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サイクル ロードレース コラム 2021年9月25日

開幕直前特集!各国ジャージの色と注目選手を予習しよう | Cycle*2021 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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UCI 世界選手権大会 男子エリート ロードレース

UCI 世界選手権大会 男子エリート ロードレース

いつもとは違うジャージ、いつもとは違う人数構成。普段のチームメートも、この日は敵となり、いつもならエースを張る選手たちも、この日ばかりは同国の友のためにアシストを務める。そう、年に1度のUCI自転車ロードレース世界選手権は、国の名誉をかけた激戦である!

2021年ベルギー・フランダース大会に出場する各国代表の、出場枠や人選を、ここでざっくり予習しておこう。2021年9月26日の日曜日、268.3kmの激戦の果てに、虹色を纏うのは誰だ!?

■出場枠の配分方法

52週間のUCIポイントに基づき計算された8月17日付のランキングに従い、各国に出場枠が与えられる。最大8枠。また世界チャンピオン、五輪チャンピオン、各大陸チャンピオンには、出身国の枠に加えて、選手本人に出場権利が与えられる。

注1:リーダーが発表されていない国はブランクとしています。
注2:SNSの埋込みはジャージを紹介するものであり、世界選手権と内容が異なる場合がございます。

ベルギー

出場枠:8
ジャージ:水色、黒黄赤の横ライン、下は黒
リーダー:ワウト・ファンアールト
サブリーダー:ヤスパー・ストゥイヴェン

一時代を築いたベテランたち(元世界王者ジルベールや元五輪覇者ファンアーヴェルマート)は招集せず、神童レムコ・エヴェネプールにも、アシスト役を徹底する。タイム差制御なら世界一のティム・デクレルク、石畳に強いイヴ・ランパールト、引っ掻き回し役ヴィクトール・カンペナールツ、総合力の高いティシュ・べノート、激坂巧者ディラン・トゥーンスと、歯車が噛み合ったらとてつもない威力を発揮するに違いない。この春ミラノ〜サンレモを制したストゥイヴェンの、安定したスプリント力も、他チームへの脅しになる。

すべてはファンアールトのため。もう銀メダルはいらない。開催国の威信をかけて、世界の頂点へと押し上げたい。肝心のリーダーは、大会初日の個人タイムトライアル銀メダルで、好調さは証明済み。本格派クライマーに混ざり東京五輪では2位に輝き、直前のツアー・オブ・ブリテンではピュアスプリンターを蹴散らし、ジュリアン・アラフィリップにさえ負けないパンチ力をも披露した。

ただ、ファンアールトがあまりに強すぎるあまり、昨世界選や五輪のように……周囲から完全包囲される危険性も高い。またシクロクロス世界選手権では何度も渡り合ってきた宿敵マチュー・ファンデルプールと、ロード世界選手権での初めての激突で、2人だけの世界に入ってしまわぬよう要注意。

イタリア

出場枠:8
ジャージ:青、下は紺
リーダー:ソンニ・コルブレッリ、マッテオ・トレンティン

2014年に代表監督に就任し、4つの欧州ロードタイトルと2つの世界個人TTタイトルをもたらしたダヴィデ・カッサーニが率いる、最後の世界選手権。2008年以来遠ざかっているロード世界タイトルを勝ち取って、有終の美を飾りたい。大切な使命を託されたのは、コルブレッリ&トレンティンのダブルリーダーだ。

9月半ばの欧州選手権では、すでにこの2人のコンビが炸裂した。2年前の世界銀メダリスト、トレンティンは「キャプテン役」として場を従え、イタリア現役チャンピオンのコルブレッリは、驚異的な登坂力と持ち前のスプリント力で鮮やかに勝利をさらいとった。個々が強いだけではない。イタリア代表最大の長所とも言える、強力な結束力が、つまり約束されている。

誇り高きアッズーリのもう1つの長所が、自らの手でレースを作りあげること。集団を序盤から制御し、積極的に攻撃を展開する。強い国の、強い選手だからこそ、強いチーム力と強い走り方で勝たねばならぬ。そんなイタリアの美学が、フランドルでも見られるはずだ。

デンマーク

出場枠:8
ジャージ:濃赤、白の横ライン2本
リーダー:下記の5人

どこから見ても隙の無い布陣。誰もがとてつもなく絶好調だ。ブエルタ区間3勝のマグナス・コルト、本番10日前にワンデー2連覇のミケル・ヴァルグレン、さらには1週間前の個人タイムトライアル4位のカスパー・アスグリーン。ミッケルフレーリク・ホノレは夏以降出場した全てのワンデーレースをトップ5で終えているし、2年前の世界王者マッズ・ピーダスも、8月半ばからピュアスプリンター相手に2勝と、ますますスプリントの脚に磨きをかけた。

石畳と激坂とのハイブリッドな2021年世界選に、脚質的にもぴたりと適する。この春にE3とロンド・ファン・フラーンデレンを制したアスグリーンに、「1000の坂」を上ると言われるアムステル・ゴールドレース元覇者ヴァルグレン。コルトはブエルタで上れて独走できてスプリントもできる能力を思う存分見せつけたし、ホノレの坂道爆発力も侮れない。ピーダスンの260km超の長距離を戦い抜くしぶとい持久力は、3年前のロンドで逃げて追いつかれて粘って2位……でとっくの昔に証明済み。たとえ日曜日が雨と寒さに襲われたとしても、北の男たちに、恐れる理由などない。

ということでデンマーク代表は、前代未聞、どうやら5人全員がリーダー格としてスタートラインに並ぶらしい。目標はひとつ。2022年7月、母国デンマークでのツール・ド・フランス開幕時に、デンマーク人が世界チャンピオンジャージを着ていること。

オランダ

出場枠:8
ジャージ:オレンジ、赤白青の横ライン
リーダー:マチュー・ファンデルプール

トム・デュムランは9月上旬に交通事故でシーズン終了。バウケ・モレマは本番9日前、ルクセンブルク一周中に激しい落車(世界選は出場予定)。オランダ代表は有力選手たちの故障に悩まされている。

シクロクロスで4度世界の頂点に立ったファンデルプールも、東京五輪マウンテンバイク出走時の落車の影響をいまだに引きずる。だからこそ本番6日前に、とうとうファンデルプールの出場を発表したオランダ自転車連盟は、こう世界中に釘をさす。「マチューはこの世界選に向け理想的な準備は積んでこられなかった」、「もしかしたら身体的問題が理由で大本命ではないかもしれない」。本人も断言する。「背中の状態はいまだ100%ではない」、と。

とは言っても、マチューはマチューなのだ。勝っても負けても、成功しようが失敗しようが、きっと予想もつかぬような激しい衝撃を、我々にもたらしてくれるはずだ。間違いない。

フランス

出場枠:8
ジャージ:紺、青白赤の横ライン
リーダー:ジュリアン・アラフィリップ

ディフェンディングチャンピオンのアラフィリップに世界中の視線が集まるが、フランスで最も警戒すべきは……代表監督トマ・ヴォクレール!

1年前は、まさにミリ単位で、作戦を成功させた。そこには「早めに牽引して後退し、仏はもうダメだと周りに思わせる」というはったりも含まれていた。エース格を3人も欠いた東京五輪では、7位ダヴィ・ゴデュに、「へとへとに疲れたふり」をするよう指導もした。かと思えば、先の欧州選手権では、補給所で「俺達で走ろう!」と書いたホワイトボードを掲げた(無線禁止のため)。途端にフランス代表全員が牽引態勢に入り、先頭集団にブリッジを仕掛け、こうしてブノワ・コスヌフロワが銅メダルを手に入れた。

そんな古狸が、スプリンター系を3人選んだということは(アルノー・デマール、クリストフ・ラポルト、フロリアン・セネシャル)、スプリントフィニッシュと読んでいるのかもしれない。

イギリス

出場枠:8
ジャージ:白、赤の太い横ライン
リーダー:トーマス・ピドコック、イーサン・ヘイター

若き2人が大英帝国軍を先頭で率いる!東京五輪マウンテンバイク金メダリストのピドコック22歳と、直前の英国一周でファンアールトと堂々渡り合い総合2位のヘイター23歳。2人に足りないものがあるとしたら「経験」で、不安材料は、これほどの長距離レースでいまだ好成績がないこと(そうは言ってもピドコックは300km弱ミラノ~サンレモで先頭集団15位)。ついでに脇を固める22歳フレッド・ライトに21歳ジェイク・スチュワートも極めて若いのだ。

代わりに頼もしいベテランたちが、若者たちをしっかりと支える。ルーク・ロウ31歳、ベン・スウィフト33歳、マーク・カヴェンディッシュ36歳。元世界王者カヴにとっては、2位に入った2016年以来、5年ぶりの世界選だ!

オーストラリア

出場枠:8
ジャージ:白、緑黄緑の横ライン
リーダー:マイケル・マシューズ、カレブ・ユアン

毎レースとてつもなく攻撃的に走るものの、ここ1年勝利とは縁遠いマシューズ。エネルギー不足を露呈し、10日前のルクセンブルクツアーを2日で切り上げたユアン。歯車が噛み合えばとてつもない強い2人だが、現時点では黄色信号点滅中というところ。

1年後は祖国オーストラリアが、史上2回目のロード世界選手権を迎え入れる。当然ながら開催委員長や視察団もフランドルに乗り込み、本番3日前にはレースプレゼンテーションを行う。彼らの存在がモチベーションとなるか、プレッシャーとなるか。

スロベニア

出場枠:8
ジャージ:胸から上が黄緑、下が紺。胸元に白と水色で山のデザイン、脇腹から下にかけて青

ステージレースならば間違いなく1位と2位を独占するだろう。なにしろツール・ド・フランス2連覇タデイ・ポガチャルと、ブエルタ・ア・エスパーニャ2連覇プリモシュ・ログリッチの強力タッグなのだから。もちろん両者ともに260km弱のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを制しているからして、長距離ワンデーレースの戦い方も十分に心得ている。ただ2人はストラーデ・ビアンケの未舗装路は何度も走っているが、石畳のあるワンデーは、ほぼ未知の世界。

200kmを過ぎてからの戦いと言えば、グランツール区間4勝がすべて200km超というモホリッチもめっぽう強い。ジュニアとアンダーをまたいで世界選手権2連覇を遂げた、アルカンシェルハンターでもある。

なにはともあれ、ヤン・トラトニクという驚異的な働き者がいるのが心強い。

スペイン

出場枠:8
ジャージ:白、赤黄赤の横ライン、下は黒
リーダー:アレックス・アランブル

アレハンドロ・バルベルデという、ナチュラル・ボーン・リーダーは不出場。過去14大会参戦し、優勝1回、表彰台6回、トップ10入り4回(二桁台成績2回、途中棄権1回だけ)という、あまりにも絶対的な大ベテランの穴を埋めるのは決して簡単ではないかもしれない。それでもパンチャースプリンターのアランブルと、スプリンターのイバン・ガルシアという2人の1995年生まれ……つまりバルベルデより15歳年下の若者に、バトンは託された。

コロンビア

出場枠:8
ジャージ:青、太い黄+細めの青赤の横ライン

フェルナンド・ガビリア、アルバロ・ホッジ、フアン・モラノというスプリンター3人と、リゴベルト・ウラン、エステバン・チャベス、セルヒオ・イギータというクライマー3人の組み合わせ。フランドル選手権優勝&デパンネ3日間2位のガビリア以外は、みなフランドル系レースとは縁遠いイメージがあるが……少なくとも新旧ウルフパック3人(ガビリア、ホッジ、ウラン)は、ベルギーの道やワンデーレースの走り方を心得ているはずなのだ。

スイス

出場枠:6
ジャージ:赤、白い十字、袖は白、下は黒
リーダー:マルク・ヒルシ

ツール区間に世界選3位にフレッシュ・ワロンヌ優勝リエージュ2位……と大躍進の昨シーズンの前年、実はヒルシは「フランドル前哨戦」E3で10位に入っている。さらにアンダーやジュニア時代にはルーベもフランドルも一桁成績でフィニッシュ。つまりは石畳もこなせるパンチャーが、去年の調子を徐々に取り戻しつつあるわけで……ピークさえ合えば怖い存在だ。しかも、周りを支えるのが、とてつもなく頼もしいルーラーたちときてる(シュテファン・キュング、シュテファン・ビッセガー、シルヴァン・ディリエ、マイケル・シャー)。

ドイツ

出場枠:6
ジャージ:白、左側に黒赤黄の縦ライン、下は黒
リーダー:ニルス・ポリッツ

モニュメント2勝ジョン・デゲンコルプや今アムステル3位マキシミリアン・シャフマン、夏以降スプリント6勝パスカル・アッカーマンを押しのけて、堂々唯一のリーダーに指名されたのはポリッツ。ツール区間勝利やドイツツアー総合制覇のはるか前……4月のコース下見後に、関係者の心はすでにポリッツエースで決まっていたらしい。

ポルトガル

出場枠:6
ジャージ:白、両肩が赤紫、脇腹が赤、袖口が緑、下は黒
リーダー:ジョアン・アルメイダ

2年連続、ジロで高いポテンシャルは披露済み。ただ2カ月前までなら、きっと今大会の有力候補にアルメイダの名前は上がらなかった。ところが6月の国内選個人TTで嬉しいプロ初勝利を飾ったと思ったら……8月にポーランド区間2勝&総合優勝、9月にルクセンブルク区間1勝&総合優勝。23歳はとてつもない勝ちモードに乗っている。しかも上りスプリント勝利は多くの関係者の度肝を抜いた。石畳の腕前は不明。

ノルウェー

出場枠:6
ジャージ:赤、胸部に白紺白の横ライン、下は黒
リーダー:アレクサンドル・クリストフ

理想は自分が勝つことではなく、ノルウェーが勝つこと。モニュメント2勝の34歳大ベテランはこう宣言する。だからマルクス・フールゴー、ラスムス・ティラー、スヴェンエリック・ビストローム等々といった上れる後輩たちには、積極的に勝利を追い求めてもらうつもりなんだとか。それでもスプリントフィニッシュにもつれこんだ場合は、責任を持ってスプリントするつもり。

ポーランド

出場枠:6
ジャージ:白、腹部・背中下部に赤い縦ライン、下は赤

どれほどシーズンが変わっても、集団の中で「あれ?日本?」と勘違いしてしまうこのジャージ。東京五輪時と同じであれば、日本側の首回りに赤いアクセントがついたおかげで、間違えずに済みそう。肝心のミハウ・クフィアトコフスキはE3勝者=石畳得意、サンレモ勝者=長距離得意、アムステル勝者=細かい起伏の連続得意。あとはかつての脚さえあれば……。

アメリカ

出場枠:6
ジャージ:白、赤・太い紺・赤の縦ライン、下は黒
リーダー:ブランドン・マクナルティ、ニールソン・ポーレス

ジュニア世界チャンピオンの座に上り詰めたのは、たったの2年前。「アメリカ人初のルーベ覇者となるのが夢」という20歳クイン・シモンズが、大人の世界選手権にデビューする。ただしリーダーに指名されたのは、東京五輪6位ブランドン・マクナルティとサンセバスティアン覇者ニールソン・ポーレスという、絶好調の先輩2人なのだ。

スロバキア

出場枠:4
ジャージ:胸から上は白、青赤の横ライン、ライン下は黒
リーダー:ペーター・サガン

直前のスロバキア一周で総合優勝はしたけれど、1つも区間は制していない。今ジロでも披露したように、相変わらずステージレースを連日コントロールする術はずば抜けているけれど、国内戦を除くワンデーは、もう3年半も勝っていない。世界選3連覇は、はるか遠い昔の思い出のような気がする。もしかしたら兄弟揃って戦う最後の機会に、若き日の情熱と輝きを、もう一度。

日本

出場枠:1
ジャージ:白、首回りと袖口が赤、赤の横ライン、下は赤
リーダー:新城幸也

2021年世界選手権男子エリートロードレース出場選手の中では最多12回の出場を誇る、日本不動のエース!2010年大会の9位は、日本自転車界の歴史に燦然と輝く。昨大会は序盤の逃げに乗る作戦をとったが、今年はどんな走りを見せてくれるだろうか。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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