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ローマ、エルサレムと並んでカトリックの三大巡礼地に上げられる、サンティアゴ・デ・コンポステーラへと向かう148.7km。ただし道路状況のせいで仮スタート地から本スタート地までの距離が5km先延ばしにされ、実際、真剣勝負が行われたレース距離は143kmほどだったようだ。
予定より長いニュートラルゾーンを終え、本スタート地点からわずか3kmでこの日のエスケープが決まった。ラウール・ガルシーア(リラックス・ガム)のアタックに、マヌエル・ヴァスケス(アンダルシア・カハスール)とグスターボ・ドミンゲス(カルピン・ガリシア)が反応。こうして主催者ワイルドカードで出場権を得た、地元スペイン・コンチネンタルチーム所属の3人が、ジャージをアピールしようと長い逃げを始めた。
あっさり逃げが決まったため、ステージ前半、後方プロトンでは大きな動きは見られなかった。この日唯一の山岳ポイントでは、山岳ジャージのセラフィン・マルティネス(カルピン・ガリシア)が、最後のポイント(1p)を獲得しジャージを堅守。プロトンが下りを利用して本格的な追走を開始したのは、ようやく100km地点を過ぎた頃から。
そして3分前後で安定してきたタイム差が1分を切ったとき、アンヘル・ゴメス(サウニエルドゥバル)が後方から飛び出した。結局ゴメスとエスケープ3人は131km地点で吸収されてしまうが、この飛び出しはアタック合戦の引き金となった。この後ひとり飛び出しては追いつかれ、またひとりトライしては失敗するという状況が展開する。ただしゴール前5kmでリクイガスがトレインを形成してプロトン前方を制御すると、あとは大集団ゴールスプリントが待っているだけ……、かと思われた。
残り2kmの横断幕をくぐり、リクイガスに続いていよいよミルラムもトレインを作りかけたそのとき、プロトン後方で集団落車が発生。実際落車したのは10人程度だったものの、大多数の選手がその場で足止めを食らってしまう。地面に両足をつけた選手の中には、ダニエーレ・ベンナーティ(ランプレ)の姿も見られた。苛立ちを隠せないマイヨ・オロを置き去りにして、前方では20数選手がステージ優勝へ向けて走り続けた。
落車を免れた幸運な選手たちの中から、飛び出したのはフィリップ・ジルベール(フランセーズデ ジュー)。前日もゴール前6kmでアタックを試みたが、この日はラスト1km地点で猛加速。直前のツール・ド・リムザン区間優勝した勢いに乗って逃げ切りを図るも、200mを残して、無念にも2日連続で企ては失敗に終わる。そして残された少数によるスプリント争いを制したのは、世界選手権3勝のオスカル・フレイレ(ラボバンク)だった。圧倒的な加速力は、現世界王者のパオロ・ベッティーニ(クイックステップ)の追い上げを許すことはなかった。
UCIルール2.6.027(ゴール前3km以内のアクシデントに巻き込まれた場合、その時点で所属していた集団と同ゴールタイムを認める)に基づいて、落車に関わった全ての選手たちにフレイレと同ゴールタイムが与えられた。ただし総合首位ジャージのマイヨ・オロは、ベンナーティからフレイレの手に渡った。ところで今大会のルールブックを見る限り、どうやらボーナスタイムは存在しないようだ。つまり総合ではベンナーティとフレイレ(とその他大勢)は全くの同タイム。その中でも第1ステージ2位、第2ステージ1位のフレイレが、最高成績選手としてリーダージャージを身にまとう栄光を手にしたというわけなのだ。
オスカル・フレイレ(ラボバンク) マイヨ・オロ、ポイント賞獲得
この勝利は格別だね。だって、僕自身に初のマイヨ・オロをもたらしてくれたわけだからね。ここ最近のレースで4度もステージ2位を経験してきた。つまり、ステージ優勝はそれだけ難しいということなんだ。もしこれら2位が全部優勝だったら、僕はスーパーな成績を残したということになっていただろうね。
今日のレースはラッキーだった。だって僕の目の前でマイヨ・オロのベンナーティが落車に巻き込まれて倒れ、僕もその犠牲になりそうだったんだ。幸いにしてなんとかそれを避けることは出来たけど、他の選手がぶつかって来たりして、ホント危なかったよ。どれだけの人数が巻き込まれたか分からなかったけど、もう最終段階だったし、後ろは振り向かなかったね。このステージは勝利を目指していたわけでも、必要としていたわけでも無かった。だから大分後方にいたんだけど、厳しい直線だったし、皆固まっていたから展開上、行ってみようという感じだった。
でも、僕の夢だったマイヨ・オロだけど、長くは続かないかもね。だって、第4ステージは最後がコバドンガだし、明日の第3ステージだってすんなりはいかないだろうからね。僕の目標は昨日も言ったけど、あくまでも世界選手権だ。その為に今回の各ステージがある。でも、行けるところは仕掛けていくつもりだよ。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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