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【Cycle*2021 ブエルタ・ア・エスパーニャ:プレビュー】シーズン3番目のグランツールが8月の灼熱の太陽の下、スペインの大地を駆け巡る。
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか大会2連覇中のログリッチ
真紅のジャージ、ラ・ロハを巡って。イタリアのジロ、フランスのツールに続くシーズン3番目のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが、8月の灼熱の太陽の下、スペインの大地を駆け巡る。
建立800周年を祝うブルゴス大聖堂から、11年ぶりに聖ヤコブ大祭を迎えた巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの、情熱と受難の3週間。昨大会は新型コロナウイルス感染拡大による開幕地変更(オランダ→スペイン国内)の影響で、通常より3日間少ない18日間で争われたが、2021年は例年通り第21ステージで執り行われる。
戦いは個人タイムトライアルで始まり、個人タイムトライアルで終わる。開催委員会によるステージ内訳は平坦6区間、起伏4区間、山岳9区間。ちなみに「山岳」と区分される中には、フィニッシュ直前まで平坦で、いきなり締めに激坂登坂……というブエルタ独特のコース設計もあり。とにかく山頂フィニッシュ8回+軽い上りフィニッシュ2回と、いつもと変わらず山岳づくしなのだ!
23チーム・184選手のプロトンによる本格的な総合争いが勃発するのは、早くも3日目から。とてつもない激勾配で知られる1級ピコン・ブランコ峠が、ラ・ロハ、つまり総合リーダージャージ「マイヨ・ロホ」候補者たちを大急ぎで絞り込む。1週目はいわゆる時計回りで地中海岸へと向かう道すがら、強風で有名な平地を横切ることも忘れてはならない。スプリンターたちにも4日間ものチャンスを与えつつ、週末には金曜日1級バルコン・デ・アリカンテと日曜日の超級ベレフィケ峠の、2度の山頂フィニッシュにも立ち向かう。
例年より1週間早い会期のせいで、いまだ夏真っ盛りのアンダルシアで、2週目の戦いの幕は明ける。アップダウンステージがほどよく織り込まれた大会中盤は、パンチャーや大逃げ好きにも微笑みかけるだろう。スペイン南端から北の勝負地へと大急ぎで向かいつつ、週末は山岳ステージ2連戦。マドリードからそれほど遠くない地で、2度目の休息日に入る。
コースMAP
ただし今年のブエルタは、2014年以来7年ぶりに、首都マドリードには足を踏み入れない。横を素通りして、一気に激勾配の山岳が固まる大西洋岸へ。
暦は9月に入り、中でも絶対に見逃せないのが、週の半ばの第17&18ステージ超級山頂フィニッシュ2連戦。第17ステージがブエルタ屈指の伝統峠、ラゴス・デ・コバドンガ峠で争われるのだとしたら、翌第18ステージは、初登場のガモニテイル峠。いかにもブエルタ新名物となりそうな全長14.6km、平均勾配9.8%、最大17%の超がつくほどの激坂が、マイヨ・ロホ争いに大きな鉄槌を下すはずだ。
ただし最終日前夜にはいまだ5つの峠と2級山頂フィニッシュが立ちはだかるし、なにより最終日には33.8kmの個人タイムトライアルが待っている。道の果てにたどり着くまで、戦いは終わらない。
文:宮本あさか
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宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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