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昨ブエルタでは第5ステージに最初の難関山頂ゴールが登場した。しかし2007年大会はさらに早い第4ステージでの頂上フィニッシュ!今ジロでも第4ステージに山頂ゴールが設けられたが、実は前日に休養日が設定されていたため、大会最初の山の戦いが行われたのは水曜日だった。つまり火曜日に総合争いが勃発したブエルタのほうが、あくまでも1日早いのだ。
大会序盤で元気いっぱいの選手たちは、早くもやって来た難関ステージに活気付いていた。スタートゼロ地点から高速スピードで、アタックの試みが次々と巻き起こる。そして最初の2級峠の登りを利用して、まずは20人近い選手が先頭集団を形成した。さらに飛び出しは後を絶たず、最終的にトップ集団に滑り込んだのはなんと35選手(37選手、38選手という説も)。
巨大な先頭集団には参加21チーム中、17チームが選手を送り込んだ。どうやら絶好機を逃したのはブイグ・テレコム、クレディアグリコル、ゲロルシュタイナー、ミルラムの4チーム。中でもクレディアグリコルは、ステージ終盤の落車に数選手が巻き込まれるという不運にも襲われた。一方でケースデパーニュやリクイガス、チームCSCなどは複数選手をエスケープに送り込むことに成功。そしてこれが後々、大きな役割を果たすことになる。
一時は後続に6分半近くまで差を開いたトップグループは、最終超級ラゴス・デ・コバドンガの登り開始と共に一気に分断する。ここで単独で先頭に立ったのがウラディミール・エフィムキン(ケースデパーニュ)だ。今年のツール・ド・スイスで一時総合首位に立ったロシアの25歳は、後方で始まった総合狙いバトルにも関わらず、山道をひとり力強く駆け上がっていく。そして山間の“ラゴス=湖”から立ち上がる深い霧に覆われたゴールラインで勝ち取った、初めてのグランツール区間優勝。173kmにも渡る見事な大逃げで山岳勝利。マイヨ・オロと複合賞ジャージも同時に手に入れた。
後方ではCSCが恐ろしい加速を続けていた。先ずはイニーゴ・クエスタがリーダーのカルロス・サストレのために、プロトン先頭を引っ張り集団を大きく分断。さらに残り8km地点でサストレが飛び出しをかけると、前方集団から落ちてきたクリスティアン・ヴァンデヴェルデがアシスト役を引継いだ。この加速についていけたのは2005年ブエルタ勝者のデニス・メンショフ(ラボバンク)、2007年ジロ山岳王レオナルド・ピエポリ(サウニエルドゥバル)、そして2007年ツール総合2位のカデル・エヴァンス(プレディクトール)だけ。優勝候補に上げられるスペイン3人組のオスカル・ペレイロ(ケースデパーニュ)、マヌエル・ベルトラン(リクイガス)、ホセアンヘル・ゴメスマルチャンテ(サウニエルドゥバル)はここで後れを取る。
メンショフ渾身のアタックでアシストを失ったサストレに、残り5kmで今度はクリス・ソレンセンが付いた。今ステージの翌日に23歳の誕生日を迎える若者は、やはり先頭集団の生き残り組み。ラスト3km地点で再度メンショフはアタックをかけるが、最後までチームメイトに支えられ続けたサストレを引き離すことは不可能だった。結局サストレとメンショフは、エフィムキンから1分6秒遅れのそれぞれ4位、6位で終了。また最終盤の急坂ではピエポリが、スプリントを仕掛けて2位を獲得。今ジロに続く山岳賞獲得に意欲を見せた。先頭集団から最後まで粘り続けたステイン・デヴォルデル(ディスカバリー)とマキシム・モンフォール(コフィディス)のベルギーコンビも、実力者たちと同タイムゴールという大健闘。
最後に遅れたエヴァンスはサストレ集団から22秒を失ったが、51秒失ったのがペレイロとベルトラン。ただし両者も先頭脱落組のチームメイトに協力してもらったため、最終的に孤軍奮闘を強いられ1分17秒差を付けられたゴメスマルチャンテと比べれば、失ったものは少ない。ディスカバリーチャンネルのエース、ヤネス・ブライコヴィッチは先頭から6分21秒遅れで優勝争いから完全に脱落している。
ウラディミール・エフィムキン(ケースデパーニュ) マイヨ・オロ、複合賞ジャージ獲得
この優勝は僕のロードレース人生の中でとても重要な勝利となるだろう。今シーズンのスタートはとても苦しかった。ティレノ・アドリアティコで落車し、鎖骨を骨折してからのリハビリはとても長く感じたし、我慢が必要だった。エウスカル・ビシクレタまで復帰出来なかったわけだからね。でもそうした辛い時期も自分の人生においてはとても重要な時間だった。そして、今日の勝利は、諦めずに戦い続けることの大切さを証明したと思う。応援してくれた家族やチームの皆には本当に感謝したい。それこそが僕が頑張り続けることが出来た源だからね。今日の勝利は僕だけのものじゃない。チーム全員のものだ。僕自身、今大会に向けてしっかりと準備をしてきたし、調子は良い。自分はまだまだビックツアーでの経験は浅いけど、ケースデパーニュという強いチームを代表しているわけだし、オスカル・ペレイロ、ウラディミール・カルペツ等、チームのリーダー達もいる。彼等の為にも頑張りたいし、この金のジャージを守って行きたい。
カルロス・サストレ(チーム CSC) 総合3位
コパドンガの登りでのデニス・メンショフは強かった。でも、まだレースは始まったばかり、重要なのは前とのタイム差を極力抑えること、そういう走りを続けていくことが大切だ。そうしていく中で、今日の22秒のような差(ライバルの一人、カデル・エヴァンスとの差を指す)を付けることが出来たのは大きいね。とにかく今日は素晴らしい登りが出来たと思うし、チームの走りぶりも最高だった。最後の競り合いで負けた!?さっきも言ったけど、これは長いレースの序盤だ。僕は僕なりの走りを貫いていくつもりだし、楽しみながら走って行きたいと思っている。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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