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初の山頂ステージの翌日、イタリアのテレビ局では「コンタドール(アスタナ)はジロを勝てるのか」という大議論が展開された。なにしろほんの2週間前はビーチで休暇を楽しんでいて、「ベストの体調には程遠い」と語っていた2007年ツール勝者は、昨ジロ王者のディルーカ(LPR ブレイクス)と若き優勝候補リッコ(サウニエルドゥバル)の真剣勝負にしっかりついて行ってしまったのだから。そのコンタドールは、この日85km地点過ぎで落車。ヒジを少し痛めたが、幸いにもすぐに集団に追いつきタイムに影響はなかった。ただしチームメイトのモラビートが今ステージの途中でリタイアし、来るべき厳しい2週間に向けてコンタドールは貴重なアシストを1人失ってしまった。
3日連続逃げ切り優勝が決まったせいか、この日もスタート地点からアタックを仕掛ける選手が多発。飛び出したい選手と飛び出させたくない選手たちの攻防が続き、プロトンの走行スピードは増すばかり。スタート直後1時間の走行速度は時速45.4kmを記録した。それでも40km地点過ぎに、ようやく5選手が飛び出しに成功する。ただし前々日に大逃げしたナルデッロ(ディクイジョバンニ)や、前日にやはりエスケープしたバリアーニ(CSFグループ ナヴィガーレ)も参加したこの逃げ集団が、プロトンから奪ったリードは最大6分程度。マリア・ローザを守りたいヴィスコンティと、今日こそステージ優勝が欲しいベッティーニを抱えるクイックステップが、はるか後方から上手くスピードをコントロールし続けたのだ。
クイックステップの追走に大いに一役買ったのは、ゴールまでの3kmが急坂というコースプロフィール。アルデンヌクラシックを得意とするレベッリンや第2ステージで同様の激坂ゴールを制したリッコも区間勝利に意欲を燃やし、プロトン前線で積極的にスピードアップを手伝った。残り11km地点ではエスケープ集団からハンセン(ハイロード)が残る力を振り絞ってアタックをかけたが、最後のあがきもむなしく、激坂突入と同時に集団に飲み込まれていった。
第2・第7ステージの登りゴールと同様に、プロトンに急激なテンポを強いたのはピエポリ(サウニエルドゥバル)だ。昨ジロの山岳王が先頭につくとスピードは一段階上がり、プロトンは一気に蛇のように細長くうねっていく。それでも有力選手たちは前線で力を見せ続けたのだが、……ディルーカだけは集団中ごろに留まっている。TVカメラは執拗にディルーカの背中を捕らえ続け、画面を見つめるものたちの頭の中では様々な憶測が駆け巡り始める。今日は静かにしているつもり?不調?それとも単なる“はったり”?
ところがはるか後方から、ディルーカが急襲を仕掛けた。前日は残念ながら地元優勝を逃したが、今ステージこそは得意の短距離激坂で勝利を手にするつもりだったのだ!しかし、するすると追い越していくグレーの影に、ためらわずいち早くリッコが反応した。24歳の若者は一気に急加速してディルーカを抜き去る、ワンテンポ遅れて後を追いはじめたベッティーニやレベッリンにも決して前を許すことはない。トップスピードのままゴールラインを先頭通過すると、区間2勝目をクールな表情でもぎ取った。ここまでの7ステージは日替わりで勝者が誕生し、7勝者の属するチームも全て異なっていたが、大会8日目にして初めて同一チーム・同一人物による区間2勝目が達成されたことになる。
またステージ2位はベッティーニ。「ボクとしては今大会最高のステージ順位だから、明日の地元トスカーナステージでは優勝できるようにがんばるよ」と、ゴール直後に目標を切り替えた。レベッリンは3位、ディルーカは結局ステージ6位に終わっている。気になる総合ではリッコが7位から5位へランクアップ。ボーナスタイムを20秒手にしたおかげで、総合4位ディルーカとのタイム差は26秒から6秒へと大幅に縮まった。リッコが区間優勝2回で獲得したボーナスタイム20秒×2回が、今後の優勝争いでどのような威力を発揮するのか。答えが出るのは2週間後だ。
●リカルド・リッコ(サウニエルドゥバル)
ステージ優勝
今日は勝ちに行くつもりはなかった。だけどゴールがボク向きだから、ボーナスタイム20秒を取りに行くよう監督に言われたんだ。だから試してみた。勝利も大切だけど、一番大切なのはこのボーナスタイムを取れたことだね。次のタイムトライアルとその後の山岳ステージに向けて、これは非常に重要になるよ。
今日のステージは厳しかった。まるでツールみたいな走行速度で始まったし、アタックが相次いだからね。それにボクは昨日の疲れをまだ脚に感じていたんだ。でもチームが非常にいい仕事をしてくれた。特にピエポリは、とんでもなく素晴らしいアシストを成し遂げてくれた!
●ダニロ・ディルーカ(LPR ブレイクス)
最後の下りでは、少し引き気味にポジションを取っていたんだ。危険をおかしたくなかったからね。それにジロの間中、ずっと前線に留まっていることなんて不可能だろう?チームメイトがボクを前に引き上げてくれて、それからスプリントでライバルたちを驚かそうと試してみたわけさ。でも、あとほんの少し、待つべきだったかもね……。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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