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2008年ジロルールブックによると、総合同タイムの場合の順位確定方法は以下のように定められている。
1) 個人タイムトライアルの100分の1秒までを比較
2) 同ステージまでの個人区間順位の総計を比較(総計が少ないほうが総合上位)
3) 同ステージでの順位
第6ステージ終了時点で総合が全くの同タイムで並んだヴィスコンティ(クイックステップ)とルス(ゲロルシュタイナー)の総合順位の決定においては、(個人TTはまだ行われていないため)2番目の条項が適応された。そして2人の区間順位の総計を分けたのは、初日チームタイムトライアルでの順位。実はそれ以降のステージ順位では、ルスの方が総計は少ない。
地元シチリア島のパレルモで行われたチームタイムトライアルでは、ヴィスコンティは区間優勝もマリア・ローザも手にすることが出来なかった。ただし大勢詰め掛けたファンクラブの歓声に後押しされたおかげで、「普段よりも20%プラスの力が出せた」と語っていた。その20%プラスの力で走ったチームタイムトライアルが、今回のマリア・ローザ獲得の第一歩となったのだ。
最終盤の「まわり道」が中止となり、この日のステージは236.1kmに短縮された。ステージの走行時速は今大会初めて40km/hを超え、しかも序盤2時間は時速48.8kmを記録する。ただし60km地点で12人のエスケープ集団が出来上がると、後方プロトンはペダルを漕ぐ足を緩めた。過去にゴール地ペスキチを制したディルーカ(2000年、LPR ブレイクス)やペッリツォッティ(2006年、リクイガス)を始めとする総合争いの選手たちは、翌日の大会初山頂フィニッシュを控えて静かな1日を過ごすことに決めたようだ。最終的にメイン集団は11分34秒遅れでステージを終えている。
逃げのきっかけを作ったマンドリ(アージェードゥゼール)は残念ながら激しい落車で途中リタイアしてしまったが、残る11人は後続に一時15分半もの大差をつけて順調にゴールへとひた走る。集団内が顔を見合わせ始めたのはゴールまで15kmを切ってから。そして登りを利用して、プリアーモ(CSF グループ ナヴィガーレ)が一気に前方へ飛び出した。4月のトルコツアーで区間2勝した好調プリアーモの脚についていけたのはペレス(エウスカルテル)だけ。結局、区間優勝はこの2人で争われることになった。
エメラルド色の海に囲まれたペスキチの町へ向かう、最終1300mの急坂。登りの最後の締めくくりに、ゴール前200mを切ったところでプリアーモがさらにひと加速すると、もはやペレスはついていけなかった。初めてのジロ挑戦で手に入れた嬉しいグランツール初優勝。しっかりジャージの前を閉めて、十字を切って投げキッスをして、それから何度も大きくガッツポーズしてゴールラインを超えた。ちなみに2日連続でコンチネンタルチームが区間を制し、今大会5人目(正確に言えば4人+1チーム)のジロ区間初優勝である。
2人に置いていかれたエスケープ集団の残り9人内では、ヴィスコンティとルスの牽制合戦が続いていた。エスケープ集団内では総合で1分39秒遅れのルスが“暫定”マリア・ローザについてきたが、1分52秒遅れのヴィスコンティが中間スプリント1位通過でボーナスタイム6秒を獲得し、ルスまで7秒差に迫っていた。ルスはイタリアチャンピオンのそばを決して離れず、最後まで警戒し続けたのだが……、残り200mでヴィスコンティが急襲アタック。策略にはまったルスは貴重な7秒を丸々失ってしまった。そして前述のルールのおかげで、あとわずかで手に入るはずだったマリア・ローザも失った。
ゴール直後に朗報を受けて「信じられない!」と思わず絶叫したヴィスコンティ。パオロ・ベッティーニの後継者と期待される25歳は、マリア・ローザとともにマリア・ビアンカ(新人賞)争いでも首位に立った。
●マッテオ・プリアーモ(CSF グループ ナヴィガーレ)
ステージ優勝
ボクにとって勝利をつかむための唯一のチャンスは、ライバルたちを驚かせることだった。最終1kmを待っていたら、勝てなかっただろうね。ゴール前11kmでアタックしたあと確信した。ボクにはペレスを倒す力があると分かっていたからね。そしてたった2人のスプリントを仕掛けた。ボクはアシストとしてジロに参加しているけど、今日はエスケープに乗ってもいいお許しが出ていたんだ。この勝利はチームみんなと家族に捧げたい。
火曜日のゴール前集団落車に巻き込まれて、リタイアさえ考えたよ。片足を上手く動かすことが出来なかった。昨日はずいぶん苦しんだけど、ゴールまでたどり着けたことで自信が持てた。
●ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(クイックステップ)
マリア・ローザ&新人賞獲得
今朝、何かしでかしてやろう思っていた。ステージは勝てなかったけど、マリア・ローザは大きいよ。最後まで執念深く喰らいついた。実はゴール前400m時点では、もはや半分諦めかけていたんだけどね。でもゴール前200mで、ルスから数秒でも奪おうとスプリントを仕掛けたんだ。中間スプリントポイントを取るよう鼓舞してくれたブラマーティ監督には、本当に感謝している。
このジャージは最低でも次のタイムトライアル(第10ステージ)までは守りたい。そして出来たらTTステージ後にもね。だってタイムトライアルでもボクはいい走りが出来るんだ。去年のジロでは、最後の個人タイムトライアルで13位に入っているんだから。ボクには総合優勝のチャンスなんてない。でも出来る限り守って行きたいね。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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