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サイクル ロードレース コラム 2021年4月22日

【Cycle*2021 リエージュ~バストーニュ~リエージュ:プレビュー】41歳の誕生日を迎えるバルベルデにとっては最後のラ・ドワイエンヌ(最古参)になるか...無敵男の勇姿に刮目せよ!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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リエージュ~バストーニュ~リエージュ

2020年大会のフィニッシュシーン

春クラシックシーズンの締めくくりは、いつだってリエージュ〜バストーニュ〜リエージュと相場が決まっている。新型コロナウイルス感染拡大で分断されてしまった昨シーズンは、秋の、しかも石畳クラシック前..という奇妙な時期に配置されてしまったが、無事に定位置を取り戻した。1892年から自転車乗りたちの戦いを見守ってきた「ラ・ドワイエンヌ(最古参)」が、この春も、威厳ある勝者を選び出す。

リエージュからバストーニュへと南下し、折り返して再びリエージュまで北上する全長259.1km。行く先には11の坂道と、第2次世界大戦で兵士たちを苦しめたアルデンヌの森に潜む、幾多のアップダウン。激戦地バストーニュまでのコース前半に大きな上りは1つしか登場しないが、約100km地点で折り返し、走行距離が150kmを過ぎた頃から、選手たちは本物の激戦へと放り込まれる。

つまり残り95kmモン・ル・ソワから残り76kmオート・ルヴェまでの4連続登坂が、今年も最初のふるい分けを行う。中でも3番目に位置するストクーは、登坂距離こそ1kmと極めて短いものの、平均勾配12.5%と爆発的な努力を要する。しかもてっぺんに史上最強の自転車選手エディ・メルクスの石碑が建つこの坂は、下りも細く難解だ。

続いて距離が最も長いロジエ坂(4.4km、平均勾配5.9%)をこなしたら、いつものマキザー坂(3km、5.1%)の代わりに、今年はデニエ坂(1.6km、8.1%、最大9.8%)を拝借する。短いながらも勾配のきつい新入りが、歴史の長い一戦に、新しい流れをもたらしてくれるだろうか。

伝統に則れば、勝利へ向けたアタック合戦が始まるのは残り35.3km地点ラ・ルドゥット(2km、8.5%、中盤に500mの13%ゾーンあり)。2年前に復活したフォルジュ坂(1.3km、7.8%)もまた、戦いの激化を後押しする。

しかし今年もおそらく、最後の鉄槌を振り下ろすのは、フィニッシュ手前13.4kmにそびえ立つラ・ロシュ・オ・フォーコンだろう。全長1.3km、平均勾配11%、最大13.2%の坂道は、2008年に組み込まれた比較的新入りながら、今やすっかり欠かせない「審判の地」となった。特に一昨季からフィニッシュ直前のサン・ニコラ坂が姿を消し、フィニッシュ地もアンスの上り坂からリエージュ市街地の平地に移行したため..ここで仕掛けねばもはや後はない。

美しい景観

一昨季はここをフィニッシュに見立てて全力で駆け上がったヤコブ・フルサンが、そのまま独走勝利をもぎ取った。昨大会はこの坂で5人に絞り込まれ、最終的に小さなスプリントでジュリアン・アラフィリップが両手を上げ(5位降格)、ハンドルを投げたプリモシュ・ログリッチが勝利を手に入れた。2021年大会もこの因縁の3選手--前者2人は2019年アルデンヌ3戦で対決を繰り広げ、後者2人は水曜日のフレッシュ・ワロンヌでも上位2席を独占--が、戦いを盛り上げてくれるはずだ。

もちろんマテイ・モホリッチのやり方を参考にする選手だっているだろう。昨大会ラ・ロシュ・オ・フォーコンを抜けた先の平地&下りを利用して、単独で追い上げると、最終ストレートで先頭集団をとらえ4位に食い込んでいる。一方で昨季2位と3位に食い込んだマルク・ヒルシとタデイ・ポガチャルは、果たしてスタートラインに並ぶことができるだろうか。今年は同じUAEのジャージを来て走る2人は、チームメンバーにPCR陽性が出たとして、無念にもフレッシュ・ワロンヌは出走できなかった。

サンレモから石畳→アルデンヌと主要クラシックのすべてに出場し、トップ6入3回と驚異の高平均点男マイケル・マシューズの最終成績も楽しみだし、カラパス、クフィアトコフスキー、Aイエーツ、ゲイガンハート..と、相変わらずとてつもなく豪華な面子で挑むイネオスのチーム戦からも目が離せない。

今からちょうど10年前に同一年アルデンヌ3戦全勝の快挙を成し遂げたのは、フィリップ・ジルベールだった。この夏38歳になる元世界王者は、この4月中旬、「2022年末での引退」を示唆した。すると地元っ子のために、ファンクラブが「Phil」の文字をラ・ルドゥットにびっしりと書き込むのも、あと2回となるのかもしれない。

そして同大会で現役最多4勝を誇るアレハンドロ・バルベルデは、シーズン開幕時の宣言通りならば、この2021年大会が人生最後のリエージュとなるはずなのだけれど..。

「30歳の時と同じ脚がある」と語ったエル・インヴァティド(無敵男)は、水曜日のフレッシュ・ワロンヌで人生8度目の表彰台に上り、稀有な才能を改めて見せつけた。その直後には「これが最後なのか、それともあと1年続けるのか、分からない」なんて思わせぶりなセリフさえ口にした。

ただひとつ確実なのは、リエージュ当日、バルベルデが41歳の誕生日を迎えることだけ。あと1つ勝てば、エディ・メルクスの持つ史上最多5勝に並ぶ。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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