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【ジロ・デ・イタリア2015/プレビュー】ピンクジャージを身にまとうのは?今年のジロも山で決まる!
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか華やかなカオスが、幕を開ける。2015年シーズン最初のグランツール、ジロ・デ・イタリアが、22チーム・198人の選手と共に5月9日(土)に走りだす!
イタリアン・リヴィエラから走りだす、3週間の長い旅。リグーリア海の青とばら色のリーダージャージとの鮮やかなコントラストを楽しんだ後は、”ブーツの足首”まで南へ下がって、そしていつものように北上して……。もちろん、サディスティックなまでに難解なコースが大好きな大会開催委員会は、レース3日目から早くも起伏をたっぷり盛り込んで、5日目には最初の山頂フィニッシュを突きつける(山頂フィニッシュは全部で7つ)。
第14ステージには、59.4kmという、とてつもなく長い個人タイムトライアルも待っている。過去5年間のグランツールではぶっちぎりの最長TTだ。しかも、コース半ばには4級峠が立ちはだかり、終盤には最大勾配12%の坂道さえ登場する!開催委員会の計算によれば、1時間20分前後で走り終えるとのこと。独走が苦手な選手にとっては、拷問のような時間に違いない。総合争いにおいては、分単位で、タイム差がつく可能性あり。
肢体がたっぷりと疲労で蝕まれた翌日に、プロトンはいよいよ、ドロミテやアルプスの恐ろしい峠へと立ち向かう。第15ステージのマドンナ・ディ・カンピーリョ山頂フィニッシュ、第16ステージのモルティローロ越え、第19ステージのチェルヴィニア山頂フィニッシュ、第20ステージのフィネストレの”未舗装チーマ・コッピ(最標高地点)”に、そしてセストリエーレ山頂でのフィナーレ!やっぱり、ジロの戦いは、山で決まるのだ。
いや、たしかに、今ジロには、ゾンコランやプラン・デコロネスのような激坂や、ガヴィアやステルヴィオのような標高2600mを超える雪山は登場しない。ただ「もしかしたら、今年の山岳は、たとえばモルティローロ後のアプリカとか、フィニストレ後のセストリエーレとか、下った直後の上り勝負が厳しくなるかもしれない」と、ナンバーワン優勝候補のアルベルト・コンタドールは分析する。
ところで、フィネストレ→セストリエールの流れでジロの山岳争いが締めくくられるのは、2011年大会以来となる。4年前、あの山で総合リーダーの証“マリア・ローザ”を着ていたのは、コンタドールだった。
「大会最後の日に、マイヨを着ていられたら、それで幸せだよ。今回のジロは、2011年とは大きく違う。なにより、僕自身の、ジロに向けた調整の仕方も違うから」。こう語るコンタドールは、今季はここまでかなり控えめに走ってきた。2月のアンダルシア一周で区間1勝&総合2位、3月のティレーノ〜アドリアティコは総合5位、3月末のカタルーニャ一周は総合4位。「でもね、現在の調子は、年頭に予定した通りのレベルに達しているんだ。他のシーズンよりも、1段階か2段階、低めに設定していた。ジロとツールの、両方を常に考えながらね(コメントは全てチーム公式リリースより)」
イタリア一周には過去2回参加して、2度とも総合首位で終えたコンタドールは、今年こそは、ジロ−ツールのダブル制覇を成功させねばならない。2011年にもダブルツールに挑んだ。5月のジロで13日間マリア・ローザを着用した後に、7月のフランスに乗り込んだ。しかし、あえなく、撃沈(ツール5位)。しかも2011年のジロタイトルさえ、翌2月に、剥奪された(2010年ツールでのクレンブテロール陽性により)。つまり、あらゆる意味で、コンタドールにとっては4年前のリベンジなのだ!
そんなコンタドールは、総合争いのライバルにリッチー・ポート、リゴベルト・ウラン、ファビオ・アルの名を上げる。ポートは、間違いなく、2015年序盤戦のステージレースシーンを最も賑わせた選手である。ツアー・ダウンアンダー総合2位、パリ〜ニース総合優勝、カタルーニャ一周総合優勝、ジロ・デル・トレンティーノ総合優勝と、1月中旬から好成績を連発している。しかも、オーストラリア国内TTチャンピオンは、タイムトライアルが大得意!
「メンタル的にも、フィジカル的にも、自信にあふれている」と英国テレグラフ紙に語ったポートの、唯一の不安材料は、本当の意味で3週間のレースの優勝争いに加わった経験がないこと。2010年、25歳の時に、大逃げに乗ってジロのマリア・ローザを着たことはある。2012年と2013年のツール・ド・フランスでは、チームリーダーのために全力を尽くし、総合優勝へと導いた。しかし、ポート自身が表彰台やグランツールのジャージを獲りに行くのは、今回が正真正銘、初めてとなる。
ウランとアルは、その点に関しては、アドバンテージを有している。山にも強く、タイムトライアルにも強いコロンビア人は、2013年ジロでは急遽リーダーに押し上げられつつも、総合2位の座を勝ち取った。2014年は絶対的リーダーとしてジロに臨み、マリア・ローザは残念ながら失ってしまったけれど、総合2位を確保した。また24歳の若きイタリア人ヒルクライマーは、山で見事な走りを披露し、昨ジロで3位に飛び込んだ。その後のブエルタでも山頂フィニッシュを2つさらい取り(総合5位)、難関山岳にはとびきり強い。体調不良でジロ・デル・トレンティーノを欠場し、思うような調整はできなかったが、「90%の調子でジロのスタート地に立てるだろう」と語っている。
その他、2012年ジロ覇者ライダー・ヘシェダル、ドメニコ・ポッツォヴィーボ&カルロス・ベタンクールのAg2rコンビ、ツール総合4位を2度経験しているユルゲン・ヴァンデンブロック、先のロマンディで総合優勝を飾ったイルヌール・ザッカリンなども、トップ争いを引っ掻き回してくれるに違いない。
そうそう、フィリップ・ジルベールは自らに足りない唯一のジャージ、マリア・ローザを1日でいいから着たいと熱望している(ツール・ジロ・世界選・ベルギーチャンピオンジャージは着用済み)。トム・ボーネンは34歳にしてジロ初参戦を果たすし、エリック・ツァベルの息子、21歳のリックがグランツールにデビューする。対するアレサンドロ・ペタッキとマッテーオ・トザットの、最年長41歳コンビの老練な走りにも、しびれたいものである。……なにより、日本から我らが別府史之が4度目のジロ参戦を、そして22歳の石橋学が生まれて初めてのグランツールへと挑む!
3週間の終わりには、万国博覧会絶賛開催中の北の大都市にたどり着く。2007年大会以来8年ぶりに、ミラノでの、大集団スプリントでばら色のレースは締めくくられる。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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