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サイクル ロードレース コラム 2008年5月22日

【ジロ・デ・イタリア2008】第11ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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厳しかったタイムトライアルの翌日、疲れた体を引きずる選手たちを待ち受けていたのは、激しいアップダウンと大粒の雨。第2ステージの落車で手首を痛めていた昨ツール山岳王ソレル(バルロワールド)と第4ステージで単独エスケープをかけたヴェルブルッヘ(コフィディス)は、耐え切れずステージ半ばで自転車を降りた。そして耐えて最後まで走りきった選手たちには、次々と落車が襲い掛かった。

42km地点で逃げ始めた5人のエスケープ集団では、ベルトリーニ(ディキジョバンニ)とダッラントニア(CSF グループ)が地面に叩きつけられた。落車の衝撃でハンドルに問題が発生したベルトリーニは、チームカーと併走しながらメカニックに調性をしてもらったり、やはり走りながらドクターから太ももの治療をしてもらったり。ダッラントニアも左腕流血しながら先を続けた。

2級峠ペルティカーラの登りでは、ボシージョ(LPR ブレイクス)とバリアーニ(CSF グループ)が後続プロトンから飛び出した。前夜の時点で5分50秒差・総合3位のボシージョにとっては、「マリア・ローザを狙う」逃げだった。この時点ですでに遅れ始めていたヴィスコンティ(クイックステップ)の総合首位を脅かすアタックに思われたが、このボシージョが下りで激しい落車の犠牲者に。バリアーニは前方エスケープ集団をとらえることに成功したが、第7ステージ勝者のボシージョはプロトン内に後退せざるを得なかった。

さらに最終盤にプロトンから前方へ飛び出したアルディラ(ラボバンク)も落車で先行叶わなかったし、集団後方ではヴィスコンティ、ライプハイマー(アスタナ)、ピエポリ(サウニエルドゥバル)、セッラ(CSF グループ)という実力者たちが一度に地面に落ちるシーンも見られた。ちなみにセッラはこの日だけで3回落車したという。ヴィスコンティは左ヒジと手首に痛みを覚え、ゴール後、レントゲン検査を受けるため病院へ向かった。

ただしこの日最大の落車の犠牲者は、間違いなくバリアーニだろう。エスケープの友が一人ひとり脱落していく中、ゴール前数キロで優勝を争うのはバリアーニとベルトリーニ、そしてラストラス(ケースデパーニュ)の3人に絞られていた。互いを警戒しあったり、加速したりしながら差し掛かったゴール前800m。左カーブで地面からひとつだけイレギュラーに飛び出していた石畳に、バリアーニが引っかかって……落車。その瞬間に弾丸のように飛び出して行ったベルトリーニが、そのまま800mを全速力で走りきって区間優勝を手に入れた。一瞬急ブレーキをかけてしまったラストラスは、2001年第11ステージ以来となる「第11ステージ」優勝を狙っていたのだが、無念にも2位に終わっている。

残念ながら落車に主役の座を奪われてしまったが、メイン集団ではディルーカ、サヴォルデッリ(共にLPR ブレイクス)、リッコ(サウニエルドゥバル)の華やかな脚試しアタックが相次いだ。いずれもクレーデンやコンタドール(共にアスタナ)、シモーニ(ディキジョバンニ)がしっかり反応し、また選手たちも無理に加速を続けなかったため、いずれも最終的な結果を導くことはなかった。ただし2004年に夭折したパンターニの地元を走るメモリアルステージで、特にやはりこの地方で生まれたリッコは、きっと何もせずにはいられなかったに違いない。前夜には「彼にオマージュを捧げたい……」と語っていたくらいだから。

また100km地点から遅れ始め、前述のように落車でさらにハンディキャップを負ったヴィスコンティは、またしても世界王者ベッティーニ(クイックステップ)の献身的なアシストを受けて追走を続けた。最終的にはメイン集団とともに3分53秒差でゴール。無事にマリア・ローザを守り抜いた。翌12・13ステージはまっさらな平坦ステージだから、何事も起こらなければ、最低でもあと2日間はピンクジャージで過ごせそうだ。


●アレッサンドロ・ベルトリーニ(ディキジョバンニ)
ステージ優勝

ついに夢をかなえたよ!ボクはずっとジロステージ優勝を求めてがんばってきたんだ。でも今まではどうしても勝つことが出来なかった。4年前にあとわずかのところまで行ったけれど、あの時はトンコフ相手に負けた。そして今日は落車してヒジを打ち付けたにも関わらず、優勝することが出来たよ!

ボクに自由にやらせてくれて、『ステージ優勝を狙え』と励ましてくれたシモーニに感謝しているよ。ゴール後、彼は祝福してくれた。今後は彼がミラノの表彰台に上がれるように、さらには総合優勝できるように、より一層力を尽くすつもり。


●パブロ・ラストラス(ケースデパーニュ)
ステージ2位

このステージを前々から狙っていたんだ。エスケープ集団は非常によく協力し合った。そして最終盤は、それぞれが優勝のチャンスを狙いに行ったんだ。

でも最終1km直後のバリアーニの落車が、スプリントの展開を変えてしまった。ボクは急ブレーキをかける必要があったし、(バリアーニの)前にいたベルトリーニは状況を利用してボクを引き離しにかかった。1日中ハードに走ってきた後だったから、当然すごくがっかりしている。でも一方では、ボクも前線で走れるということを証明できて満足している。また次の機会が巡ってくることを期待しているよ。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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