人気ランキング
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
コラム&ブログ一覧
第5ステージのフィニッシュは、約3kmの激坂だった。さらにステージ全体に繰り返しあらわれるアップダウンで、コースプロファイルはアルデンヌクラシックを思わせる。だからこそスタート前にはディルーカ(LPR)やレベッリン(ゲロルシュタイナー)、そしてベッティーニ(クイックステップ)の区間優勝が期待されたのだが、終わってみれば、優勝を左右したのは19km地点から始まったエスケープだった。
ラベルデ(CSF グループ)とフローリンガー (ゲロルシュタイナー)が先陣を切ったアタックに、ブル(ティンコフ)、ミラー(スリップストリーム)、さらにペレス(ケースデパーニュ)が反応し、5人の逃げ集団が出来上がる。集団は最大9分10秒のタイム差を広げ、総合でわずか1分57秒差のペレスは暫定マリア・ローザの座に立つ。このペレスが「マリア・ローザを獲得することを夢見た」おかげか、集団5人が最後の数キロ地点まで一糸乱れず協力し合ったおかげか、それともプロトンが本気で追い上げ体制に入るゴール前30km前後で激しいにわか雨がふったせいか、5人はついに逃げ切りを成功させた。
……正確に言えば4人だろうか。残り1kmを示すアーチに差し掛かる直前で、ミラーのバイクのチェーンが弾け飛ぶアクシデント。さらにミラーはその場で自転車を担ぎ上げると、そのままフェンスの外へ投げ捨ててしまった!レース後しばらくして気持ちが落ち着いたのだろうか、苦笑しながら「本当に勝てると思っていたから、怒りで我を忘れてしまった。本当にステージ優勝が欲しいんだ。またチャレンジするよ。明日というのは無理だけど、別の機会にね。本当に、本当にジロで区間優勝したい」と語っていた。
そしてミラーが逃した区間優勝は、4人になった直後に飛び出していったブルが手に入れた。山岳強者のラベルデや、ほんの少し前にアタックを試みていたフローリンガーは必死に追いかけたが、全身の力を振り絞って力強くペダルを漕ぎ続けたブルに追いつくことは結局出来なかった。また力尽きたペレスは25秒遅れて4位ゴール。マリア・ローザどころか、ゴールボーナスタイムをつかむこともできず、結局トップとの総合タイムは8秒しか縮まらなかった。また自転車を投げたミラーは、このペレスと同じゴールタイムが与えられた。
後方プロトンではベッティーニがスプリントを仕掛けて5位終了。マリア・ローザのペッリツォッティ(リクイガス)は世界王者の加速についていく脚を見せて、首位の座を4日間守りきっている。また昨年は山頂フィニッシュの第4ステージを制し、大会序盤から早くも総合優勝争いを支配していたディルーカは、ベッティーニ等と同タイムの20位。「まだジロは長いんだ。大切なのは最終週」と、気をもむイタリアメディアに答えている。ちなみに昨大会のマリア・ローザによると、去年は最難関1ステージ(ゾンコラン?)だけを注意すればよかったが、今年は最終週に複数の難関ステージが存在しているため、決して序盤で力を使いすぎてはならないとのこと。
表彰式直後のイタリア放送局Raiの生中継では、ゾーメニャン大会開催委員長が第6ステージの短縮を公約した。移動の過酷さに不満を漏らす選手たちの声に耳を傾け、本来ならば265kmのところを231.6kmに短縮。33.4kmの最終周回コースを取りやめるため、ゴール地は予定通りの場所となる。短縮しても今大会最長コースであることには変わりはない。
●パヴェル・ブル(ティンコフ)
ステージ優勝
ボクはたくさんアタックを仕掛けるけど、あまり勝ったことはないんだ。これがようやくプロ入り12勝目さ。正直に言って、勝てるチャンスがあるとは思っていなかった。最後まで逃げ切れるとは思わなかった。だけどうまくことが運んだね。すごく強い選手たちが逃げ集団にいたおかげだ。
ミラーのチェーンが切れたとき、ノイズが聞こえたから、何かが起こったことは分かった。でもボクは振り向かずに、とにかく出来るだけ全力で突っ走った。登りフィニッシュだったから苦しかったよ。でもゴールラインまで走り遂げて、勝利を手に入れられたなんて最高だ。
●フランコ・ペッリツォッティ(リクイガス)
マリア・ローザ
チームはプロトンのリズムを上げて、マリア・ローザを守るために力を尽くしてくれた。ボクはたったの1秒差で総合首位に立っているけれど、この1秒が全てを変えたんだ。しかもすでに4日間マリア・ローザを守ったんだから、この1秒に感謝。
レース中にマキュアンやディルーカと話し合った。全選手が次ステージの距離短縮を開催委員会に願い出ることに賛成だった。申し入れは受け入れられたけれど、230mはまだまだ長すぎる距離だよ。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
11月11日 午後7:00〜
-
Cycle*2024 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース
9月29日 午後5:25〜
-
10月12日 午後9:00〜
-
Cycle* J:COM presents 2024 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム
11月2日 午後2:30〜
-
【先行】Cycle*2024 宇都宮ジャパンカップ サイクルロードレース
10月20日 午前8:55〜
-
【限定】Cycle* ツール・ド・フランス2025 ルートプレゼンテーション
10月29日 午後6:55〜
-
Cycle*2024 ブエルタ・ア・エスパーニャ 第17ステージ
9月4日 午後9:50〜
-
10月10日 午後9:15〜
J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!