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2007年ブエルタもいよいよ最終週に突入。9人全員が大会に残っているチームはわずかに5つだけ(アージェードゥゼール、アンダルシア・カハスール、コフィディス、エウスカルテル、ミルラム)。ブイグテレコムは6人が脱落、フランセーズデジューは4人が大会を離れたが、これはオロペソ・デル・マールのホテルで食あたりを起こしたのが原因だそうだ。また第2回目の休日でダミアーノ・クネゴ(ランプレ)が帰宅したが、この日スタートを切った154選手は全員ゴールまでたどり着いている。
休日明けは、スタート直後から激しいアタック合戦。残り少なくなった区間勝利のチャンスを追い求める選手たちが、幾度にも渡ってエスケープへの挑戦を繰り返した。そのせいでレース最初の1時間の、走行時速は47.9km!これは開催委員会が準備した時速39km、時速41km、時速43kmという3パターンのタイムテーブルよりも、大幅に上回る猛スピード。例えば第1中間スプリントポイントには、予定より10分〜15分も早く到着した。
こんな高速プロトンを振り切って、ようやく本格的な逃げが成功したのが58km地点。17選手が前方でしばらく抵抗を続けると、プロトンは徐々に追う脚を弱めていった。17人中、総合で最も上位につけていたのはダビ・ロペスガルシア(ケースデパーニュ)。マイヨ・オロのデニス・メンショフ率いるラボバンクや総合上位選手たちは、静かなステージ後半を過ごすことに決めたようだ。また最終盤はかなりフラットな道が続くため、スプリンターチームの追い上げに最適なはずだったが、彼らも追走を放棄。先頭集団のレオナルド・ドゥケ(コフィディス)がポイント賞12位につけてはいたが、熾烈な戦いを続けるトップ3スプリンター(ベッティーニ、ベンナーティ、ペタッキ)の地位が脅かされる心配はなかったのだ。
ゴールまで30kmで、17人とプロトンとのタイム差は6分以上開いていた。ここで逃げ切りを確信したのか、これまで協力して走ってきた先頭集団内でアタックの波が巻き起こった。約10kmに渡って続いた競り合いから、区間優勝に向けての飛び出しを決めたのはホアン・オラク(ケースデパーニュ)、アレクサンドル・コロブネフ(チーム CSC)、そして前述のドゥケ。
3人の中で最初に仕掛けたのはオラクだった。短い坂道を利用しての加速。ただし「失敗だった。あそこで全力を使い果たしてしまったんだよ」と後悔する通り、その後はコロブネフとドゥケの後ろに張り付いて体力温存作戦に切り替えた。一方、スプリント力に自信を持つドゥケは、積極的に加速を繰り返した。そして日本の新城幸也選手が総合3位に入った2006年ツール・ド・リムザンで総合優勝を果たしたコロンビア人は、ゴール前2kmでオラクとコロブネフが互いの顔を見合わせて様子を伺っているのを見ると、遠くから勝利を確信してスプリントを切った。
ヒルクライマーが多いコロンビア出身のスプリンターは、確信どおりに自身初のグランツールステージ優勝を手にした。ポイント賞も12位から一気に6位へアップ。しかも首位ベッティーニとも28ポイント差まで詰め、こんな好成績ではもはやこの先、トップ3スプリンターが逃げを許してくれないだろう!またフランスチームにとっても今ブエルタ初優勝。
のんびり走った後続集団はドゥケから7分43秒遅れでゴールに到着。4賞ジャージに変更はなかった。
レオナルド・ドゥケ(コフィディス ル クレディ パール テレフォン) ステージ優勝
この勝利は僕の競技人生の中で最も重要な勝利となった。コロンビア人と言えば山に強いというイメージがあるかもしれないけど、残念ながら僕にはその能力が無い。だから母国のメデリンの競輪場でバイクの後ろを走って瞬発力を鍛えたんだ。そのお陰でスピードを身に付けることが出来た。今日のレースは最後の数キロは全く後ろを見ずに走った。そして最後500mぐらいの所で後方を見たら、後ろの集団が迫って来るのが見えたので、それを機にアタックすることを決断したんだ。
カルロス・サストレ(チーム CSC) 総合4位
今ブエルタの残されたコースを見てみると、メンショフを逆転するのは殆ど“ミッション・インポシブル(不可能な任務)”だね。だって差がつきやすいコースが残っていないからね。そういう意味では今ブエルタは厳しいコースの数が少ないね。あと残されたステージで唯一チャンスがあるのはアバントス峠ぐらいだ。もちろん、自分なりに挑戦するつもりだ。だけど、自分的には今ブエルタでマイヨ・オロを掴むことは厳しいと思っている。総合順位を上げる!?2位のエフィムキンや3位のエヴァンスを抜くことも難しいと思う。グラナダのゴール前の山岳でも彼等を振り切ろうと試みたけど、ピタリと付いてきたしね。アバントスでどうなるかだね。とにかく言えることは、今ブエルタではメンショフが最も強い男だし、今あるリードを有効に活かして最後の一週間を組み立ててくるだろうね。ある意味彼は唯一僕だけをマークすれば良いわけだからね。もし僕が4位でこの大会を終えるのなら、それが現実だし、甘んじて受け入れる。それに、僕の直ぐ後ろの順位に就けている選手が飛び出したら、全力でそれを阻止する。他のどのチームでもやっているようにね。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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