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2007年最後のグランツールが、大西洋を美しく臨むビーゴ湾からスタートを切った。初日といえば個人・チームタイムトライアルが恒例だが、第62回ブエルタ・ア・エスパーニュは153.4kmの通常コースで開幕。顔見せ的な雰囲気は一切なく、いきなり本気の勝負が始まった。
全参加21チーム・189人の中で、観客から最も熱狂的に歓迎されたのは郷土選手オスカル・ペレイロ(ケースデパーニュ)と、地元チームのカルピン・ガリシア。そしてサッカークラブ“セルタ・ビーゴ”で長らくプレーしてきたヴァレリー・カルピンが、今季からオーナーを務めるガリシア州のコンチネンタルチームから、セラフィン・マルティネスが今大会最初のエスケープを成功させた。
23km地点で飛び出したマルティネスに、すぐにディミトリー・シャンピオン(ブイグテレコム)とジョフロワ・ルカトル(コフィディス)も合流する。そのまま3人は長い逃げに突入するが、決して楽しい道中というわけではなかった。後方ではスプリンター擁するチームたち、特にミルラムが走行速度を上手くコントロールし、3人とのタイム差をわずか2分程度に保ち続けたのだ。まるで気の抜けない状況の中、今大会最初の山岳ポイントをトップ通過したマルティネスが、2つ目の峠を利用してひとり飛び出して行く。
山岳ジャージを確実にし、ビーゴ市内の周回コースにたったひとり先頭で走り込んだマルティネスに、次に追いついてきたのがジェレミー・ロワ(フランセーズデ ジュー)。シャンピオン、ルカトルに続くこの日3人目のフランス選手は、しばらくマルティネスと併走したのち、最終10km地点で単独先頭を奪取。ところがゴール前6km地点の登り坂で、果たしてチーム戦術なのか個人の判断か、チームメイトのフィリップ・ジルベールが集団から飛び出しをかける。ロワをあっさり追い越したものの、わずか数百メートルで計画はあえなく失敗。結局、集団はここで完全にひとつになり、今大会初めての集団ゴールスプリントへとなだれ込んだ。
きれいなトレインを形成し、ミルラムがプロトンをリードする。ジロ中の薬物問題でツールに参加できなかったアレッサンドロ・ペタッキ(ミルラム)を勝たせようと、今ステージを通して集団コントロールに努めてきた水色軍団。ただし彼らの努力もむなしく、ゴールラインに一番に飛び込んだのはダニエーレ・ベンナーティ(ランプレ)だった。チームリーダーのダミアーノ・クネゴが落車したせいで同僚たちのアシストがあまり期待できない中、ミルラムトレインをうまく利用して右後方から猛加速。ゴール直前で力尽きたペタッキがオスカル・フレイレ(ラボバンク)にも追い越される一方で、ベンナーティは後方に自転車約1台分の距離を付けて余裕の勝利を上げた。ツール最終日のシャンゼリゼゴールに続くグランツールステージ優勝で、総合リーダージャージのマイヨ・オロとポイント賞ジャージもダブル獲得している。
また落車で右半身を地面に叩きつけられたクネゴは、24秒遅れでゴール。同時に落車したトム・ダニエルソン(ディスカバリー・チャンネル)は、90km地点で今大会リタイア第1号となった。昨大会の難関山岳ステージを制した実力派選手のリタイアは、総合上位を目指すチームにとって大きな痛手となりそうだ。
ダニエーレ・ベンナーティ(ランプレ・フォンディタル)
マイヨ・オロ、ポイント賞獲得
今回ブエルタに参加したのは、シュツットガルトで行われる世界選手権の出場資格を手にする為だ。それだけに、初日のステージは狙っていた。ここで勝てば数日はマイヨ・オロを着るチャンスを得ることが出来るからね。とにかく自分には世界選手権に出場する力があるということを示したかったんだ。そういう意味では思惑通りに行ったね。最後のスプリント勝負の際に、ミルラムの選手達は素晴らしい走りをしていた。彼らにとっては完璧な展開だったかもしれないけど、仲間のクラウディオ・コリオーニが良い崩しをしてくれたお陰で、突破口が出来たんだ。
今日の勝利で、明日のサンチアゴ・デ・コンポステーラ、もしくは第3ステージのルアルカまではオロを維持出来るよう頑張りたいね。まぁ、第4ステージのコバドンガは少し厳しいかな。とにかく今シーズンはこれまでのような故障も無く、フィジカルコンディションがとてもに良いんだ。ツールのパリのゴールの好調さを今日はそのまま持ってくることが出来た。移籍? まだ正式には決まっていないけど、99%確立で来年は別のチームで走ると思うよ。
オスカル・フレイレ(ラボバンク)
ゴールのゲートを通過した時はむしろ嫌な気分だったね。最後のスプリントの時にミルラムとクイックステップの選手に挟まれて、思うように飛び出すことが出来なかったんだ。最後は何とか良いスプリントで追い込むことが出来たけど、ベストのフィニッシュとは言えないね。今回のブエルタでは、チャンスがあればステージ優勝をもちろん狙うけど、僕の第一の目標は常に世界選手権にある。今回はそれに向けての強化のつもりで臨んでいる。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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