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雨とアップダウンと、そして相次ぐ落車でひどい1日を過ごしたプロトンは、この日は静かに時を過ごすことに決めたようだ。ガルパルソーロ(エウスカルテル)がスタートとほぼ同時に飛び出すと、総合で1時間以上遅れている彼を自由に先に走らせ、後方の選手たちはひたすら体力温存に努めた。しかも一時は14分以上のタイム差を付け、161kmに渡ってガルパルソーロが逃げている間、プロトンは観客が用意したビュッフェを楽しむ余裕さえあったのだ。
そんなプロトンが少し動いたのが、125.3kmに設置された中間スプリントポイント。とっくに先頭通過しているガルパルソーロに続いて、マリア・チクラミーノを着たベンナーティ(リクイガス)が2位通過のためにスプリントを行う。ここで6ポイントを稼ぎ、ポイント賞首位をさらに確かなものとした。また第2・3ステージで大逃げをうったロワ(フランセーズデジュー)も負けじとスプリント。3位通過を果たし、中間スプリント地点に設定された特別ポイント総計だけで争われる「エキスポ・ミラノ2015」賞で堂々首位をキープした。
この日も、ステージ途中から大粒の雨が選手たちを苦しめた。雨で滑りやすくなった路面を見て、審判団はゴール前3km地点でステージタイムを計測することに決定。なにしろ残り3000mからゴールまでの間に90度カーブが6つ、さらにカーブが2つ、トンネル1つ、細い道路、そして最終盤は石畳……という危険な状況を考えれば、これは至極妥当な決定であった。そのため総合上位を狙うの選手たちは、残り3kmでリスクをおかすことなく静かにゴールラインを通過。残念ながらゴール前15kmほどの広い大通りで集団落車が発生したが、重大事には発展せず、この日はスタートした169選手が全員ゴール地までたどり着いている。
タイム計測は3km地点で行われても、もちろんステージ順位はゴールラインの通過順で決する。今大会ようやく4度目のスプリント機会を狙って、スプリンターたちだけは危険な路面にも関わらず高速で先を急いだ。
カーブの多い最終盤、ハイロードやゲロルシュタイナーが集団を積極的に牽引する。リーダーのツァベルがパンクにあい、ヴェーロが補助に回ったミルラムからは、残り1kmでオンガラートがひとり強烈な加速をする奮闘も見せた。ただし石畳が広がる250メートルの“コーナー”をベンナーティとマキュアン(サイレンス・ロット)がほぼ一緒に曲がると、200メートルのコーナーでは完全にベンナーティが先行。そのままゴールラインまで圧倒的なリードを守って突っ走る……かに思えた。しかしカベンディッシュ(ハイロード)が、最後の100mほどで大砲のように追い上げてきたのだ。
ゴール前10m、いや、1m前までは、肉眼でもベンナーティのリードが分かる。しかし、ほぼ同時にハンドルを投げ出した2選手の、果たしてどちらが先にゴールラインに達したのかは、もはや本人たちでさえ分からなかった。そしてフォトフィニッシュへもつれ込んだ勝負の判定は、わずか3cm差でベンナーティの勝利。加速状態にあったカベンディッシュは、自らの勝ちを確信していたようだが、写真を見てはっきり負けを納得したそうだ。「これだけ接戦だと酷だね。明日こそ勝利を狙う」と気持ちを切り替えている。
ベンナーティは第3、第9ステージに続く今大会3勝目。昨年のツールで初めて勝ち取ったグランツール区間勝利は、わずか3大会で早くも8つ目に達した。もちろんゴールポイントも25ポイント獲得。おかげで総計は120ポイントに。マリア・チクラミーノ争いでは、2位以下を49ポイント以上引き離すことに成功している。
●ダニエーレ・ベンナーティ(リクイガス)
ステージ優勝、ポイント賞
負けたと思ったよ! ゴールラインでは冷静だったから、カベンディッシュに先行されたと思ったんだ。3センチ差で勝ったのは初めて。でもこの差で負けたことはあるよ。それにこんな長いスプリントで勝ったこともかつてなかったね。非常に危険だった。だってボクは後ろから追いかけてくる選手の標的となるわけだから。他のスプリンターチームの仕事を上手く利用した。ハイロードが今日はすごい仕事をしていた。今日はボクのためにトレインは組まれなかったけれど、将来的にはきっとボクもトレインをもてるさ。そう願っている。
ボクはペタッキやチポッリーニとは違う。ボクはやっと3ステージ勝っただけだし、彼らはあまりにもたくさんの勝利を手にしてきた。でもボクも自分がいいスプリンターだと思っているし、その通り、今大会ここまで4回あったスプリント機会で3回勝てた。
●ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(クイックステップ)
マリア・ローザ
昨日はよく眠れなかったし、体中が痛い。今日のステージ中、レースドクターに見てもらう必要があった。ルート上の小さな亀裂を通過するたびに、手首が痛くなった。幸いにも骨折はしていなかったけれど、もう一度レントゲンを受けに行くつもり。今日は静かなステージだった。雨がなければ、体調回復にはもってこいの1日だったんだけれどね。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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