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サイクル ロードレース コラム 2015年5月11日

【ツアー・オブ・カリフォルニア/プレビュー】トップクラスのスプリンター、カヴェンディッシュvsサガンの対決に注目!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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青い海岸線と、広大なる荒野が、今年もトッププロトンをカリフォルニアの美しき夢へと誘う。そして、なにより、世界中の自転車ファンにとっては眠い目をこする日々がやってくる。イタリアではジロ・デ・イタリアが開幕したばかり。そして、9時間の時差のあるアメリカ西海岸では、ツアー・オブ・カリフォルニアが走り出すのだから!

カリフォルニア州をひとまわりするレースは、今大会で記念すべき第10回目を迎える。創設当初は2月開催だった。5月に移行してからは、ジロと時期が重なってしまうが、逆に「ジロを避け、静かにツール・ド・フランスへ向けて調整したい」と願う選手が集まるようになった。

今年も例に漏れず、ワールドツアーから8チームが参戦を決めた。中でも主催者が大々的にアピールするのは、「プレ」スタートリストに、世界を代表する3強スプリンターが名を連ねたこと。マーク・カヴェンディッシュ、ペーター・サガン、そしてマルセル・キッテル。なんと3人合わせてグランツール区間61勝・ポイント賞ジャージ6枚!

しかし、残念なことに、年頭からウイルス性の体調不良に苦しむキッテルは、開幕直前に出場をキャンセル。……つまりカヴ vs. キッテルの新旧世界最速スプリンター争いは、次の機会までお預け。

今回はシーズン9勝で絶好調に突っ走っているカヴと、あいかわらず調子は上がらないけれど(チームオーナーのティンコフ氏もとうとうサガンにぶち切れたようだ)、カリフォルニアは区間通算11勝と相性の良いサガンの対決に注目することにしよう。また、2ヵ月後に初のツール・ド・フランス出場を控える、MTNクベカの動きにも警戒したい。ファラー・ボス・チオレック・ゴスの俊足4人組は、果たしてどれだけ両者の間に割り込めるだろうか。

大都会のひどく幅の広い道路で、派手に繰り広げられるスプリントは、たしかに見ごたえたっぷりだ。しかし総合の争いを決めるのは、もちろん、山頂フィニッシュに他ならない。第7ステージの「クイーンステージ」で、最後の審判を下すのは、マウント・バルディ。日本語風に言えば、いわゆる「禿山」だ。

2011年に大会に初めて登場した当時、ツアー・オブ・カリフォルニア初の本格派山頂フィニッシュとして、ファンたちを歓喜させ、選手たちを震え上がらせた。初年度はリーヴァイ・ライプハイマーとクリス・ホーナーが同タイムでゴールし、ホーナーが総合1位、ライプハイマーが総合2位で大会を終えた。2012年はロベルト・ヘーシングがバルディで区間勝利をさらい、同時にリーダージャージも勝ち取った。その後3年間の空白を経て、このたび、10回大会を記念して、恐るべき山が帰ってきた!

海抜10フィート(約300m)から、標高6500フィート(約2000m)まで、選手たちは一気に駆け上がる。九十九折の道はひどく長く、なんと延々約30マイル(約48km)も続く。しかも一番苦しいはずの最後の3マイル(約5km)は、平均勾配10%超!間違いなく、グランツールの有名峠にも匹敵する、本物の難関峠だ。本物のヒルクライマーだけが、この山を攻略する脚を持っている。

最後の王者ヘーシンクは、今年もこの山に帰ってくる。2011年には大逃げに乗り、2012年は25分遅れのグルペットで終えたアンドリュー・タランスキーは、あれから、総合系ライダーとして大きく成長した。カリフォルニア初挑戦のワレン・バルギルやセルジオルイス・エナオモントーヤは、新大陸にも征服すべき山があることを、身をもって知ることになる。

8日間の戦いの終わりは、L.A.の市街地を派手に練り歩き、ローズボウル・スタジアム前での華やかなスプリンター対決で締めくくられる。強い西海岸の日差しの中で、記念すべき第10回大会覇者に、黄色に青のアクセントが入ったリーダージャージが贈られる。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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