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ジャンルネ・ベルノドーが、2000年にBbox ブイグ テレコムの前々身であるボンジュールを立ち上げてから今年で10年目。2006年ツール第14ステージで、ピエリック・フェドリゴがチーム初めてのツール区間勝利をもたらした。そして、これが9年間でわずか1つの——2004年トマ・ヴォクレールのマイヨ・ジョーヌ10日間と並んでチーム史に燦然と輝く——ツール区間優勝だった。ところが!2009年は第5ステージのヴォクレール区間優勝に続き、第9ステージにはフェドリコがチームに今ツール2勝目をプレゼントした。「ブイグテレコムにいい流れが来ている」と日本の新城幸也も語っている(もちろん、次は自分が勝ちたい、という言葉も忘れてはいない)。
ピレネー3日目、アスパン峠とトゥルマレ峠を通過する伝統のコースで、フェドリゴは0km地点から飛び出した。12人ほどの逃げの仲間に、さらに12km地点過ぎで今ジロ・デ・イタリア総合3位のフランコ・ペッリツォッティ(リクイガス)も加わって、長い長いエスケープが始まった。
バスクのオレンジ色に染まった2つの山頂は、ペッリツォッティが先頭通過。特にトゥルマレ峠では、ツール開催委員長を52年間にわたって務めたジャック・ゴデ記念賞と賞金の5000ユーロを手に入れた。また純バスクチームであるエウスカルテル・エウスカディのエゴイ・マルチネスデエステバンも逃げに加わり、この日の終わりには山岳賞ジャージを手に入れている。
ところでピレネー「山岳ステージ」と言いながらも、2日連続で下りきった後の平坦フィニッシュには、小さな失望の声も多かった。ツール開催委員長クリスティアン・プリュドムによれば、アルプスと、なによりモン・ヴァントゥーまでサスペンスを引き伸ばすために、「あえて」ピレネーで平坦ゴールを設定したとのことだが……。地元関係者たちの噂話によれば、来たる2010年に訪れる「ツールの難関山岳登場100周年記念」に向けて、ピレネーでのビッグレースはお預けになっているようだ。そう、1903年に誕生したツール・ド・フランスに本格難関山岳が登場したのは1910年、ピレネーの峠群だったのだ。
ペッリツォッティとフェドリゴは他の逃げ選手を徐々に振り落とし、トゥルマレで2人は先頭に立った。そこからゴールまでの70km超を、たった2人で協力し合って最後まで逃げ切った。背後にマイヨ・ジョーヌや総合争いの選手たちが属するメイン集団の追い上げを感じながら——残り10kmで1分17秒差、残り5kmで44秒差——、ラスト1.5kmまで2人はきっちり先頭交代を続けてスピードを緩めなかった。そして先にライバルの背後についたのはペッリツォッティ。先にスプリントを仕掛けたのもペッリツォッティ。しかし最後に笑ったのは、フェドリゴだった。
それから34秒遅れて、総合本命たちはそろってゴール地にたどり着いた。リナルド・ノチェンティーニ(アージェードゥゼール・ラ・モンディアル)が6秒差の総合首位を守りきり、3回目のマイヨ・ジョーヌ表彰台に上がった。ピレネーを抜け、今度はアルプスのふもとまではリーダージャージを守りたいと目論んでいる。また新城幸也は18分48秒遅れの集団で、別府史之(スキル・シマノ)は24分57秒遅れの「有力スプリンターグルペット」で休養日前最後のステージを無事に終えている。
ゴール直後、選手たちはチームバスや開催委員会の用意したシャワー室ですばやく身支度を整えると、大急ぎで休養地リモージュへと飛び立っていった。翌日は2009年ツール最初の休養日。暑さと山岳で疲れた体を、選手たちはしばし癒す。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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