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サイクル ロードレース コラム 2008年5月19日

【ジロ・デ・イタリア2008】第9ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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トスカーナには明るい太陽が降り注ぎ、緑豊かな大地をジロ一行は進む。ゼロkm地点でクリフトソフ(アージェードゥゼール)のアタックを、さらに3km地点でにビュファーズ(コフィディス)の追走をあっさり許したプロトンは、2人に先を任せて、後方でしばらくゆっくりとしたときを過ごした。

わずか31km地点で先頭2人は10分のリードを奪うと、その後も100km地点までは9〜10分程度のタイム差をつけて余裕の先行を行う。しばらく何の動きも見られなくなったプロトン内部が、ほんの少し動いたのが176.8kmの3級峠。プロトン内からセッラ(CSFグループ ナヴィガーレ)が飛び出したのだ。ただし山岳賞ジャージ“マリア・ヴェルデ”のポイント取り行動に、プロトンは全く動じることはなかった。もちろんセッラもおとなしく1pを獲得すると、静かにプロトン内部に戻った。

さすがにステージも残り40kmを切ると、プロトンは急激にスピードアップ。リクイガス、クイックステップ、ミルラム、ハイロードなどのスプリンターチームが中心になってぐんぐんタイム差を縮め、先頭2人の回収作業に取り掛かった。ところが残り18km付近の小さな登りを利用して、突然リッコ(サウニエルドゥバル)とベッティーニ(クイックステップ)が急加速。そこに先ほどのセッラもついて行く。世界選手権チャンピオンジャージ“アルカンシェル”にポイント賞“マリア・チクラミーノ”、そして山岳賞“マリア・ヴェルデ”の3種ジャージが並んで走る豪華なシーンが一時見られたが、結局はセッラだけが加速を続け、その他2人は再びプロトンへと引き返している。

第7ステージにパンクのせいで区間優勝を最後まで争うことが出来ず、大粒の涙を流したセッラ。山岳強者はトスカーナの曲がりくねった細道を利用して、今度こそはと逃げる脚を強める。ただし「地元ステージが欲しい」と断言しているベッティーニや、今ジロでスプリント機会に全く恵まれないスプリンターたちが、平坦ゴールを逃すはずがない。ゴール前10kmで集団はセッラを飲み込むと、今大会3度目のスプリント勝負へと突入した。

ミルラムトレインがいつも通り先行する中、この日、最初に目立つ動きを見せたのはガット(ゲロルシュタイナー)だった。さらにツァベル(ミルラム)が先頭に立ち、残り100mでベンナーティ(リクイガス)が背後から飛び出すとゴールラインまで一直線。ところが2人後ろからベッティーニが「弾丸」(by ベンナーティ)のように飛び出してくる!そのままベンナーティの横に並ぶと、2人はいっせいにハンドルを投げた——。

フォトフィニッシュ(ゴール写真)による最終認定までもつれ込んだ勝負の行方は、ベンナーティに軍配が上がった。第3ステージに続く今ジロ2勝目。ゴール地に応援に来ていた娘を抱っこして、ベッティーニは「残念だなぁ」と苦笑いしていたが、ベンナーティだって正真正銘トスカーナっ子なのだ。ゴール地に近い海沿いで生まれ育ったベッティーニと違って、ベンナーティは内陸トスカーナの生まれ。ちなみにこの日はトスカーナが生んだ偉大なる自転車チャンピオン、ジーノ・バルタリを記念するステージに選ばれていたが、ジロ3勝・ツール2勝のバルタリが生まれたのだって内陸トスカーナなのだ。

移動・アップダウン・落車などの要因が重なって非常に厳しい2008年ジロも、翌日は待望の休日を迎える。この9日間ですでに19人が大会を去り、残る選手は179人となった。休日明けのステージは、総合争いを大きく左右する個人タイムトライアル。4日間マリア・ローザを守りきったヴィスコンティ(クイックステップ)が、望み通り個人TTでは最後に出走する。

……しかし個人TTについて考える前に、またしても選手たちは400km近いバスの旅に出るのだが(リクイガスとミルラム以外、ステージ直後にホテルまでの400km移動。前述2チームは休養日に400km移動を行う)。


●ダニエーレ・ベンナーティ(リクイガス)
ステージ優勝、ポイント賞

調子は非常に良かった。だってボクは2度のスプリントを成功させたんだよ。1度目は最終1kmでいいポジションにつくためのスプリント、2度目はゴールラインだ。ツァベルの背後につけていたんだけど、彼がスプリントを切らないからボクが行った。普段ならボクは腕を上げるんだけど、でも今日は、ボクの側を弾丸のようなものが通り過ぎるのを感じた。ベッティーニだった。だからゴールラインまで踏ん張った。彼には悪いことをしたね。でも今ステージはトスカーナを通過する唯一のステージだったから、ボクだって勝ちたかったんだ!

残念なのは、今ジロの最終ステージにスプリントの機会がないこと。ツールではパリステージ、ブエルタではマドリードステージを勝ったのにね。とにかくミラノでは、ポイント賞ジャージを手に入れたい。


●パオロ・ベッティーニ(クイックステップ)

もし今大会で勝てるとしたら、今日のステージが本当に勝ちたかった。大満足の結果になったはずなのになぁ。あとほんの少しだったよ。ああ、本当にあとわずか!また2位さ。ベンナーティは素晴らしいね。危険なスプリントだった。でもボクは本当に勝ちたかったんだ。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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