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サイクル ロードレース コラム 2007年9月13日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2007】第11ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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区間3勝のオスカル・フレイレ(ラボバンク)が大会を離れてから、初めて訪れたゴールスプリントのチャンス。今ステージ最終盤は、残されたスプリンターたちによる熾烈なポジション争いが繰り広げられた。一方でマイヨ・オロのデニス・メンショフ(ラボバンク)を含む総合争いの選手たちにとっては、次の山岳までの“いわゆる移動日”。静かにプロトン内で1日を過ごすだけで良かった。

休養日明けのステージは、レースリズムを取り戻すのに少々時間が必要だと言われる。だからこそ、その隙を突いてエスケープを狙う選手も存在する。今ステージも例外なく、スタートと同時にアタックが続発し、20数人の選手が大逃げを試みる。しかし最終的に長いエスケープを始められたのはわずか2人だけ。第2・7ステージに続く今大会3度目の逃げとなるラウール・ガルシーア(リラックス・ガム)と、第6ステージに続く逃げとなるホセアントニオ・ロペス(アンダルシア・カハスール)が逃げ乗った。

今大会ここまで、ステージ序盤のエスケープを成功させたのは、第4ステージで頂上ゴールまで逃げ切ったウラディミール・エフィムキン(ケースデパーニュ)のみ。一般的に見ても、グランツールの平地ステージにおける逃げ切り成功率は非常に少ない。それでもわずかな可能性に賭けて、2人は走り続ける。しかしプロトンとのタイム差は決して6分以上開かないまま、結局、ゴールまでわずか7.5kmを残して逃げは終わりを迎えた。もちろん後はいつも通り、スプリンターチームたちの独擅場。

吸収前からすでに始まっていたミルラム、T-モバイル、ランプレ、クイックステップのトレイン形成争いを制し、残り1kmで先頭を奪ったのはミルラムトレインだった。それから3つの90度カーブを曲がり、300mの最終ストレートに突入すると同時にスプリントを切ったのも水色ジャージを身にまとった選手。エリック・ツァベル(ミルラム)の車輪の影から飛び出したのは、大会1週目は不調にあえぎスプリントにさえ参加できない日が続いたアレッサンドロ・ペタッキ(ミルラム)だ。

“アレ・ジェット”の復活。今年のジロではひざの怪我から復活を果たし、今回はドーピング“非”陰性問題で余儀なくされた数ヶ月の空白期間からの復活。ライバルたちの追い上げを許すことなく、長い長いスプリントを全速力で走り抜いたペタッキは、ゴールラインで左手を天に突き上げて吼えた——。そして今回は涙の復活ではなく、ゴール後にツァベルと抱き合って笑顔の復活となった。これにてペタッキのブエルタ区間優勝は通算18(2000年2勝、2002年1勝、2003年5勝、2004年4勝、2005年5勝、2007年1勝)。グランツール通算勝利数は46勝にのばした。

区間2位にはポイント賞首位のパオロ・ベッティーニ(クイックステップ)、3位にはツァベルが入った。また2級峠でレオナルド・ピエポリ(サウニエルドゥュバル)がエスケープの2人に続いて3位通過し、ポイントを獲得。今年のジロ山岳王が、ついに今ブエルタでも山岳賞争いトップに立った。


アレッサンドロ・ペタッキ(チーム ミルラム)
ステージ優勝

今日のような勝利が僕には必要だった。ジロ・デ・イタリアでの勝利以来、勝ちを味わっていなかったからね。この夏は地獄のようなものだった。ドーピング問題の論議でツールに出ることが出来なかったからね。一刻も早く問題が解決し、再び100%問題の無い状態でロードレース人生を歩めることが出来るよう願っている。

そんな状況でスタートしたブエルタだっただけに、最初の週は調子が悪かった。とても苦しんだし、疲労感が強かった。だけど、昨日の休養日を経て、だいぶ調子が戻って来たと思う。でも、今ブエルタの当初も悲観してはいなかった。だって、第6ステージのログローニョのように、6着でゴールした時もあったからね。あの日のスプリントも一瞬4着まで行ったんだけど、既に足に結構きていて、ラストが行き切れなかった。でも、いつかは勝てるだろうという気持ちはあったよ。


カルロス・サストレ(チーム CSC)
総合4位

マドリードのゴールまでは誰も勝者でなければ、誰も敗者でもない。だけど、残念ながら今回のブエルタ、特に後半戦には強烈な山岳コースが無いので差を付け難い。でも、選手達を苦しめるに十分なコースはまだまだあるので、粘り強く走って行きたい。

僕自身、ここまでの走りには満足している。マイヨ・オロを手にしていれば一番良かったのだろうけど、自分なりに精一杯の走りはして来たつもりだし、自分の長所は出しているつもりだ。だけど、自分には強みもあれば、逆にウィークポイントもある。サラゴサでのタイムトライアルは自分にとって厳しい数字となってしまった。今ブエルタで一番苦しかった時でもあった。僕はタイム・トライアルは得意じゃないしね。でも、今は落ち着いた心境だよ。まだ前半が終わったばかりだしね。まだまだこれからだ。

メンショフは今ブエルタでマイヨ・オロに相応しい走りを全てのステージにおいて見せて来ている。しかもラボバンクの彼のチームの選手達も素晴らしい仕事をしていると思う。ピレネーでの彼等の走りっぷりは見事だった。でも僕にも素晴らしい仲間がいる。それに、今は目的を同じにするカデル・エヴァンスも時には協力なパートナーとなるんじゃないかな。マイヨ・オロを苦しめる為にね。

ピエポリ!?彼とは何の問題も無いよ。昨日話をしたしね。あの時はメンショフを助けてるんじゃないかって、嫌な気持ちになったけど、レースの展開上のことだと納得出来たからね。もうそういう話は止めにして、レースを楽しんで行きたいね。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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