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厳しいアルプス3連戦を乗り越えた選手は全部で150人。パリのコンコルド広場まであと4ステージ。マイヨ・ジョーヌへの最終決戦・個人タイムトライアルを土曜日に控えて、総合上位争いの選手たちは比較的静かな1日を過ごした。一方で持ち主が未だ確定しないマイヨ・ヴェールとマイヨ・ブランの戦いは、ステージ最終盤に活気付く。もちろんこの日の序盤は、残り少ないステージ優勝のチャンスを狙う選手たちのおかげでめまぐるしい展開に。しかもスタート直後からアタックが多発し、逃げては吸収される状況でプロトンはどんどん加速し続け、序盤1時間の時速は55.7kmまで跳ね上がったのだ!
この激しい加速合戦を勝ち抜いて、約70km地点、3級パルムニー峠の登りで飛び出しに成功したのがカルロス・バレード(クイックステップ)。さらにスタート直後から逃げへの挑戦を繰り返していたマークス・ブルグハートが、数キロ後に合流を果たす。そして総合で2時間半近く遅れているバレードと3時間以上遅れているブルグハート、しかもポイント賞や新人賞にも全く関わりのない2人の逃げが決まったことにより、プロトンの速度も落ち着きを取り戻して行く。
メインプロトンに最大10分程度のタイム差をつけた2人の背後では、ロメイン・フェイーリュ(アグリチュベル)、クリストフ・ルメヴェル(クレディアグリコル)、ミケル・アスタルロサ(エウスカルテル)の3人が追走集団を形成していた。ただしブルグハートと共に飛び出しながらすぐに後れを取ってしまったフェイーリュと、ブルグハートのほんのすぐ後に飛び出しをかけた2人は、結局、先頭の2人とのタイム差を3分半以内に近づけることは出来なかった。
逃げ切りを確信したバレードとブルグハートは、ゴール前10km地点から、区間勝利へ向けての壮絶な“化かし合い”を繰り広げた。ライバルがジャージを直している隙にアタックしてみたり、ライバルの動きを封じるためにコース内を蛇行したり。ゴール前数百メートルでは睨み合った2人が、ほぼ停止してしまう場面も見られた。まるでトラック競技のスプリント種目を見ているかのような駆け引き。そして「ボクは長い間トラック競技を行ってきた。だから最終盤ではこの経験がモノを言ったんだ」と語ったブルグハートが、ゴールライン手前ですでに勝利を確信して大きくガッツポーズ。マーク・カベンディッシュの区間4勝とキム・キルシェンのマイヨ・ジョーヌ着用で、ここまで十分すぎるほどの大活躍を見せてきたチーム コロンビアに、また新たな勝利がひとつ加わった。
追走3人組内では、フェイーリュがスプリントを制して区間3位。大逃げでマイヨ・ジョーヌを獲得した第3ステージと、カヴェンディッシュにスプリントを挑んだ第13ステージに続く、今大会3度目の区間3位だ。また後続メイン集団内のスプリントはマイヨ・ヴェール姿のオスカル・フレイレ(ラボバンク)が、ライバルのエリック・ツァベル(ミルラム)やトル・フースホフト(クレディアグリコル)を退けて勝ち取った。フレイレはポイント賞争いでは2位以下に49ポイントもの大差をつけているが、数字の上では未だライバルたちにも逆転の可能性が残っている。
また最終盤、2人の郷土選手(そして2人の今ツール区間勝者)であるサミュエル・ドゥムラン(コフィディス)とシリル・デッセル(アージェードゥゼール)がメインプロトンから飛び出すと、ロマン・クルイジガー(リクイガス)も後に続いた。すると新人賞争いでわずか1分58秒遅れの総合2位を逃すまいと、マイヨ・ブラン姿のアンディ・シュレク(チーム CSC)が自ら追走に向かう。22歳のツール・ド・スイス総合王者クルイジガーと、昨年のジロ・デ・イタリア総合2位&新人賞の23歳アンディ・シュレク、“未来のグランツール勝者候補生”の積極的な走りはファンたちの心を躍らせた。ただし今回の直接対決の結果は同タイムゴール。イエロージャージ擁するメイン集団は若き2人の集団から11秒遅れで、そして本日の勝者ブルグハートからは6分50秒遅れで1日を終えている。
28km地点で激しく落車し、あごと胸部を強く打ちつけたダミアーノ・クネゴ(ランプレ)は、4人のチームメイトに見守られながら約20分遅れでゴール。ラインを越えた直後には、5人全員が握手をしたり肩を組み合ったりと互いの健闘を讃えあった。150人中ステージ最下位の150位だったクネゴ本人も、「ゴールできたなんてミラクルだ」と晴れ晴れした表情を見せていた。ただし残念ながら、第19ステージには出走しないことが発表されている。
●マークス・ブルグハート(チーム コロンビア)
ステージ優勝
第1週目のボクは、カベンディッシュの区間勝利と、キルシェンのマイヨ・ジョーヌを守るために大いに働いた。でもチーム監督は、第3週目にはボクに大逃げを打つ自由を与えてくれると約束してくれていたんだ。今日は何かしでかしたいと思っていた。他のステージでも大逃げに挑戦したけれど、上手くいかなかった。だから最初のエスケープが吸収された後も、逃げに執着し続けた。そしてバレードが前に飛び出したときに、追いつこうと努力したんだ。
バレードに追いついた後は、うまく協力し合って走ったよ。でも最後はスプリントに向けての戦いに突入した。ゴールが近づいてきたときに少し彼と話をしたんだけれど、バレードはもうリレーはしたくないと言ってきた。スプリントゴールの場合、彼のほうが不利だと思っていたようなんだ。バレードが最終盤にアタックを仕掛けてくるだろうと予想していた。実際ボクの後ろに張り付いてアタックを何度も仕掛けてきたし、ボクは毎回反応しなければならなかった。とにかくボクは集中し続けて、スプリントに持ち込んだ。駆け引きの多いスプリントだったね。ああいう駆け引きはトラック競技では多く見られるし、その通り、ボクは長い間トラック競技を行ってきた。だから最終盤ではこの経験がモノを言った。
●カルロス・サストレ(チームCSC)
マイヨ・ジョーヌ
気分のよい1日だった。ツールで生まれて初めてマイヨ・ジョーヌを着て走った。ずっとボクが夢見ていた姿なんだ。チームメイトはレースを上手くコントロールしてくれたし、何の問題もなかった。ブエルタですでにリーダージャージを着たことがあるけれど、ツールは全く違う。スペシャルだ。たくさんの選手からお祝いの言葉をかけられて、おかげでこれは夢じゃないんだと実感できた。
明日もマイヨ・ジョーヌを満喫したい。それから個人タイムトライアルのことを考える。コースの下見にも出かけるだろう。出来る限りのことをする。ボクが出来ることは、とにかくベストを尽くすこと。自分の全てを出すことだ。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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