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サイクル ロードレース コラム 2007年9月15日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2007】第13ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ダヴィデ・レベッリン(ゲロルシュタイナー)とトム・ボーネン(クイックステップ)が大会を去った。レベッリンは世界選手権に集中するため。対して2005年世界チャンピオンは数日前の落車で背中を痛めたせいで、シュトゥットガルト行きさえも微妙だという。今夏のツール・ド・フランスでは13日の金曜日にステージ優勝を決めたボーネンが、ブエルタでは13ステージの金曜日に先行き不安なまま姿を消した。

強豪が次々と姿を消すブエルタの空に、黒雲が広がった。雷雨と強風。気温も大きく下がり、土砂降りの雨が道路上に小川を作ったほど。そしてこの悪天候が、一部の選手には好都合に働いた。今大会も2週目の終わりに差し掛かって、初めてフラットステージで大逃げ勝利が決定したのだ。

スタートから20kmで逃げ出したのはジェレミー・ロワ(フランセーズデジュー)、トム・スタムスナイデル(ゲロルシュタイナー)、そしてアンドレアス・クリアー(T-モバイル)。雨にも負けず、風にも負けず、3選手は後続プロトンに最大10分20秒もの大差をつけた。一方、追走に向かうはずだったスプリンターチームの足を止めたのは、風雨に加えて、プロトン内で多発した落車。特にアレッサンドロ・ペタッキ(ミルラム)の区間2連勝をお膳立てしたエリック・ツァベルが、混乱に巻き込まれて少し遅れを取ったことで、ミルラム列車は大きくスピードをダウンせざるを得なくなった。

おかげで先頭の3人は、ゴール前10kmを切った辺りから、悠々とステージ勝利に向けて駆け引き合戦に取り掛かることができた。まず大きな賭けに出たのは、クリアーだった。2005年ツール・デ・フランドル2位、2003年ヘントヴェヴェルヘム優勝というだけあって、雨風寒さの三重苦は大得意な北のクラシック強者のアタックで、まずはロワが区間優勝争いから脱落した。もう一方のスタムスナイデルは、じわじわとクリアーに追いつてくる。しかし一旦追いつくと、ライバルの背後にぴったりと張り付いて動かない。残り2kmを切っても、スタムスナイデルは動かない。ついに最終1kmの横断幕を越える頃、クリアーは耐え切れずに何度も何度も振り向いて、背後の男に不信感をアピールした。……と、不意をついたスタムスナイデルが猛発進。一心不乱にゴールへとペダルをこぐ。

しかしクリアーの怒りが、何よりも勝った。残り150mで先頭を取り返すと、そのままゴールラインで感情を大爆発させた。後ろでがっくり肩を落とす、スタムスナイデルの姿がなんとも対照的だった。

24秒遅れでゴールしたロワの後ろでは、4分03秒遅れでゴールへ入ってきた集団内で熾烈なスプリント争いが勃発。ダニエーレ・ベンナーティ(ランプレ)がペタッキに競り勝ち、4位の座を獲得。同時にポイント賞争いでもペタッキを1ポイント差で逆転し、2位につけた。ちなみにポイント賞首位はパオロ・ベッティーニ(クイックステップ)。


アンドレアス・クリアー(T-モバイル)
ステージ優勝

この勝利は来シーズンへ向けての発奮材料になるね。自分にとってはとても重要な勝利だ。3月に落車した時に頬骨を骨折し、頭も打ってしまった。今シーズンもこれからという時だっただけに、とても残念な出来事だった。この勝利によって苦しんだ今シーズンが全て消えるわけでも、リスタート出来るわけでも無い。でも、来年は33歳になる自分にとって、もう一度奮起する為の自信になるね。またクラシックを戦えるレベルに自分を持って行きたいし、特に自分の最大の夢はツール・ド・フランドルを獲ること。今日の勝利はそれに向かっての良い刺激になる。


エセキエル・モスケーラ(カルピン・ガリシア)
総合5位

今日は地獄のような一日だった。ムルシア地方は殆ど雨の降らない場所だけに、雨が降ると途端に川が出来上がってしまう。しかも、石などが転がっていても見えないから、転倒、落車が相次いだ。皆神経質になっていたし、道路状況がとにかく危険だった。一旦プロトンで落車が発生すると、それを逃れるのは殆ど不可能だった。忘れない一日となったね。でもそれもまたロードレースだ。ケースデパーニュが一気にアタックを仕掛けた時は、悪いポジションにいたので、またいつ落車が発生しないかとドキドキしていた。ゴール出来た時は本当にホッとしたね。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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