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サイクル ロードレース コラム 2021年9月16日

【Cycle*2021 エシュボルン=フランクフルト:プレビュー】過去大会チャンピオンが集結。アルカンシェル候補たちが真剣勝負で足慣らし!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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2019年大会を制したパスカル・アッカーマン(写真中央)

2019年大会の表彰台に上ったアッカーマン、デゲンコルブ、クリストフの3名

ドイツ自転車界にとって、待ちに待った日。長き伝統に則ってメーデー、つまり5月1日の祝日に開催することはできなかったけれど……2年ぶりにエシュボルン=フランクフルトが帰ってくる!ドイツ全体にとっても2年ぶりのUCIワールドツアー大会であり、しかも、2021年大会は、記念すべき創設60年目大会だ。

こんな素敵なアニバーサリーに、大会史上最多13のUCIワールドチームが駆けつける(+UCIプロチーム7)。2011年ジョン・デゲンコルブ、2014〜2018年アレクサンダー・クリストフ(2015年大会は中止)、2019年パスカル・アッカーマンと、過去この大会を制した3人の現役選手も勢揃い。

もちろんニルス・ポリッツやサイモン・ゲシュケ、エマヌエル・ブッフマン、リック・ツァベル(パパは優勝3回、本人は表彰台1回)等々、地元ドイツの有力選手もスタート地へと集結する。今季末での引退を発表している39歳アンドレ・グライペルにとっては、寂しいけれど、母国で走る最後の公式レースとなりそうだ。

晴れやかな記念大会は、チャンピオンたちの真剣勝負の機会でもある。なにより世界選手権個人タイムトライアルの当日、つまりロードレースまでちょうど1週間前に開催されるエシュボルン=フランクフルトは、アルカンシェル候補たちにとっての最後の足慣らしの場!

しかも今大会と隣国ベルギーの虹色争奪戦とは、求められる脚質はほぼ同じ。つまり急坂を立て続けに上れて、スプリントにとびきり強いこと。もちろん世界選手権には石畳対応力も求められるけれど……ご存知の通りデゲンコルプは元ルーベ覇者だし、クリストフは元フランドル王者だ。さらには2年前の世界王者(フランドル2位)マッズ・ピーダスンに、フランドル系もアルデンヌ系も行けるマイケル・マシューズ。石畳不毛の地スペインの希望イバン・ガルシア。来季はチームメートとして走るマイク・テウニッセンとクリストフ・ラポルト。そして驚異的な登坂力と石畳スプリントで、ちょうど1週間前に欧州チャンピオンになりたてほやほやのソンニ・コルブレッリもやって来る。

世界選にはどうやら出場しないけど、ブエルタでスプリント2勝ヤスパー・フィリプセンや、秋のイタリアクラシック連戦に向け本格始動ヴィンチェンツォ・ニバリにも警戒すべし。

エシュボルンとフランクフルトという、距離にしてわずか15kmほどしか離れていない2都市を結ぶコースは、2年前と同じ。平地で始まり平地で終わる187.5kmの行程には、大小8度の上りが待ち受ける。

スタート約30kmから始まる登坂距離11kmのフェルトベルクから、アップダウンに突入する。レース中盤のマンモルシャイン(登坂距離2.3km、平均勾配8.2%)→ビルタルホーヘ(2.6km、6.2%)→ルッペルシャイナー(1.3km、8.6%)の連続登坂こそが、スプリンターたちの踏ん張りどころ。全部で4度通過する急坂マンモルシャインは、その後も2度、選手たちの脚を試す。

ただしフィニッシュまで40kmを残して最後の坂を上り終えたら、あとは平坦な市街地サーキットへ。つまりピュアスプリンターたちにも、脚を回復し、列車を組み直す時間は十分にある。

記念すべき60年大会は、一般サイクリストたちにもペダルを回す機会が与えられる。3密ならぬ、「3Gルール(geimpft=ワクチン接種済み、genesen=感染快復者、getestet=陰性証明)」に則って、レース当日、プロと同じコースを走る。懐かしくて、そして新しい、そんな時代へと開かれている。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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