。だからまだ終わりなんかじゃない!
クレーデンはTTではいつも成績がいいし、カシェチキンは1年前から実力を上げている。ドフィネ・リベレでも実証済みだ。今ツールはあらかじめ、個人TTで勝って、山では付いていこうと考えていた。だけどアルプスでタイムを失いすぎた。今後の戦術は、明日のお楽しみだ。ただ言えることは、僕らがアタックすること。ツールはパリで終わるんだ。
ラスムッセンのTTにはびっくりさせられたね。3分しか失わなかったなんて。もう少しタイム差が縮められると思っていたんだ。彼は非常に登りがいいのは分かってる。でもツールの期間中で、誰にでも調子の悪い日というのはある。次の2ステージは非常に難しい。彼のことを恐れたりしない。
ミカエル・ラスムッセン(ラボバンク)
マイヨ・ジョーヌ保守
今日はあらゆる人を驚かせたと思う。僕も含めてね。マイヨ・ジョーヌが大いなるモチベーションになった。マイヨが僕を後押ししてくれた。もちろんバルベルデが前を走っているのを見た時、さらにやる気がわいてきた。今日の彼は、少し後退してしまったね。総合優勝を狙える選手たちの中で、彼だけが唯一、自分自身のレベルを出せなかった選手だ。
マイヨ・ジョーヌを着ると、たくさんの利点があるね。最後にスタートすることは、モチベーションの源になるし、それにライバル達の状態を探ることが出来る。天候面では少しラッキーだった。だって多くの選手が濡れた路面を走らなければならなかったし、これは難しい下りでは特に不利だったと思うよ。
これからはピレネー山脈に入る。僕の得意な地形だ。エヴァンスへの1分リードは、ピレネーでマイヨ・ジョーヌを守るのに十分なタイム差だ。でも2度目のタイムトライアルを考えれば、十分ではない。だからパリまでマイヨ・ジョーヌを守りたいと思ったら、僕はライバル相手にアタックをかけなければならない……。もちろん僕はパリまで首位を守りたいんだ。
J SPORTS 編集部
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