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イタリアの大都市では中心部の自動車交通が制限されていることが多い。登録車両以外は原則的に通行禁止であり、制限ゾーンの入り口には監視カメラが備え付けられている。そして違反者の自宅には、数ヵ月後に罰金の振込用紙が届く……。カターニアの町の、まさに第3ステージスタート地一帯もこのZTLのど真ん中。おかげでZTLを取り囲む周辺は迂回車による渋滞がひどく、しかもやたらと一方通行が多いのだ。
こんな事情が重なって、この日、スリップストリームがスタート地に到着したときには既にスタート時間が迫っていた。出走サインをしている暇はもちろんなく、選手はバスから飛び出すとそのまま走り出していった。なんでも宿泊ホテルからスタート地までの距離はわずか11km。この短距離移動に、なんと1時間もかかってしまったそうだ。「時間前にたどり着けてホッとした。今後は近いからといって気を抜かないようにしないとね」と、チームスタッフは反省しきりである。
幸いにも、ステージ前半のプロトンは少々緩やかな足取り。神秘的な雰囲気をたたえる活火山エトナ山の中腹まで静かに足を踏み入れたあと、一気に下界へと駆け下りる途中でようやくエスケープが発生した。出来上がった6人の逃げ集団の中には、前日にも128km逃げたロワ(フランセーズデジュー)の姿が。スタート前のサイン台では「フーガ・セルベロ賞(逃げ距離総合トップ)」の副賞としてジロのキャタクターマスコット「ギロ」のぬいぐるみをプレゼントされていたが(賞金200ユーロも獲得)、今ステージ後には逃げ距離を総計263kmに伸ばし、大逃げ賞総合首位の座をさらに確かなものとした。ゴール前29kmで吸収され、またしても大逃げ勝利は果たせなかったけれど。
残念ながら前日に引き続き、痛々しい落車も多発。140km付近の集団落車では前日区間優勝したリッコ(サウニエルドゥバル)や今区間優勝候補カベンディッシュ(ハイロード)が巻き込まれた。さらにエスケープ集団吸収後に地面に叩きつけられた顔ぶれの中には、バクステット(スリップストリーム)、オグレディ(チームCSC)、マックギー(チームCSC)の姿が。バクステットは「右手首を軽く痛めただけ。問題ない」と語るが、後者2人は鎖骨を骨折。2004年に2日間マリア・ローザを着用したマックギーは、無念のリタイアを選択せざるを得なかった。またリッコは骨折の疑いがあるとして、レントゲン検査を受ける予定らしい。
グラン・ブルーの海の向こうには、イタリア本土が広がっていた。島北東端のメッシーナを通過したあと、ゴールまで残り10kmを切ったところでメッシーナ生まれのニバリがアタックを仕掛ける。ゴール地で会場アナウンスに耳を傾ける大勢の観客が、いっせいにどよめいた瞬間だ。ただし地元ファンの興奮も長くは続かず、スプリントに向けて着々と準備に入るプロトンにニバリは飲み込まれていった。
そしてトレインらしきものがしっかりと形成されぬまま、大会初の大集団スプリントへとなだれ込んだ。スプリンター個人の脚にゆだねられた勝負を制したのはベンナーティ(リクイガス)。地元ジロでは初めての勝利だが、昨年のツールから数えると3グランツール大会連続となる区間優勝。前日マリア・ローザを獲得したペッリツォッティ(リクイガス)が「ベンナーティが区間優勝、ボクは総合首位キープ」と願っていた通りの結果となった。
ゴール後の選手たちは、近所のスポーツ施設でシャワーを浴びると、2台のバス+αに分乗してイタリア本土へと渡る船へと向かった。昨ジロは船移動が多くてうんざりしていた選手も多かったが、今大会はこの20分の船旅が最初で最後。一方で、今年のジロはステージ間移動が非常に長距離だ。例えば第2ステージ後にドーピング検査を受け、その後記者会見にのぞんだリッコは、19時を過ぎてからようやくホテルへと出発した。しかしゴール地からホテル(この日のスタート地市内)までは、最低でも2時間を要する距離だったのだ!……そして下船後にも、大移動が待っている。
●ダニエーレ・ベンナーティ
ステージ優勝、ポイント賞
スプリントではミルラムを利用した。彼らはツァベルを引いていたから。そしてボクは早めに彼の後ろから飛び出した。250mの間、ボクを追い越せるスピードを出せる選手は存在しなかったね。
ようやくジロのステージを勝ち取ることが出来て、素晴らしい気分だ。リクイガスにとってもリーダージャージを保守できて、素晴らしい一日になった。ツールとブエルタの区間はすでに制してきたから、これでパーフェクトさ。ボクは3大ツール全てで区間優勝を上げたんだ。
●フランコ・ペッリツォッティ
マリア・ローザ
今日はどうしてもジャージを守りたかった。だって明日はジャージを失う可能性が十分にあるから。ディルーカやサヴォルデッリ向けのフィニッシュだからね。今日は素晴らしい一日だった。(ベンナーティが)ステージも勝ったし、(自分の)マリア・ローザは守れたし、ベンナーティがポイント賞ジャージも獲得したよ。
●リカルド・リッコ
コース設定については、意見を述べるのは控えたい。でも問題が多すぎる。ボクが唯一言えることは、我々が今日、実際に目にしたこと。道幅が急に狭まったり、危険な道だったり、車道にレールが走っていたり……。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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