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「日本人対決、第1戦、アラシロの勝ち」こんな小見出しが7月6日付のレキップ紙に踊った。前日第2ステージで区間5位に入った新城幸也(Bbox ブイグ テレコム)は、日本だけではなく地元フランスや世界から大注目を浴びた。この日の朝、ブイグテレコムチームバスの周囲では、新城やチーム関係者のコメントを取ろうと、たくさんのメディアが押しあへし合い。外国メディアからインタビューを受けた日本人記者も多かったようだ(かくいう筆者も多数から声をかけられた)。とにかく新城が10メートル進むたびに、観客から声をかけられ、サインをねだられ、写真を撮られて……。
そして第3ステージのゴール後は、今度はスキル・シマノの別府史之に話題が集中した。日本メディアはもちろん、複数の海外報道陣が、フランス語で別府の談話を取りにやってきた!翌日のレキップ紙にはこう書かれるのだろうか。「日本人対決、第2戦を終えて両者譲らず」
南仏地中海めぐりを続けるツールは、再び灼熱の日ざしの下で行われた。スタート直後のヨーイドンでアタックが巻き起こり、すぐに4選手のエスケープが許された。どうやら太陽や暑さから身を守るために、ステージ序盤のプロトンはのんびりしたペダリングで歩を進めることに決めたようだ。こうしてサミュエル・ドゥムラン(コフィディス・ル クレディ アン リーニュ)、マキシム・ブエ(アグリテュベル)、ルーベン・ペレス(エウスカルテル・エウスカディ)、そしてクーン・デコルト(スキル・シマノ)の4選手は、サイクリングペースのプロトンから最大12分もの大差を付ける。
ただし前日と同じように、スプリンターチームを中心に後方集団が追い上げをかけると、4選手の稼いだタイム差はじわじわと減っていく。そしておいしいお米と塩田とフラミンゴで有名なカマルグの平地に突入すると、強烈な横風が吹き付けるなか……、チーム コロンビア・ハイ ロードが猛烈な加速を開始!あっという間にプロトンは分断し、前方に20人程度の小さな集団が出来上がった。
そのチームコロンビアは、マイヨ・ヴェール姿のマーク・カベンディッシュを筆頭に参加選手9人全員を前に送り込んだ。一方でマイヨ・ジョーヌのファビアン・カンチェッラーラ(チーム サクソバンク)は前に残ったものの、孤軍奮闘を強いられた。
またスキル・シマノからは大量5人が前方へ。どうやらこの日のスタート地マルセイユを常々「第2のふるさと」と語ってきた別府史之が、強烈な横風と分断の気配を感じて、チームメイトたちに「前へ上がれ!」と指示を出したのだとか。こうして前へ来たスキル・シマノの選手たちは、コロンビアの選手たちに混じって、後ろを引きちぎろうと必至の努力を続ける。別府も長らく斜め隊列の最前列でスピードを上げ続けた。
そうそう、ツールに帰ってきた7連覇大チャンピオンのランス・アームストロング(アスタナ)は前方に滑り込み、昨季3大ツール全盛はを成し遂げたアルベルト・コンタドール(アスタナ)は後方だ。アームストロングが強烈に前を引くシーンが映し出されたかと思うと、コンタドールの不満そうな表情を映像はとらえる。アスタナチーム内の不穏なリーダー争いは、早くも始まっているのだ。
前集団は1km進むたびに、後続とのタイム差を広げていく。最初から逃げていた4選手も取り込み、合計25人になった前集団は、プロトンの追随を最後まで許さない。最終的には40秒近いタイム差をつけて、先にゴールへとたどり着いた。
ゴール勝負は当然、25分の7(長時間の引き仕事がたたって2人は後方へと下がっていた)を占めるチームコロンビアの手にゆだねられた。もちろんチームの仕事を美しく締めくくったのはカベンディッシュ。総合ポイント賞獲得を目指して、完走を目指して走る現役屈指のスプリンターは、この日は2005年マイヨ・ヴェール勝者のトル・フースホフト(サーヴェロ テストチーム)を下して今ツール2勝目をあげた。
また健闘光ったスキル・シマノからシリル・ルモワンヌが3位に、そして我らが別府史之が8位。チームとしては逃げに1名送り込み、終盤の前集団に5人(+逃げていた1人)が残り、区間トップテンに2選手が入ったことになる。第3ステージの区間チーム首位は、もちろんスキル・シマノだ!
後方集団はカベンディッシュから41秒遅れて到着した。この日もスプリントを狙っていた新城幸也だが、実際のところは後方集団内で静かに1日を終えている。またカンチェッラーラは、無事にマイヨ・ジョーヌを守りきった。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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