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失敗か成功か。ランス・アームストロング(アスタナ)がわずか0.22秒差で、84回目のマイヨ・ジョーヌを取り逃した。いや、4年ぶりのマイヨ・ジョーヌに、あとほんの0.22秒差にまで近づいたといったほうが正しいのだろうか。
「アクシデントがあってマイヨが取れなかったのなら失望するけれど、我々チームは最初から最後までパーフェクトな走りを見せたんだ。だから後悔はしていない。レースはまだまだ長いんだ。この先、ジャージを取れるだろう」
リラックスした様子で、しかし毅然たる雰囲気は失わないまま、ツール7連勝の大チャンピオンはこう語った。モンペリエでのチームタイムトライアルで、20チーム中最後にスタートを切ったアスタナは、46分29秒というトップタイムを叩き出した。「ジロのTTTでは2位でがっくりした。もう2位はいやだ。今回は十分に用意してきた」と語っていたガーミン・スリップストリームを18秒引き離して。
なによりアームストロングは、総合争いのライバルたちから——アルベルト・コンタドールを除く——軒並みタイムを奪ったことになる。
この日だけでフランク&アンディ・シュレク兄弟(チーム サクソバンク)は40秒失った。この程度の損失で済んだのは、タイムトライアル五輪王者ファビアン・カンチェッラーラ(チーム サクソバンク)が、長時間にわたって先頭を引いてくれたからかもしれない。「今日は他の選手より長く働いたかもしれないね。先頭ではあまりにも速く走り過ぎないように、チームメイトがついてこれるように気をつけた。自分のためではなく、チームメイトのために働いたんだから」と語るカンチェッラーラは、首の皮一枚でマイヨ・ジョーヌを守りきったのだった。
さらに昨ツール覇者カルロス・サストレ(サーヴェロ テストチーム)は1分32秒、ジロ王者のデニス・メンショフ(ラボバンク)は2分20秒、2年連続2位のカデル・エヴァンスは2分35秒も遅れをとった。特にモンペリエ旧市街の狭いカーブで落車してしまったエヴァンスとメンショフは、すでに、それぞれ2分59秒と3分52秒も突き放されてしまった。レースが開幕して、4日目にしてすでに……。
上記の2人だけでなく、たくさんのチームに落車の悲劇が襲った。世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(ランプレ)も地面にたたきつけられた。日本中の悲鳴を誘ったのは、おそらくBbox ブイグ テレコムとスキル・シマノの落車劇だろう。幸いにもそれぞれのチームに所属する日本選手、新城幸也と別府史之は落車こそ免れたものの、草原と路肩に乗り上げざるをえなかった。落車2回、パンク2人を出したBbox ブイグ テレコムは区間19位。落車3人、そのうち1人がリタイア(右手骨折ピエット・ローイヤッケル)という残念な結果に終わったスキル・シマノは、全チーム中最下位。前日までは明るかった日本選手2人の顔も、この日ばかりは曇ってしまった。
さて、チーム外のライバルたちを軒並み排除し、「この先、他の奴らが勝てないようにレースを組み立てていくことが我々にはできる」と自信満々のアームストロングだが、「内部の敵」との差はわずか19秒。3大ツールを全て勝ち取った現役唯一の男、コンタドールは「絶好調のランスがマイヨ・ジョーヌを着ることができずに、本当に残念だ」とコメントしている。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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