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2年前に初めてジロのステージ地に選ばれたときは、大雪が降ったせいで、ゴール地は山頂から約5km下方に変更された。そして2008年ジロ第16ステージ、ついにジロ史上初めて、選手たちはプラン・ド・コロネスの頂上へとたどり着いた。最大斜度24%の未舗装ルートを、一人ひとりで戦い抜いて。
果たして12.9kmの登りはどの程度厳しかったのだろう。「ゾンコランとどっちが難しい?」という質問に、この日の勝者ペッリツォッティ(リクイガス)は、「ゾンコランはプロトンと登ったし、この山は一人で登ったから比べるのは難しいなぁ」と答えが出せない様子。どうやら他の山との比較は、いつの日か通常ステージが開催される時までお預けのようだ。
比較は出来ずとも、ペッリツォッティはこの山の登りをしっかり研究し、戦術——前半は力を控えめに、後半の難しいパートは全力を尽くす——を立てきた。そして作戦通り前半7.6kmは先頭通過者セッラ(CSFグループ)から22秒遅れの5位、後半大いに巻き返してセッラを6秒差で下し優勝を果たした。もちろん前日・前々日の山岳2連戦の登りで、積極的にアタックをかけるだけの脚と自信があったからこその作戦成功なのだ。しかも後半だけのタイムは2位通過者に21秒もの大差をつけている。
この「2位通過者」というのが、ゴール地では3位に入ったシモーニ(ディクイジョヴァンニ)。やはり前半は抑え気味に走り、後半力を落とすことなく好成績をあげることに成功した。一方、2日連続優勝で絶好調のセッラはスタートからトップスピードに乗ったせいか、後半少しパワーを落とし惜しくも3連勝を逃した。ただし区間2位には山岳ポイント10pが与えられ、これにて待望のミラノでの山岳賞獲得が決定した。
146選手のトリを飾ったのは、55秒差でひしめく3強による覇権争い。ただし後ろから3番目スタートのディルーカ(LPRブレイクス)は、歯を食いしばって走るもののタイムは全く伸びない。ペッリツォッティからは1分45秒もの遅れを取ってしまった(区間9位)。次なるリッコは5位ゴール。「自分で思い描いていたような展開になったよ。でも最後に後輪がスリップしたせいで、数秒失ってしまったのが残念」と語る。
そして生まれて初めてマリア・ローザをまとってレースに登場したコンタドールは、リズムの早いペダリングでスタートから快調にスピードを上げていく。「斜度がひどすぎてペダルから立ち上がれなかった」と言いながらも、できる限りダンシングスタイルで坂道を登り続けた。快走の結果は22秒遅れの4位。2位に入った第10ステージに続いて、またしても個人タイムトライアルで納得の好成績をあげた。
恐ろしき山での死闘の結果、コンタドールは2位リッコとの差を33秒から41秒に開き、マリア・ローザをさらに確かなものとした。不調だったディルーカは、総合3位から6位へと陥落。2分18秒もの遅れをとり、2年連続総合優勝の夢は遠ざかってしまった。代わりにシモーニが3位の座にジャンプアップ。コンタドールとの1分41秒差、リッコと40秒差を、残す山岳2ステージで出来る限り縮め、そして逆転することが目標だ。
●フランコ・ペッリツォッティ(リクイガス)
ステージ優勝
非常に難しいステージだった。歴史に残る登りだよ。だから優勝できて本当に嬉しい。セッラに勝ったからとか、コンタドールに勝ったからではなくて、勝ったこと自体が非常に大切なんだ。それに今ジロで最も難しいステージを勝ったことが嬉しいんだ。ジロには総合優勝を狙うために来た、というセリフが本物だって言うことを証明できたね。
●アルベルト・コンタドール(アスタナ)
マリア・ローザ
今日の最大の目標は、マリア・ローザを守ることだった。そしてもしも可能ならば、少しタイム差をつけたいと思っていた。後半はあまりにも斜度がきついものだから、ペダルの上に立ってダンシングスタイルをキープするのは不可能だった。後輪が斜面下方に引きずられてしまうんだ。これはボクにとって初めての経験だった。他の峠とは全く違うね。
メンショフ、ディルーカ、ブルセギンは少しタイムを失ったようだね。でもリッコやシモーニとはそれほど大きなタイム差はつけられなかった。非常にタイム差は競っているよ。もちろん他の選手もいい走りをする可能性が残っている。だから各ステージ、注意深く走らなければならない。
最終週に体力が落ちることは心配していない。ボクにとってジロで一番難しかったのは、大会序盤と最初の山岳ステージ。ここ数日のボクは非常に調子がいいし、安定していると思う。だから今後についてはポジティヴだよ。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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