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今ステージのゴールライン周辺はマーク・カベンディッシュ(チーム コロンビア・ハイ ロード)の区間4勝目・グランツール通算12勝目で沸き立ったが、ゴール後のステージ勝者会見は不思議な盛り上がりをみせた。
事の発端は7月15日付レキップ紙の小さな記事。カベンディッシュが「いまいましいフランス人たちめ」と吐き捨てた、と匿名の告発がなされたのだ。その件に関して、カベンディッシュはこんな風に反論した。「ボクがそんなことを言う人間じゃないことは、みんな分かってるはず。ボクはこれを賛辞だと受け取ることにする。メディアはボクの走りに文句のつけようがないから、代わりにこんな話題を持ってきただけなのさ」。なにより極めつけは最後に吐き捨てた放送禁止用語。
この放送禁止用語(?)をあまりに何度も繰り返したものだから、その後プレスルームのあちこちでこの言葉が散々飛び交う状況に。通信社や新聞社の記者はこの言葉を原稿内に入れても良いものかどうか話し合い、TVやラジオでは視聴者にあらかじめ断りを入れつつカベンディッシュの台詞を反復した!
ゴール時から4時間ほど時計の針を戻そう。12時40分のスタート直後、別府史之(スキル・シマノ)がハイデン・ルールストン(サーヴェロ テストチーム)と共にプロトンから飛び出した!別府は大会前に「2週目にアタックを打つ」と宣言していたし、この日は朝からアタックを仕掛けようと決めていたとのこと。「ボクの後ろからバン!と出て行った」と新城幸也(Bbox ブイグ テレコム)が語るように、勢いよく前に飛び出すと、数十秒プロトンからリードを奪った。「よし、行ける。決まるぞ」と別府本人も確信し、「あれで決まったと思った」と新城も考えた見事な飛び出しだった。……ただし残念にも後方で数人の実力選手たちが飛び出しにトライしたせいで、プロトン全体が前に上がり、別府とルールストンは7km付近で吸収されてしまった。「また明日もトライしたい」と、ゴール後の別府は頼もしいセリフを残している。
その後、ルート沿いの宣伝バルーンがコース内に倒れ、15km地点でレースはいったん停止する。さらに再開後の24km地点では大落車が発生した。新城は転倒こそしなかったものの、ブレーキをかけて完全ストップ。また別府も途中で1度パンクしている。そして、この大落車をきっかけにマルチン・サパ(ランプレ・N.G.C)とヨハン・ヴァンスーメレン(サイレンス・ロット)の2選手がアタックを仕掛けると、そのまま長い逃げを開始した。
ツール名物のひとつ、黄色いひまわり畑の中を選手たちは進んでいく。逃げる2人の後方では、黄色いジャージのリナルド・ノチェンティーニ擁するアージェードゥゼール・ラ・モンディアルが集団をコントロールしていた。これまで4日間守ってきた「6秒差」マイヨ・ジョーヌを、さらにアルプスの麓まで守りきりたいチームは、逃げの2人に最大4分45秒のリードしか許さない。さらにゴールまで残り50kmを切ってからは、チーム コロンビア・ハイ ロードやガーミン・スリップストリーム、ラボバンクというスプリンター擁するチームが集団先頭で急激な加速。ゴール前5kmのゲートの下で、もがく2人を飲み込んで行った。
ラスト5kmは、登って下って、また登り。特に下りは想像以上に急坂。ここで極限に近いスピードを出しつつ、最後の登りへとなだれ込んで行く。チーム コロンビア・ハイ ロードも連日通りに、いや、勝者カベンディッシュの証言によれば「普段の2枚から4枚」に最終アシストを増やして残り1kmのアーチをくぐった。アシストを増やした理由は「軽い登りだったから、戦術を合わせる必要があった」とのこと。その効果は、映像を見れば一目瞭然だろう。そして前日第10ステージに打った超ロングスプリントとは正反対に、この日のカベンディッシュはギリギリまでチームメイトの背後にひたすら隠れ続けた。そして残り150mで満を持して飛び出すと、そのまま誰にも追い越されることなどなく、今ツール4勝目となるスプリント勝利を手に入れた。
またカベンディッシュは、前日「緑フレーム」のサングラスでアピールしたポイント賞ジャージを、再び取り戻すことに成功。区間5位だったトル・フースホフト(サーヴェロ テストチーム)にトータルで7ポイント差をつけて、緑色のジャージを引き剥がした。総合順位には変動はなかった。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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