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3週間の長い旅を終えて、蒸し暑いミラノへと、ジロ一行はたどり着いた。リヴィエラから198人で走り出したプロトンは、163人にひとまわり小さくなっていた。ほんのりばら色に染まったティンコフ・サクソ列車は、2008年以来2度目の総合優勝を祝うアルベルト・コンタドールを乗せて、先頭で、極めて静かに走り続けた。コース上ではスプマンテやキャビアがちょっとだけ振舞われ、コンタドールは人生最後のジロ・デ・イタリア区間を、ただ心行くまで楽しんで走るだけだった。
総合争いの戦いは、昨夜、セストリエーレの山の上で幕を閉じた。表彰台の3席も、山岳賞ジョヴァンニ・ヴィスコンティと新人賞ファビオ・アルの立場も、もはや脅かされることはなかった。大逃げフーガ賞も中間スプリント賞も、前日の逃げで最後のひとプッシュを決めたマルコ・バンディエーラがそのまま手に入れたし、敢闘賞は前日まで首位のフィリップ・ジルベールが守りきった。つまりは最終日ミラノまでもつれ込んだのは、マリア・ロッサの行方だけ。ジャコモ・ニッツォーロが17pt差でマリア・ロッサを着ていたけれど、いまだ数人に首位奪還のチャンスが残されていた。
なにしろ2015年ここまで、ニーバリはぱっとした成績を上げられていない(ティレーノ〜アドリアティコ総合16位、ツール・ド・ロマンディ10位)。ただ2014年も、実のところ、シーズン序盤には目立つ成績はなかった(パリ〜ニース21位、ツール・ド・ロマンディ5位)。ドーフィネにも出場したが、総合7位で終えている。
「去年のドーフィネは厳しかったことを覚えている。でも、同時に、それが僕にとっては良かったんだ。ツール・ド・フランスに向けて、どこを改善していくべきなのかを、理解できたから」(ニーバリ、ASO公式リリースより)
上りでの加速力が足りないと判断し、その後は山岳合宿で、オートバイの後ろに張り付いて特化したトレーニングを積んだそうだ。そして6月末のイタリア選手権を制し、ツール・ド・フランス2日目で主権を奪い取り、シャンゼリゼで栄光に輝いている。つまり今回に関しても、もしかしたら、本人はドーフィネで成績を上げる必要は感じていないかもしれない。それでも、注意深く観察することで、ニーバリの今後を占う鍵は見つかるはず。
一方のフルームは2月のアンダルシア一周総合優勝、ツール・ド・ロマンディ総合3位とそこそこの調子で来ているけれど、2013年序盤の圧倒的な強さを考えると(ツアー・オブ・オマーン総合優勝、ティレーノ〜アドリアティコ総合2位、ツール・ド・ロマンディ総合優勝)、やはり一抹の不安がよぎる。もちろん2013年はドーフィネも総合優勝をさらい取った。ところが昨大会は、第6ステージまでリーダージャージを纏いながら……、落車した。そのまま調子を崩し、総合も12位で終えた。ツール・ド・フランス本番でも3度落車し、それが原因でリタイアしたことは記憶に新しい。ケニア生まれの英国人に関しては、やっぱり、ドーフィネの仕上がりが大きくツールに影響すると考えても良さそうだ。
ちなみに英国テレグラフ紙のインタビューによると、フルームはツールの総合ライバルにニーバリ、キンタナ、バルベルデの名を挙げつつ、「しかしコンタドールが頭ひとつ抜けだしている。彼は指標であり、倒すべき男だ」と語っている。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネの8日間の激戦の後には、フルームこそが、倒すべき男ナンバーワンになっているかもしれない。
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