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古都トリノの歴史的中心街は、ばら色ではなく、むしろ緑・白・赤のトリコローレに染まっていた!実は前夜のチーム・プレゼンテーションは、全国山岳師団連合の一大イベントと合同開催だった。イタリア統一150周年を華々しく盛り上げるために、第94回ジロ・デ・イタリアの開幕と第84回アルピーニ全国集会が、統一時の首都でいっぺんに行われたのだ。おかげでとんでもない数の人々が一箇所に詰め掛けて、式次第はいわゆる「カズィーノ=イタリア語でめちゃくちゃ」状態。しかも3週間の真剣勝負を前に集中する選手たちは、数日前からビール片手に楽しいお祭り騒ぎを繰り広げていた山男たちの行進に少々押され気味だ。幸いにも羽根飾りのついたチロル帽と大きな歌声は、初日チームタイムトライアルの沿道を見事なまでに飾り立ててくれた。
王宮から市街地までの19.3kmのルートを最速で駆け抜けたのもまた、イタリアントリコローレだった。近年すっかりグランツールのチームタイムトライアルスペシャリストとしてならしているHTCハイロードが、20分59秒・時速55.186kmのハイスピードで全23チームのトップに立った。2009年「100周年」ジロの初日TTT、さらに2010年「75周年」ブエルタの初日TTTに続く、2011年「イタリア統一150周年」ジロの初日勝者。前回2回はマーク・カヴェンディッシュが先頭でフィニッシュラインを切り、初日リーダージャージを着る権利を手に入れたが、今回のトップ通過者は3色旗カラーを身にまとうマルコ・ピノッティ!イタリア個人TTを何度も制したスペシャリストは、2008年ジロで最終日@ミラノの個人TTを制している。また2007年大会では、大逃げの果てにマリア・ローザを4日間着用した。「でもやっぱり、初日マリア・ローザは特別な気分だね!」と、ようやくばら色に染まったチャンピオンは微笑んだ。
わずか10秒差で、初日リーダージャージを逃したのがレディオシャックの面々たち。「勝てなかったのはほんとうに残念でした。でもチームが今大会に向けてしっかり出来上がっていることは証明できました。ボクもかなり長い間、前を引きました。リーダーのポポヴィッチのためにしっかり働けたし、いい走りが出来たと思います」と、全力疾走を終えた直後の別府史之は語ってくれた。スタート直後にメカトラで1人脱落、さらに前半に1人脱落と、チームにとっては必ずしも望まい展開だったわけではない。それでも残り7人は全員一緒にゴールを迎え、別府はチームの3番目でフィニッシュ。総合8位で初挑戦ジロ・デ・イタリアの初日を終えた。「チームにはスプリンターが3人います。序盤の平坦ステージでは、彼らを助けるのがボクの仕事」と語る別府の、次なる仕事は翌日、第2ステージでチームメートをスプリント勝利に導くこと。
その第2ステージ、集団ゴールスプリントの結果次第では、マリア・ローザの持ち主が変わる。ジロでは中間スプリント(6、4、2秒)とゴール(20、12、8秒)にボーナスタイムが設置されているため、例えば10秒差のロビー・マキュワンがゴール後に総合首位に立っているかもしれない。数字の上では24秒差のタイラー・ファラーだってわずかな可能性を残している。もちろん「明日はカヴェンディッシュにマリア・ローザを譲るの?」とピノッティへの問いかけがあったように、チームメートとして当然同タイムで並ぶカヴェンディッシュが、新ジャージ保持者の最有力候補。そのカヴェンディッシュの目標は「全3大ツールでそれぞれ最低でも1つずつ区間を取ること」。
翌日ではなく、3週間後にマリア・ローザを着ていたいと願う総合本命たちの中では、ヴィンチェンツォ・ニバリがベストポジションを奪った。昨ジロでイヴァン・バッソを総合優勝に導き、チームも総合首位に立ったリクイガス・キャノンデールは、HTCハイロードから22秒遅れの3位でゴール。今年も準備万全であることをライバルたちに見せ付けた。ニバリから2秒遅れでミケーレ・スカルポーニ。優勝大本命と噂されるアルベルト・コンタドールは、「最も危険なライバル」ニバリから8秒遅れて初日を終えた。レース後には「いい走りが出来たし、チームの出来にも満足だ。たしかにタイム差は生まれたけれど……でも、こんなわずかなタイム差はそれほど意味を持たないんだ」と語っている。
■マルコ・ピノッティ(HTCハイロード)
マリア・ローザを着られるなんて素晴らしい名誉だ。でもこの勝利はチーム全員のもの。チームメートにどれだけお礼を言っても足りないほどだよ。(トップ通過は)チームの決定事項だった。カヴにとっては簡単に受け入れられることじゃなかったはずだ。2年前のヴェネチアTTTでは、ボクもチームの決定に苦しんだ。誰だってトップで通過したいからね。でも最初にOKを出してくれたのは、カヴェンディッシュだったんだ。でもすごく不安だった。だってチームメートがボクのために大いに力を尽くしてくれることは分かっていたから。それにボクらのチームは常にTTTで好成績をたたき出していて、2009年ジロでは勝っていた。このせいでプレッシャーはすごく大きかったんだ。
ボクらは力強くスタートした。そして力のある選手が、前方で長めのリレーを担当した。ステージを通して安定したペースを保つべく努力したよ。これが非常に大切なことなんだ。コース全体がフラットだったけれど、簡単なレースではなかった。路面列車のレーンに注意しなければならなかったし、非常に難しいカーブもあった。でも朝の下見で、全てを詳細に準備することが出来たんだ。これ以上ないほどの結果を出せたね。チームにとって素晴らしい1日となった。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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