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アンダルシアの大地に別れを告げる今ステージは、またしてもアンダルシア・カハスールの選手が地元ファンの前でジャージアピールにいそしんだ。スタートからわずか7km地点の3級峠では、第1ステージに大逃げして山岳ジャージを獲得したヘスス・ロセンドがトップ通過を、続いてホセアントニオ・ロペスが2位通過を果たした。さらに峠からの下りを利用してロペスが単独アタック。前日のマヌエル・オルテガ同様、たったひとりの大逃げを始めた。
一旦逃げが決まると、プロトンは翌日の個人タイムトライアルに備えて“半休養日”を過ごすことに決めたようだ。レースが始まってから2時間目の走行時速はなんと33.8kmというスローペース!この日の平地ステージで、ブエルタ開催委員会が想定していた時速は40km〜44km。当然、予定されていたタイムスケジュールは大幅にはみ出すことになってしまったが、プロトンはのんきなペダリングを最終盤まで崩そうとはしなかった。
この日2番目の山岳ポイントも大逃げロペスに続いて、ロセンドが3位通過し、3日目の山岳賞ジャージを確かなものとする。また71.4km地点の第1スプリント地点ではアレハンドロ・バルベルデ(ケースデパーニュ)が3位通過でボーナスタイムを2秒獲得すると、続く159.2kmの第2スプリント地点ではアルベルト・コンタドール(アスタナ)が同じく3位通過する一幕も。すでに翌日の個人タイムトライアル後のマイヨ・オロ争いに向けて、トップ選手たちの1秒を巡る厳しい争いは始まっているようだ。
のんびりリラックスムードで進んできたステージ序盤から一転、集団スプリントへ向けてスピードアップした最終盤は相次ぐ落車がプロトンを襲った。残り9km地点で数人が落車すると、ここで分断が発生。ツール・ド・フランスでも数々の落車の犠牲となり、最終的にはひどい落車にあった第18ステージの翌日にリタイアせざるを得なかったダミアーノ・クネゴ(ランプレ)は、落車こそ避けられたものの後続集団に取り残されてしまった。またゴールまで6km前後で逃げていたロペスを吸収した後、ゴール前3km近くの細い道路で落車が発生。有力選手たちの中ではオスカル・フレイレ(ラボバンク)、アンドレアス・クレーデン(アスタナ)、ステファン・シューマッハー(ゲロルシュタイナー)などが取り残され、タイムを大幅に失う羽目となった。
小さくなった集団内では、前日に続きスプリントに向けての戦いが繰り広げられた。世界チャンピオンジャージをまとうパオロ・ベッティーニ(クイックステップ)が集団先頭で恐ろしい引きを行い、チームメイトのトム・ボーネンのために尽くしたが、ゴール直前の緩やかなカーブを利用して先頭に立ったのはマイヨ・オロを着るダニエーレ・ベンナーティ(リクイガス)だ。
「マイヨ・オロは嬉しいけれど、正直に言えば、ステージ優勝が欲しい!」とゴールラインで両腕を上げることを熱望してやまなかったベンナーティは、そのまま先頭の位置を保ち切り、無事に勝利のガッツポーズ。昨大会最終ステージ以来となるブエルタ区間勝利を挙げ、もちろん総合とポイント賞で首位についた。またベッティーニのアシストむなしく、前日勝利のボーネンは区間2位に終わっている。
相次ぐ落車のせいで、多くの選手が先頭集団から遅れてゴールラインを越えている。総合優勝候補のカルロス・サストレ(チーム CSC サクソバンク)、コンタドール、バルベルデは揃って首位ベンナーティから19秒遅れのゴール。また不運続きのクネゴは2分16秒遅れで、クレーデンは4分12秒、シューマッハーは4分36秒遅れでゴールしている。
●ダニエーレ・ベンナーティ(リクイガス)
ステージ優勝&総合首位
落車があったことは知らなかったし、とにかく自分の望みどおりのスプリントが出来た。チームメイトはパーフェクトな仕事を成し遂げて、ボクをゴールラインまで導いてくれた。チームはまさに「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」を文字通り実践しているね。ゴール前180mでスプリントを切って先頭に立つと、あとは直進するだけでよかった。
今年はケガのせいでここまでついていなかった。シーズン序盤は思い通りの走りが出来なかったし、ケガのせいでツール・ド・フランスも出場できなかった。リベンジのつもりで乗り込んだこの大会で、再び大きく飛躍することができたね。
●カルロス・サストレ(チーム CSC サクソバンク)
それほどひどい落車ではなかったし、ライバルたちからタイムを失うことなくステージを終えることが出来た。鉄線に突っ込んだからジャージが破けたし、軽い引っかき傷も出来てしまった。でもひどい怪我ではないし、とにかくライバルたちとのタイム差には何の影響もなかったことが幸いだ。ボクにとって今大切なことは、明日の個人タイムトライアルなんだ。
●アルベルト・コンタドール(アスタナ)
ボクの目の前で落車が発生して、チームメイトと衝突してしまった。ヒザを打ってしまったけれど、問題ないと思う。明日はボク向きのステージではないし、勝ちを狙いに行くことはない。ボクはクライマーであって、TTスペシャリストではないからね。むしろ山岳よりも激しい努力が必要になるだろう。1時間近く、自転車に張り付いている必要がありそうだ。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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