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1月のサンルイツアーで区間1勝、2月のツアー・オブ・カタールで区間2勝&総合優勝。2月末に行われたベルギーのワンデー初戦オンループ・ニュースヘットブラットでは、得意なはずのスプリントで同国の後輩ファンマルクにしてやられて2位に終わったが、直後のパリ〜ニースで区間1勝。現役としてはキルシプーとマキュアンに続く3人目の100勝目を叩き出した。
「でも100勝目って……なにかスゴイことなの? OK、かなり特別な記録なんだね。でもボクにとっては90勝目のときと変わらないなぁ。それよりも大切なのは、今のボクが健康であること。自分がベストだったころと同じ走りのレベルを取り戻せたこと」。31歳になったトム・ボーネンは、どうやら久しぶりに心から納得できるシーズン序盤を過ごしているようだ。
ボーネンがベストだったころ、というと、やはりツール・デ・フランドル、パリ〜ルーベ、世界選手権を一挙に制した2005年の前後数年間を指すのだろう。とりわけフランドル2連覇(2005、2006)、パリ〜ルーベ2連覇を含む3勝(2005、2008、2009)、E3プライス・フラーンデレン4連覇(2004、2005、2006、2007)、クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2勝(2007、2009)という「フランドル系」ワンデーレースでの王者っぷりたるや凄まじかった。
しかし2008年、2009年と2年連続でクラシック直後にコカイン陽性が出て(ドーピング違反には問われなかった)、さらに2010年と2011年は体の故障に悩まされ、なにより2010年のフランドルとルーベではファビアン・カンチェッラーラに完膚なきまでに叩きのめされて、ボーネンの栄光は徐々に過去のものとなりつつあった。昨季はかろうじて、ヘント〜ウェヴェルヘム勝利(2004年も優勝)で体面だけは保っている。
そしてトップフォームを取り戻して迎えた2012年春、ボーネンがシーズンで一番勝ちたいレースはやはりフランドルとルーベ。この考えに関しては、キャリア序盤から全くぶれることがない。「この2レースは絶対に100パーセントの体調で挑みたい」と、今年も1月から何度も繰りかえし断言している。そのために「ミラノ〜サンレモ向けのティレノ〜アドリアティコ」ではなくて、「序盤はしばしば天候が悪く、北クラシック調整には最適なパリ〜ニース」の出場をあえて選んだと語る。またかつての4月上旬開催から3月末へと移行したヘント〜ウェヴェルヘムに合わせるためにも、パリ〜ニースの方が日程的に都合がいいだろうとの判断だった。
すると今年も、ミラノ〜サンレモは、ボーネンにとって優先順位が低いのだろうか? ちなみにイタリアンリヴィエラでの華々しい勝利は、かつて何度か手に入りそうになったが、しかし決して手に入らなかった。世界チャンピオンジャージで臨んだ2006年には、当時のチームメイトだったフィリッポ・ポッツァートの優勝をお膳立している。また2007年に3位に、そして2010年に2位に入ったときには、いずれもオスカル・フレイレの俊足に敗れた。そして「今年はフースホフトに勝機があると思う。もちろんカヴェンディッシュも優勝本命だよね」というのがボーネンの予想。肝心の自分に関しては、「今は90から95パーセントの状態」とのことである。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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